平成15年度の放送
NHKアーカイブススペシャル
2月1日(日)第一部:午後3:05〜午後5:45 (2時間40分) 第二部:午後11:15〜翌午前0:35 (80分)
埼玉県川口市に「NHKアーカイブス」が誕生してちょうど1年のこの日、第1部では4年間これまでお送りした日曜深夜の「NHKアーカイブス」から、ドキュメンタリー番組に絞って、とっておきの3番組を選び放送します。今回はドキュメンタリー番組の分野を3つのジャンルに分類し、それぞれ1本づつ代表作品を見ながら、この半世紀、私たち日本人がたどってきた道をふり返ります。若い世代の方々に、かつての日本人の生き方や考え方を感じ取っていただくきっかけになればと考えています。

■スタジオゲスト:大林宣彦(映画監督)
■ご案内:加賀美幸子アナウンサー

【第1部】 午後3:05〜午後5:45 「映像の中の日本人〜ドキュメンタリー番組から〜」
1:日本人の自画像  (人の記録〜仕事への強い責任感、命をかけ、夢中になり業務に励んだ人々)
■ある人生「すり係警部補」 1965年(昭40年)放送 (30分)
ヒューマン・ドキュメントリー番組の草分けとなった「ある人生」は、無名の日本人に焦点をあてたドキュメンタリー番組。「すり係警部補」は、ただひたすら地味にすりを追う警視庁の鬼警部補の記録です。

2:高度成長期の記録 (社会の記録〜公害と人々の記録、経済発展の矛盾が噴出したあの時代をみつめる)
■現代の映像「チッソ株主総会」 1970年(昭45年)放送 (30分)
「現代の映像」は、激変する1960年代の日本の社会を記録してきた。「チッソ株主総会」は、水俣病に苦しむ患者・家族と加害者の企業が株主総会という同じ場所で、初めて向き合う歴史的瞬間を捉えたドキュメンタリーです。

3:テレビの青春 (青春の記録〜夢と挫折、いつの時代も新たな挑戦をする若者たちがいた)
■若い広場「原宿24時間」 1980年(昭55)放送 (50分)
1980年、東京・原宿の歩行者天国には全国の若者が集まってきた。彼らに密着取材し、少年少女が何を夢み、何を求め、原宿に集まってきたのかを追っています。

【第2部】 午後11:15〜翌午前0:35
幻のテレビ番組が38年ぶりによみがえります。ビデオでの収録がはじまった頃、まだ編集もままならない時代に制作した、テレビ番組黎明期の魅力あふれるミュージカル「わが心のかもめ」です。撮影当時20歳の吉永小百合さんと28歳の加藤剛さんの「純愛物語」はいま、忘れていた何かを、きっと思い起こさせてくれるでしょう。

■ドラマ「ミュージカル わが心のかもめ」 1966年(昭和41年)3月22日放送 (60分)

「わが心のかもめ」(モノクロ・60分)は38年前、1966年(昭41)3月22日に放送記念日特集として放送された吉永小百合さん(撮影当時20歳)主演のミュージカルです。
すでに消失した番組と考えられていましたが、昨年 渋谷のNHK放送センターから、埼玉県川口市にNHKアーカイブスの映像や音声などの膨大な資料が移管された際、偶然発見されました。
このドラマは、原作・曾野綾子さん、脚本・寺山修司さん、音楽・山本直純さん、演出は岡崎栄さん、そして主人公を演じるのは、当時28歳の加藤剛さんと20歳の吉永小百合さんという現在ではもう実現しない豪華な顔ぶれで作られたミュージカル・ドラマです。
番組に登場する歌の数は、4曲とセリフを歌にしているカットが数か所。すべてオリジナルです(詞:寺山修司/曲:山本直純)。

【ストーリー】
とある脚本家(芦田伸介)が、自らの次回作を語る形でドラマは始まります。
主人公東千江(吉永小百合)は19歳、海が大好きな千江は小さな旅行代理店で働いています。ある雨の日、千江は人形劇団の演出家石橋潔(加藤剛)と街角で出会います。二人は恋におち、幸せな一時を過ごします。
やがて潔は千江に求婚しますが、千江は悩みます。千江は父親との二人暮らし、その父親は競馬に明け暮れ大きな借金があったからです。その借金は千江に好意を持っている手島(山本学)が肩代わりしていました。そして千江は手島と半ば強引に結婚させられてしまいます。
しかしある日千江は交通事故に・・・。

【原作】
曾野綾子 「わが恋の墓標」より

【出演】
○東 千江: 吉永小百合
○北原 潔: 加藤 剛
○東 力衛: 浜田寅彦
○医者 茅原: 山崎直衛
○竹浪: 松下滋広
○手島: 山本 学
○石橋: 芦田伸介

【制作スタッフ】
○脚本: 寺山修司
○振付: 関矢幸雄
○音楽: 山本直純
○人形: 劇団プーク
○演奏: ウェストライナーズ新室内楽協会
○美術: 星野 昭
○技術: 染野照男
○演出: 岡崎 栄
○制作: 禅野圭司

■制作のいきさつ
この番組が放送された前年、フランス映画「シェルブール雨傘」が日本で上映されました。このミュージカル映画は、セリフ自体を歌にするという大胆な試みが当時大変話題になり大ヒットしました。この映画に触発されたスタッフが企画したのがミュージカル「わが心のかもめ」でした。吉永小百合さんも加藤剛さんも、このドラマがミュージカル初挑戦、今回お二人にお話しを聞いたところ、この時唄った歌は今でも忘れられず、今でも口ずさむことがあるとおっしゃっていました。

■若き寺山修司
脚本を書いた寺山修司さんは当時30歳。歌人、詩人、放送作家、舞台作家、映画監督と、あらゆる表現世界で独特の創作活動を展開した寺山さんが、劇団天井桟敷を旗揚げする前年のことでした。夫人の九條今日子さんによれば、この「わが心のかもめ」は、寺山修司さんのエッセンスが凝縮された大変貴重な映像作品とのことでした。

■音声修復の試み
38年ぶりに放送されることになった「わが心のかもめ」は、音声に大きな問題がありました。長年の保管の結果、音声が劣化し一部は聞き取れないほど痛んでいたのです。
そこで今回このドラマを完全な形に復元するために、劣化した部分のセリフを吉永小百合さんと加藤剛さんにあらためて吹き込んでもらうことにしました。さらに38年前の音声と、新たな録音との違和感をなくすため、NHK放送技術研究所の「音質を自在に変換する最新デジタル技術」を使い、音声をできるだけ当時の若い声に近づける努力をしました。この様子も番組の中でご紹介します。また映像も残っていたフィルムの時の画面のごみなどすべてきれいに処理をしました。38年前の初回放送当時のレベルかそれ以上のクオリティーでお送りできると考えています。

【VTR出演】
加藤剛さん
九條今日子さん(寺山修司夫人)
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