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夏のNHKアーカイブス・イベント
「語り継ぐ戦争体験」展 実施レポート
NHKアーカイブスでは、毎年、施設のあるSKIPシティで開かれる「国際デジタルシネマ祭」に合わせて、『夏まつり』イベントを実施しています。今年は7月18日・19日の2日間、年間テーマの「教育アーカイブス」に即した「語り継ぐ戦争体験」に焦点をあてた展示会や講演会から、子どもが楽しめるコーナーやハートフルライブなどを開催。2日間で延べ2265人の方が参加されました。
「語り継ぐ戦争体験」展
今年の夏は核をめぐる国際的な議論が高まりましたが、戦後64年も経ち、広島・長崎の被爆体験を語れる人は年々少なくなってきました。戦争を知らない世代に、どのように被爆や戦争、命の大切さを伝えたらいいのでしょうか。出会いの広場では、若い世代を意識した展示を行いました。
丸木位里さん・俊さんの巨大な「原爆の図」で知られる埼玉県東松山市の「原爆の図・丸木美術館」からは、2分の1サイズの複製を3点借りて展示。2分の1と言っても、1枚の大きさは90cm×360cmもあります。会場を訪れた人たちは、絵の大きさと内容の迫力に圧倒されて、食い入るように見つめていました。
上/「原爆の図 第4部 虹」、下/「原爆の図 第14部 からす」(2点とも原爆の図丸木美術館蔵)
もう一方の壁には、「市民が描いた原爆の絵」を30枚あまり展示しました。素朴な市民の作風と、絵に添えられた短い文章が生々しく胸を打ちます。涙ぐみながら1枚ずつ丁寧に見る人が目立ちました。これは昭和49年、NHK広島局が「被爆の記録を絵に描いてみませんか」と呼びかけて、番組を作ったのがきっかけでした。今では平和記念資料館に寄贈されています。
また出会いの広場の奥には、「原爆とは何か」を自分なりに表現するアメリカの若者たちの作品をパネルやDVDで紹介しています。在米のダンスアーティスト・尾竹永子さんがアメリカのコネティカット州にあるウェスリアン大学で行っている授業では、学生たちは原爆文学や絵画、漫画「はだしのゲン」、原爆の記録映像などを通して原爆を学び、授業の最後に各自が創作に取り組みます。絵画やコラージュ、ダンス、パフォーマンス、ピアノ演奏、インスタレーション(空間芸術)などの作品はどれも真摯で、生と死、時間、記憶と苦しみなどを伝えようとしています。尾竹さんは「作品を作ることが’持続する哀悼’であり、死者を考えながら生きることだ」と言います。国境を越えて被爆が語り継がれるという試みは新鮮で、多くの人が足を止めて見入っていました。
「市民が描いた原爆の絵」展示コーナー
「林京子&尾竹永子被爆体験を語り継ぐ〜米の若者たちとの対話〜」パネル
世代と国境を越えて、被爆体験を語り継ぐ
出会いの広場のシアターでは公開番組の中から、中学生日記「梅の木の願い」、ハイビジョンふるさと発「戦争と女子高生~ミュージカルで伝えるあの夏」、課外授業ようこそ先輩「戦争を学ぶ 命を考える」など、現代の中学生や高校生が戦争に向き合う姿を描いたドキュメンタリーやドラマを集めて上映しました。
18日の午後には、「被爆体験を語り継ぐ~米の若者たちとの対話~」と題した講演会を開催しました。アメリカの若者たちによる原爆の作品をきっかけに、長崎での被爆体験を書き続けてきた作家の林京子さんと、ダンス・アーティストの尾竹永子さんが語り合いました。林さんがアメリカの大学で被爆体験を語った時、学生から、「それでもあなたは生きていて良かったと思いますか」と問われ、即座に「生きていて良かった。私は人間の叡智を信じている。何よりもあなたたちを信じている」と答えると、彼らは一斉に立ち上がって力いっぱい拍手し、林さんはそれに深く感動したと語りました。
「2001年の9.11同時多発テロをニューヨークで間近に目撃して、原爆を学び直す決意をした」と言う尾竹さんは、大学院で原爆文学を研究し、4年前から大学に「原爆を学ぶ」コースを創設。林さんの作品を読んだ尾竹さんの教え子との交流も始まりました。学生たちの最終レポートの作品が次々と映像で映し出されました。「消滅した人々」という作品は、二人の男子学生が透明なテープを体に巻きつけて作った人体像を、大学の図書館や階段などに置くというインスタレーション。原爆で人間が消滅してしまうことに衝撃を受けて作られたものだと言います。家族に協力を求めて「集団死」で死ぬ姿を演じてもらい、それを写真におさめた作品を作った女子大生や、丸木夫妻の作品に触発されて恋人との共同作業で描いた絵など、実に多彩です。
