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連載コラム「お宝発見ニュース」

第16回 晩秋のキャンパスに行ってきました

大隈講堂(早稲田大学)

こんにちは。発掘アーキビストの【あ】です。
前回のこのコーナーでは「暑い」と言っていたのに、すっかり秋も深まってしまいました。

さて今回は久しぶりに新しい「お宝映像」のお話です。
やってきたのは黄金色に染まったイチョウの木々が美しい早稲田大学のキャンパスです!
今回こちらでご連絡をいただいた発掘番組は、『みどりの地球』という教育番組。
1974年(昭和49年)から年に数本の不定期番組としてスタートし、75年4月から年20本の定時番組となり、87年の3月まで放送されました。
今回は、1977年(昭和52年)の11月から、最終回までの170本余りが寄贈されましたが、そのうち、56本がこれまでに保存のないものと判明しました。一気に3年近い「空白」が埋められたことになります。

矢口先生(左)上野さん(右・2年生)

この番組は「環境」についての教育番組です。
日本の高度成長期の社会問題である「公害」の解決に向けた施策が次々実行されたのは1970年代の前半。その後、「地球温暖化」や「生物多様性」など「環境」が再びクローズアップされたのは1990年代以降で、ちょうど人々の意識から「公害」や「環境」の文字がやや薄れていた谷間の頃に、さまざまな角度から「環境」について取り上げてきたのがこの番組です。

今回、ご連絡くださったのは「教育・総合科学学術院 視聴覚教育研究室」の教授・矢口徹也先生です。

このような形でビデオテープがぎっしり「みどりの地球」タイトル「豊かさとゴミ」の回矢口先生・ゼミの学生と【あ】視聴覚教育研究室の教室

【あ】 こんにちは!古いビデオが見つかったというと、もうちょっと雑然とした部屋を想像していたんですが、ずいぶんきれいな研究室ですね。

矢口先生 この研究室は14、5年前に古い校舎から移転してきたんですが、引越しの時はとにかく全てのものを持ってきました。古いビデオも一緒です。そして、昨年度末、さすがに手狭になってきまして、棚を整理したら、「みどりの地球」のビデオがかなりまとまって出てきました。これだけまとまっていればNHKさんのお役に立てるのではないかということでご連絡した次第です。

【あ】 「視聴覚教育研究室」ですから、テレビ番組を教育の場で利用する研究のために録画されていたと思うのですが、数多くの教育番組の中で、なぜ、この「みどりの地球」が録画・保存されていたんでしょうか?

矢口先生 当時、研究室では、2つのNHK番組を録画・保存していました。1つは「シルクロード」です。言うまでもなく、それまでテレビカメラが入ったことのない中央アジア地域の文物や人々の様子が記録されていたからです。
そしてもう1つが「みどりの地球」なんですが、この番組は「環境」がテーマですから、理科の側面もあるし、社会科の側面もあります。教科書での授業ではできない、視聴覚教育ならではの絶好の教材だったんですよ。
もっとも、放送されていたのは私が教員になるずっと前ですが、先輩からは「教材そのものとしてだけではなく、学生たちが映像教材を作るためにもとても参考になった」と聞いています。

【あ】 教材づくりですか?

矢口先生 授業時間の関係で、番組をまるごと教材として使える機会は減っています。番組の一部を取り出して使う場合がありました。その意味では「みどりの地球」は活用しやすい番組だったと思います。
最近では、教師がカメラを回してパソコンで編集して教材にするといったこともあります。うちの研究室でも学生たちが自分で短いビデオクリップを作ったりしていますよ。まだ実際の教育現場で実践されている先生はそう多くないかもしれませんが。

「視聴覚教育」というと、「そういえば小学校の時、あまり使われていない"視聴覚教室"があったなあ」などと考えていましたが、これだけパソコンやビデオカメラが普及していたら、「先生手作りのビデオ教材」があっても不思議じゃありませんねえ。
ちょっと宣伝になっちゃいますが、NHKアーカイブスでは「ティーチャーズ・ライブラリー」や「クリエイティブ・ライブラリー」で、視聴覚教育を支援しています。
そちらも是非ご活用ください!

先生とのお話のあと、矢口先生の指導で映像教材作りなどに挑戦しているゼミの学生たちにも集まっていただき、「思い出のテレビ番組とは?」と聞いてみました。全員が平成生まれということもあって、さすがに"アーカイブスに保存がなさそうな番組"はありませんでした。皆さん私に気を使ってNHKの番組を挙げてくださったのですが、意外だったのは、教育番組である『さわやか3組』の人気が高かったことです。5人の学生がそろってこの番組を挙げました。「授業の前、先生が『きょうは"さわやか3組"みるよ』って言うと、僕らみんな『やったー!』って叫んでました(2年生・男子学生)」「子どものころってNHKを見る機会は少なかったんですが、"さわやか3組"だけは別でした(2年生・女子学生)」
『さわやか3組』は、今のところ、「NHKオンデマンド」やアーカイブスの公開ライブラリーのラインナップに入っていませんが、これほどの人気があるなら考えてみてもいいかもしれませんね。担当者に相談してみることにします。

さて、これまでの続報です。
約3か月近く、「安部さんコレクション」のリスト精査を勧めていましたが、ラジオドラマや著名な文化人の講演会など、すでに保存のあるものが予想以上に多く、やはり"残したい番組"というのは、安部さんも制作担当者も思いは同じだったようです。また「本放送」「再放送」を両方収録してある場合もあり、保存の必要性を判断する作業は大変です。 「放送日」と「時間」だけが記録されているものも多く、1つ1つ、当時の番組編成表と照合しながら、"残すべき番組"の洗い出しを進めています。3か月でようやく半分弱が終わりました。

【あ】

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