文字の大きさ
小さい文字 中くらい文字 大きい文字
環境問題の変遷 ▲目次トップ
| 1.高度経済成長時代 | 2.大量消費社会 | 4.高まる地球環境問題への関心 | 5.見つめ直される日本の自然環境 | <<前へ  次へ>>
3.明らかになった化学物質の危険性
 人間が作り出した無数の化学物質は、快適で便利な生活を人間にもたらしました。しかし、自然界に存在しない化学物質は時として環境や人の健康に悪影響を与えることが明らかになってきたのです。
1 農薬として使用されていた化学物質
 「NHKジュニアスペシャル 人工化学物質と上手に付き合う方法」(2004年)は、人工化学物質と人間の関係を教えてくれます。農地の害虫駆除に威力を発揮する農薬・DDTは、戦後大量に使用されました。ところが、このDDTの危険性に警鐘を鳴らした本が1962年に出版されました。アメリカの生物学者レイチェル・カーソンが書いた「沈黙の春」です。この本は、アメリカで大量死した魚や鳥の体内からDDTが検出されたことを明らかにしました。
 「沈黙の春」はベストセラーになり、いち早く農薬による環境汚染の問題を訴えた本として今でも多くの国で読まれています。
 DDTやBHCなどの農薬は、日本でも広く使用されていました。しかし、有害性が指摘されたことから、国は1971年に販売を禁止し、農家や農協に対して余った農薬は土に埋めるよう指導しました。
 「プライム10 土からの警告 〜鳥取・廃棄農薬ルポ〜」(1994年)は、全国に先駆けてDDTやBHCなどを回収し、埋め立てたはずの鳥取県のずさんな農薬の処分を明らかにしました。多くの場所で農薬はビニールで包んだだけといった方法で埋められ、一部の処分地からは農薬が漏れ出ている事実も明らかになりました。有害物質のずさんな管理は、後世につけを残す典型的な例といえます。
2 発生した環境ホルモン問題
 問題を起こすのは大量に使われる化学物質とは限りません。「NHKスペシャル 生殖異変 〜しのびよる環境ホルモン汚染〜」(1997年)は、微量でも起きる環境ホルモンと呼ばれる化学物質の危険性を日本で初めて取り上げました。環境ホルモンは、生物の体内に入り込んでホルモンのように働き生殖機能に影響を与える科学物質で専門的には「内分泌攪乱物質」(ないぶんぴつかくらんぶっしつ)といいます。番組では、日本全国に分布するイボニシという貝のほぼすべてのメスがオスの生殖器を持つなど何らかの形でオス化が進んでいるという調査が紹介されます。一方で、アメリカのフロリダ半島の湖に生息するワニのオスの生殖器には、発育不全がみられるのです。番組は、環境ホルモン汚染は、種の存続のために不可欠な動物の生殖能力に影響を与える重要な問題だと指摘しています。国でも、環境ホルモンの生物に与える影響について継続的な調査・研究を行っています。
3 アスベスト 再び社会問題へ
 2005年にアスベストが大きな社会問題になりました。大手機械メーカーの工場でアスベストが原因とみられる中皮腫(チュウヒシュ)というがんなどのため多くの社員が死亡し、工場周辺の住民も同じ病気で死亡していたことがわかったのです。この工場ではアスベストの中でも発がん性がきわめて強い青石綿(アオセキメン)を使って水道管などを製造していました。
 NHKでは、「NHKスペシャル アスベスト 不安にどう向き合うか」(2005年)「生活ほっとモーニング」などでこの問題を積極的に取り上げました。取材の過程で、1970年代には労働省が、工場の周辺住民にもアスベストの被害がひろがっていることを把握していたのに、工場の外は環境庁の管轄という理由から対策に乗り出さなかったことがわかりました。
 しかも使用を禁止するという面でも世界に比べて日本は遅れをとりました。発がん性がきわめて強い青石綿について日本が使用を禁止する対応をとった時期がヨーロッパ各国よりも7年以上も遅れた1995年だったのです。
 専門家は、アスベストの被害者はこれからも増える可能性が高いと警告しており、今後被害者をどう救済していくかが課題になっています。
「番組公開ライブラリー」で
試聴できる番組

| 1.高度経済成長時代 | 2.大量消費社会 | 4.高まる地球環境問題への関心 | 5.見つめ直される日本の自然環境 | <<前へ  次へ>>