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環境問題の変遷 ▲目次トップ
| 1.高度経済成長時代 | 2.大量消費社会 | 3.明らかになった化学物質の危険性 | 4.高まる地球環境問題への関心 | <<前へ
5.見つめ直される日本の自然環境
 1990年代は、日本の身近な自然環境の価値が見つめ直された時期でもあります。ユネスコの世界遺産への登録、釧路湿原に象徴される湿地の保全、自然と人間の生活が調和した里山の価値を見つめ直す動きなどが盛んになりました。自然の美しさ、環境保護の大切さを訴える番組もこの時期以降、数多く作られています。
1 世界遺産に登録された貴重な自然環境
 1993 年、日本で初めて「縄文杉で知られる鹿児島県の屋久島」「青森・秋田の両県にまたがる世界最大級のブナの原生林が広がる白神山地」が世界自然遺産に登録されました。世界自然遺産というのは、貴重な自然をユネスコが指定し保護していこうというものです。それぞれの自然環境の美しさは、「世界の自然遺産 屋久島」(1993年)「NHKスペシャル 白神山地 命そだてる森」(2000年)のハイビジョン映像でみることができます。
 白神山地は、1982年に原生林を伐採し中心部を貫いて青森県と秋田県を結ぶ林道の建設が始まったため、地元の自然保護団体が中心になって反対運動を展開しました。この運動は、全国に支援の輪がひろがり林道の建設が中止されたいきさつがありました。自然保護運動の高まりが、世界遺産登録という形で実を結んだのです。
 2005年には、北海道の知床が日本で三番目の世界自然遺産に登録されました。ヒグマやオオワシなど多様な生物とそれを育む豊かな自然が密接な関係を保って生きている貴重な生態系が評価されました。⇒「NHKスペシャル 知床 ヒグマ親子の四季」(1996年)
2 湿地保全の気運高まる。釧路でラムサール条約会議開催
 湿原などの水辺は、渡り鳥が渡来し生息するための貴重な自然です。ラムサール条約は国際的に重要な湿地を保護するための条約で、日本では1980年に北海道の釧路湿原が最初に指定されています。日本最大の湿原・釧路湿原は、国の特別天然記念物タンチョウの生息地です。
 「NHKスペシャル 湿原は地球のオアシス 釧路湿原の不思議な世界」(1991年)は、釧路湿原が鳥や植物の貴重な生育環境を支えている理由や周辺で進む開発がどういう影響を与えているかを考えました。この番組の後、1993年に日本で初めてのラムサール条約締約国会議が釧路で開催され世論の関心が高まりました。
3 日本の自然 里山保全のブーム起きる
 里山は、人と生きものが共に生きるかけがえのない日本の自然です。1990年代後半からこの里山を保全しようとする運動が盛んになり、世界的にも注目されています。NHKでは、滋賀県・琵琶湖畔にハイビジョンカメラを据えて長期的な取材を行い、里山の貴重な風景やそこで育まれてきた生きもの達の営みを描く番組を継続的に制作しています。「NHKスペシャル 映像詩 里山 〜覚えていますか ふるさとの風景〜」(1999年)「NHKスペシャル 映像詩 里山 〜命めぐる水辺〜」(2004年)などです。
 環境省の調査では、里山の面積は日本の全体の43%を占めていて、絶滅のおそれがあるとしてレッドデータブックに記載されている動植物が5種類以上生息する地域のおよそ半分が里山に位置しています。里山は、生物の保全の上でも重要な地域です。文化庁も里山を「重要文化的景観」として指定し保護に力を入れるなど里山保全の動きは今後も続きそうです。
4 おわりに
 このように、NHKは、時代の要請に合わせて様々な環境番組を制作してきました。今までご紹介してきた番組の多くは既に「番組公開ライブラリー」でご覧になることができます。今後、「環境アーカイブス」の公開番組は更に充実する予定です。(公開番組リストは、インターネットで検索することができます。)
 お近くの「番組公開ライブラリー」で、こうした番組をご覧いただき、環境問題について、考えていただければ幸いです。
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試聴できる番組

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