平成21年度の放送
放送:10月10日(土)午前10時05分〜11時25分(80分)
「私は虫である 虫は私である 自然は私のためにあり 私は自然のためにある」
虫をこよなく愛し、ファーブル昆虫記の世界を細密画に描き続けた画家・熊田千佳慕(くまだ・ちかぼ)さんが、8月13日、98歳で亡くなった。
熊田さんのモットーは、「見て 見つめて 見きわめる」。虫の目線で観察を重ね、来る日も来る日も筆の毛先だけを使って紙の上の虫に生命を吹き込んでいく。1枚の絵を仕上げるのに、2〜3年かけることもめずらしくなかったという。こうして描き出されたのが、今にも動き出さんばかりの昆虫たちだった。
そんな熊田さんが、70歳になるのを機に取り組み始めたライフワークが、ファーブル昆虫記に登場する虫の絵を100枚描くこと。この挑戦は未完に終わったが、残された50枚を超える作品は多くのファンの心をとらえて放さない。
築100年を超える農家の納屋に暮らし、生涯一度も原画を売ることが無かった熊田さん。その創作の様子を見つめた番組を通して、孤高の画家が、人生のすべてをかけて追い求めた昆虫の世界を紹介する。



ゲスト:奥本大三郎さん(ファーブル昆虫館「虫と詩人の館」館長、フランス文学者)、萩尾みどりさん(女優)
キャスター:桜井洋子アナウンサー

プライム10「私は虫である 〜昆虫画家の小さな世界〜」1991年10月10日放送
ファーブルを人生の師と仰ぐ熊田さん。そのアトリエ兼自宅は横浜市内に残された緑の木立の中にある。都会にありながら、庭には緑が生い茂り、300を超える鉢植えには自然と虫たちが集まってくる。居ながらにして虫が観察できる絶好の住まいである。熊田さんが外出するのは銭湯に行く時と、近所の茂みや野原に虫を見に行く時だけ。そして、虫を見つけると所構わず、寝そべって何時間でも観察を続ける。虫をこよなく愛し、虫に自分自身を投影した熊田さんの日常を追う。
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