平成21年度の放送
放送:平成22年11月14日(日) 午後1時35分〜2時45分(70分)
著名人がNHKアーカイブスの中から選んだ1本の番組を語るシリーズの2回目は世界的に活躍する建築家の安藤忠雄さん(69)。
安藤さんが選んだのは、2001年放送の「プロジェクトX・えりも岬に春を呼べ」。襟裳岬でコンブ漁をしている一家が、荒れた海の環境を回復させるために、山に木を植える活動をしている姿を描いた番組である。安藤さんはこの番組を見た時、まさに自分が目指している“自然と調和した暮らし"という建築理念と相通ずると感動したという。

安藤さんは、10年前から瀬戸内海の破壊された自然を回復させるためにオリーブをはじめとした様々な樹木の苗木を植える運動に取り組んでいる。きっかけは瀬戸内海に浮かぶ島・豊島に有害な産業廃棄物が不法投棄されていた事件である。一般からの募金や自治体からの助成金などで、これまでに10万本の苗木が豊島をはじめとした6つの島と、瀬戸内海の周辺12の県に植えられた。
建築家である安藤さんがこうした緑化運動に取り組んでいるのは、自身の建築に対する理念と深くかかわっている。建築のデザインとは建物を利用する“人と人の関係"だけではなく、建物の外にある自然と、中で暮らす人との関係を繋ぐものであると考えている。そうした理念の根幹にあるのは、“自然と調和しながら生きる"という、日本人が古来から持っていた文化である。番組では、利便性のために自然を破壊するのではなく、人が自然の中に調和して暮らすことが、大切だという安藤さんのメッセージを伝える。



ゲスト:安藤忠雄さん(建築家)
キャスター:桜井洋子アナウンサー

プロジェクトX 挑戦者たち「えりも岬に春を呼べ」 2001年3月6日放送 ※短縮版
北海道・襟裳岬の町では燃料にするために木を切りつくしてしまったため森が砂漠化し、昭和28年ごろから大量の砂が海に流れ出し、生活の糧である昆布を死滅させようとしていた。立ち上がったのは、若い漁師たちである。砂を止めるために森を再生させる取り組みを始めた。当時24歳の飯田常雄さんは、さまざまな困難とぶつかりながらも、少しずつ砂漠を森に変えていく。やがて腐葉土から栄養分が地下水に流れ出し、海は豊かさを取り戻していった。番組では、漁師家族の物語を軸に、北海道襟裳岬の200ヘクタールに及ぶ砂漠緑化プロジェクトという半世紀にわたる壮大な自然の再生のドラマを描いていく。
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