会場からは、「中学で原爆や戦争を教えているが、尾竹さんの授業に刺激を受けた」と言う声も出ました。林さんは「被爆者は近い将来いなくなるが、体験者の話を受けとめて次の世代へ投げかける人々によって、過去の証明はなされていく」と語り、今回のような企画に取り組んだNHKアーカイブスに感謝の気持ちを語られました。
「被爆体験を語り継ぐ」講演会
「アメリカでの講義風景」展示パネルより
ハートフルライブ
ハートフルライブスペシャル〜音楽は国境を越えて〜
韓国で2007年に結成され、人気急上昇中の音楽グループ「律呂(ユーロ)」の日本での初ライブは160人を超えるお客さんで賑わい、立ち見も出る盛況でした。「女子十二樂房」の再来と言われる律呂は、平均年齢24歳。日本・中国・韓国出身で音楽大学を出た6人の女性たちが、三味線・尺八・二胡・韓国琴・中国琵琶などの伝統楽器を自由自在に奏で、「さくらさくら」「ふるさと」「アリラン」「夜来香」「チャングムの誓い」などの名曲を聴かせてくれました。集まったお客さんの反応も上々で、「若くて美人ぞろいの国を超えた律呂は、イベントの最後にふさわしい」「『女子十二樂房』のように、今後の活躍に期待したい」などの声が寄せられました。
子どもたちに人気の「折鶴教室」と「カブト虫と遊ぼう」コーナー
夏休みの子どもたちが楽しめるようにと、「折鶴教室」と「カブト虫と遊ぼう」コーナーを作ったところ、たいへんなにぎわいになりました。「折鶴教室」は、NHKスペシャル「サダコ~ヒロシマの少女と20世紀~」を上映する傍らで、川口から毎年広島に折鶴を届けている「エコ・ピースくらぶ」が折り紙教室を開催してくれたものです。来場した人たちに呼びかけると、たくさんの親子が鶴を折ってくれました。夏まつりの2日間以降も鶴は増え続けて千羽鶴は3つ以上になり、8月6日には広島に届けられました。
「カブト虫と遊ぼう」コーナーに集まった子は、2日間で850人以上。今年も宮城県鬼首(おにこうべ)スキー場の人たちがプレゼントしてくれたカブト虫は大人気で、子どもたちは嬉々として遊んでいました。鬼首の紹介ビデオも楽しく、夏イベントには欠かせない企画になっています。2日目の夕方には、40匹を1人1匹ずつプレゼント。行列ができましたが、並んだ子どもたち全員にちょうどいきわたって喜ばれました。
平和の折り鶴
カブトムシと遊ぼう
大河ドラマ「草燃える」お宝ビデオ発掘キャンペーン
30年前に放送された大河ドラマ「草燃える」は、NHKに保存テープがありませんでした。現在は51話中33話分が保存されていますが、これらは全て視聴者の方々から、家庭用ビデオで録画したテープを提供してもらったものです。この「幻の大河ドラマ」の残り18話分の発掘をしようという「お宝映像発掘キャンペーン」がオープンスペースで行われました。ドラマを思い出してもらうために、クイズ「『草燃える』検定」を実施したところ、2日間で300人近くの人がチャレンジして、約4割が全問正解で賞品をゲットしました。「ヒント」が隠された展示パネルの前には人だかりが絶えませんでした。
『お宝映像発掘』につながりそうな情報が2件寄せられたほか、「夏休み前の社会科テストで鎌倉時代が範囲だったので、楽しめた(小学生・女)」「受験生の時、日本史は得意だったので意地になって解いた。でも昔の大河は、余計なフィクションが少なく、歴史をしっかり描いていたんだね。(40代・男)」といった声が聞かれました。
その他のコーナー
教育テレビ放送開始50周年にあわせた「ETV50リクエスト募集」のパネル展示や、NHKが開発した最新のスーパーハイビジョンの美しさを体験してもらうコーナー、恒例となった身障者施設「ほっとステーション」による夏野菜と手作りケーキの即売会、根強い人気で7回目になった映像保管庫ツアーなど、どれも盛況でした。
お宝ビデオ発見クイズ
保管庫ツアー

お問い合わせ:048-268-8807 土日祝日を除く平日 10:00〜12:00 13:00〜18:00

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