平成17年度の放送
平和アーカイブス
放送:7月10日(日) 午後11:10〜翌午前0:35(85分)
「NHKアーカイブス」では、1月から月一回「平和アーカイブス」の番組を放送します。
NHKは、第二次世界大戦後一貫して原爆の悲惨さを伝え、平和の尊さを訴える原爆報道を続けています。関連の放送はテレビ番組だけでもこれまでに数百本に上り、戦後60年の歳月を経ても癒えない原爆の惨禍を克明に記録し続けた、世界的にも貴重な映像記録となっています。

この「平和アーカイブス」事業はヒロシマ・ナガサキの記憶を未来へと受け継ぐために、全国の【番組公開ライブラリー】施設で視聴者に公開するほか、NHKの国際放送を通じて国際社会へ向けても発信して放送番組による「原爆体験の語りべ」となることを目指すものです。

夏までにはテレビ、ラジオあわせて80本の被爆関連番組を、埼玉県川口市のNHKアーカイブスをはじめ、専用端末を設置してあるNHKの「番組公開ライブラリー」施設で、「平和アーカイブス」として公開してまいります。

7月の「平和アーカイブス」は、NHK特集「きみはヒロシマを見たか〜広島原爆資料館〜」です。
広島の原爆資料館(広島平和記念資料館)には、現在19,000点もの犠牲者の遺品や様々な被爆資料が保管・展示されています。その一つ一つが、広島を訪れる人々に、原爆のすさまじさと残酷さを無言のうちに証言しています。この番組では、資料館の遺品やその日の惨状を記録した写真などにスポットをあて、家族や目撃者の証言を手がかりに、原爆の悲惨さを克明に伝えています。

■NHK特集「きみはヒロシマを見たか 〜広島原爆資料館〜」(78分)
 1982年(昭和57年)8月6日放送
原爆犠牲者を悼み世界の平和を祈る『広島平和記念祭』が行なわれた8月6日の夜、昼の暑さが残る広島市中心部の平和記念公園には、まだ人々が集い、慰霊碑や供養塔にお参りしたり祈りの泉の周りにたたずんだりしていた。生中継の映像が公園の正面にある「原爆資料館」を映し出す。閉館後の薄暗い館内の、人気もなく静まっていた空間の奥に足音が起こり、男が一人歩んできてガラスのケースの脇で止まる。当時の館長・高橋昭博さんである。ガラスの中は資料館の代表的な被爆資料の一つで、『三位一体の遺品』。原爆に直撃された三人の中学生の帽子、制服、ゲートルを一体にして立体展示の形にしたものである。三人とも高橋氏と同級同学の市立中学の生徒で、その日、爆心となる地域の建物疎開作業に動員されていて被爆死したのであった。だから『三位一体の遺品』は息子たちの形見としてそれぞれ大切に保管されていたものを、資料館が原爆の残酷無残さを表す無言の証言者として寄贈してもらったのであった。

冒頭のこのシーンの後、番組は、その瞬間で止まってしまった時計などの遺品のほか、熱線、爆風、放射線による被害状況を高橋館長の案内でたどっていく。三時間後の被爆者の無残な姿を実写した写真、熱線で人影を焼き付けた銀行の石段、高熱で溶け、はがれ落ちた皮膚片やすっぽり抜け落ちた女性の頭髪…。被爆資料には、遺族や関係者の生々しい証言のほかに原爆のすさまじさを示す実験映像が織り込まれ、60年後の今日でも、胸を激しく揺さぶられずにはいられない。

「『きみはヒロシマを見たか』と若い世代に問いかけるつもりのネーミングでした」と番組制作者は語っている。この番組を見れば、若い人々に限らず、誰しもが『これがヒロシマだったのか!』と目を開かされることだろう。

【協力】
広島平和記念資料館ほか

【語り】
吉永 小百合
中村 昇アナウンサー

○作曲: 竹西 正志
○演奏: 広島交響楽団/中村 さつき
○取材: 小河原 正己/小林 孝雄
○構成: 河野 伸洋/鳥居 雅之
○制作: 石澤 清史/岩本 健一郎
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