みなさんこんにちは。コンテンツ発掘歴もうすぐ1年、自分で自分のことを「アーキビスト」と呼ぶのがまだちょっと照れくさい【あ】です。
ちょっと変わったお宝
今回は、NHK放送センターの中で長期間埋もれていた、ちょっと変わったお宝のお話です。
野球にサッカー、相撲にゴルフ…。テレビを付けるとスポーツ関連番組が目白押しですね。しかし、スポーツはなんと言っても生放送が基本。現在のように技術が発達しすべての番組が保存可能となる以前については、あまり保存に注意が払われていなかったのです。そのため、そうした過去の番組内容については今では詳しく分からなくなってしまっています。
ということで今回のお宝は、今年になって見つかった「スポーツ放送台帳」。過去のスポーツ番組内容を語る貴重な資料です。
スポーツ中継の神髄!?
この「台帳」は、かつての報道局運動部、現在のスポーツ業務監理室の部内用として作成されたもので、昭和22年から平成15年まで、NHKが放送したすべてのスポーツ中継の記録です(一部のオリンピック放送を除きます)。担当者が56年間にわたって連綿と手書きで書き続けてきた、世界に1部ずつしかない貴重なものです。
一番古い冊子は昭和22年11月から25年12月分、その中から興味深い記録を見つけました。まだ日本が戦後の占領下で五輪への出場が認められていなかった頃、国民に夢と希望を与えてくれた「フジヤマのトビウオ」こと古橋広之進選手の活躍です。
1949年(昭和24年)の全米水泳選手権。前の年のロンドン五輪に出場できなかった日本は、五輪と同じ日程で水泳の日本選手権を開催し、そこで世界記録を出したのが古橋選手でした。その記録が注目され、翌年の全米選手権に招待された時の記録がこれです。
それから、ちょっと驚いてしまうような記述もあります。
「プロレスリングタッグ杯争奪世界選手権大会実況」とあるのがそれです。
なんと、プロレスが、教育番組中心のラジオ第2放送で行われていたというのです。よく調べてみたら、昭和30年代までは、野球と相撲以外のスポーツは、けっこうラジオ第2で行われていたようです。
カメラやマイクの位置も記録
「スポーツ記録台帳」と同時に、「テレヴィジョン(*)中継記録」という冊子も見つかりました。こちらは昭和35年から40年までの分しかありません。
(*)当時の用字用語ではテレヴィジョンと書いていたのですね
スポーツ競技をテレビ中継した時、どんな所にカメラやマイク、放送席を設置したか、どんな焦点距離のレンズを使用したか(当時、ズームレンズは一般的ではありませんでした)、その他、技術スタッフの血のにじむような努力と試行錯誤が伝わってくる記録です。
おそらく時期的に見て、昭和39年の東京オリンピックで、世界に映像を配信しなければならなくなったNHKが、より質の高い中継放送を目指して、テレビスポーツ中継のノウハウを蓄積するために記録したのではないかと思います。
これらの資料は、番組の記録をコンピューターに入力し保管するようになったときに作成が終了し、そのままスポーツ業務監理室の書類キャビネットにひっそりと保管され続けてきたのでしょう。現在は川口アーカイブスの台本などを保管するフロアにきちんと保管されています。
【あ】
テレヴィジョン中継記録には、カメラ位置やセッティングの様子が克明に記録されている