あさノート Asa-note

あさノート27「最後まで、この国の未来に命を懸けたい」あさに届いた、五代の魂の声。この国の未来のため、最後まで全力で生きた五代。その熱き思いがあふれた、あさとの最後の時間。

意志を継ぐ心の友に向けて。 五代友厚 ディーン・フジオカさん

死の間際にあっても、減速しないでどんどん加速する。人生でやらなきゃいけないリストが五代さんには明確にあったと思うし、残りの時間もある程度分かっていたはずだから、その焦りを表現したいと思いました。大阪そして日本のことを思い、もっともっと先を見ていた五代さん。あささんを前に「まだまだ」を連呼するように、とにかく足りないわけです。きっと未来がある人を前にして羨望の思いもあるだろうし、やり残した意志をなんとか継いでほしい気持ちもあると思う。リハーサルで想定していたよりも、本番では思わず気持ちが走ってしまった自分がいます。

あささんは、五代さんの意志のDNAを彼女の人生の中で継いでくれる人。もしかすると娘に対する思いにちょっと近いかもしれません。でも家族や恋人とは違う、ソウルメイト(魂の友)のような存在ですよね。まさに“心の友”だと思います。必要なタイミングで出会うべくして出会って、お互いに必要な何かを渡し合い、役割を終えると離れていく……そういう関係ってあると思うんですよ。異性としてとかじゃなく、そんな次元をゆうに超えている気がします。
最後にソウルメイトに会えて、思いを託したことでひとつ肩の荷がおりたというか。聞きたかった“ささいな話”まで聞くことができてね。 しかも、あささんの子どもが学ぶ教科書に、五代があさに伝えたピングイン(ペンギン)が載っていたという話。すばらしい脚本ですよね。

あさノート27

五代さまこそ、ファースト・ピングイン。 あさ 波瑠さん

台本上でも感情的な内容だったので、ここは出たとこ勝負だと思って挑みました。
五代さまを前にどんな感情になるのか分からなかったけど、「まだまだこれから」と話す五代さまを見て、“こんなに大阪のまちと商人を愛してくれる、こんな楽しそうに話す姿をもう見られなくなるのか”と思ったらものすごく泣けてきちゃって。五代さまの笑顔はステキなんですよね。人を笑顔にする笑顔を持っているなと思います。

ある意味で、ひとつの思いで結ばれていたんだと思うんですよね。ちゃんと同じ方向に志が向いてたんだなって、このシーンを通してすごく感じました。
ここであさはピングインの話をしますよね。第9週で五代さまからファースト・ピングインの話を聞いた時から、「それって五代さまのことじゃないの?」って思ってたんです。確かに加野屋の中ではあさがそうかもしれないけど、大阪の、日本のファースト・ピングインは間違いなく五代さまです。
こんな大きな渦の中に身を置く立場の人間を、まっすぐで屈託のない人柄のディーンさんが演じたことがすごく大きかったと思います。演じられた五代さまは、ただ単に完璧な人間じゃなく、愛すべきひとで、それでいて手が届かない浮世離れした感じもあって。本当にすてきな五代さまでした。

「どうか約束してください。これからはあささんを内からだけやない、外からも支えると」

相乗効果の三角関係が、新しい風を吹かせる。 新次郎 玉木宏さん

なんだか、五代さんは早々に死期を悟っていたような気がしてね。新次郎としてはここまであさを育てあげてくれた感謝の思いがあり、五代さんが新次郎に託したいものを純粋に受け取っているけれど、どこか切なさが残るようなシーンだったなと思いますね。ここまでいろいろあったにせよ、五代さんと新次郎の関係がこういう終着点を築けるのは、男同士として魅力的な感じがします。
五代さんはあさと新次郎を「相思相愛」と言い、新次郎はあさと五代さんを「比翼の鳥」だと言う。それは決して単なる三角関係じゃなく、片方がつながるともう片方もつながり、相乗効果で三者三様に成長できる関係だったんじゃないかと思うんですね。
五代さんの思いをくみ、ついに新会社の社長になることを決めた新次郎ですが、決して前に出る人間ではないんじゃないかと思います。最後にあさと五代をつないだのが新次郎であるように、何かを結びつけたり、その間に入ることで中和させる力を持っているのが新次郎。五代さんが亡くなったあとも、きっと新次郎らしい立ち位置であさを助けていくんじゃないでしょうか。

あさノート27

チーフ演出 西谷真一 五代の人生観を「砂時計」で表現。

あさノート
人生の終焉(しゅうえん)へと向かう五代を映像としてどう描くかは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』をヒントにしました。この中で、マーラーのピアノ音楽が流れる中、主人公が人生観を語るシーンに用いられているのが砂時計。このドラマの中でも、机に向かう五代のシーンでところどころに砂時計を使っています。
生きる時間は限られているし、人生はものすごく短い。だからこそ、“その日に思ったことを、全部その日にやっておこう”そういう思いで彼は生きている。このドラマの五代は、砂が落ちるような早さで、人生を全力で駆け抜けていったんじゃないかと思うんですね。
そして、「内からだけじゃなく外からもあさを支えること」を新次郎へ頼んだのは、彼があさに贈ったファイナル・ギフトじゃないでしょうか。
五代を演じてくれたディーンさんは、被写体としてすごく魅力的な存在でした!