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連載コラム「お宝発見ニュース」

第3回 「浜松ライブラリーは激しく熱くロケンロールで燃えたのだ」

NHK浜松支局

不定期連載、お宝発見ニュース、今回は音楽資料担当【の】による「浜松ライブラリーは激しく熱くロケンロールで燃えたのだ」をお送りします。以下、こてこてのオーサカもん、【の】の文章はイントネーションをそれ風にしてお楽しみください。

浜松支局ってあるんです。

1つのラックで1万2千枚、全部で34万枚のレコードがひしめく

JR浜松から徒歩30分から40分。澄み切った青空の下、程よい運動になる素敵な道のりです。(僕は当然路線バス利用でたどり着きますが。って、おい。)
このあたり、市内の小高い山、近くに牛の石造があり、天神さまを祭ったことから牛山(うしやま)というらしい。そのなだらかな坂道を登りきったところにNHK浜松支局はさりげなく聳え立っとります。
いや、こぢんまりとした建物ではあるのですけど、その中にある音楽ライブラリーは掛け値なしに音楽資料界(ま、そういうのがあればですが・・・。)に聳え立つ金字塔なんですわ。

そこには・・・

CDには再録されなかった音源も多数ある。まさにお宝

浜松支局では総面積、約335㎡、バレーボールコートで2面分くらいにあたる3つの保管庫に34万枚弱のLP、EP、SPレコードが管理されています。日本の歌謡曲から洋楽からサントラ盤、邦楽から各国の民族音楽、それに落語などの演芸ものまでありとあらゆるジャンルのレコードが揃ってます。昭和初期、ラジオ局が放送のために(当時はテープレコーダーなんてありませんでしたから)録音したSP盤も残されている、音の遺跡といってもいいかもしれない場所なんです。

保存されたレコードはかつてNHKの番組で使用するために集められたレコードです。昭和60年頃までに日本国内で発売された多くのレコードが一般に公開されることなくここに静かに保管されています。CDが登場して以来次第に使われなくなったレコードが渋谷の放送センターから浜松に運ばれて、保管されているのです。

わたし【の】が・・・

最初に浜松支局を訪れたのは、一昨年の秋。浜松支局が行っている地元図書館でのSPレコードコンサートの後。夕方でシトシトと雨、支局内にはすでに人もほとんど見かけず、レコードジャケットのかび臭ささもあり古びた印象の保管庫でした。しかし、34万枚のレコードが並ぶラックの数々を通り抜け、次々と取り出されるSP盤はじめレコードの数々を浜松のスタッフに紹介してもらううちにその貴重さがひしひしと伝わってきました。

あの人たちも驚いた

スタッフとともに貴重なレコードを発掘する亀淵昭信さん

実は今年1月に雑誌「BRUTUS」さんの企画で、東京スカパラダイスオーケストラのメンバー、名古屋君義さんと川上つよしさんがこの浜松ライブラリーにおいでになり、特別にご自分たちで思うさま“掘って”いただきました。(アナログ盤のフアンなら、“掘る”って分かりますよねぇ。お目当てのレコードを探すって意味です。)お二人は厚手のボール紙に印刷されたジャケット裏の解説を見ながら次々といまではもう手に入らない貴重な音源を再発見。大興奮の有様でした。マイルス・デイビスの「ラウンドアバウトミッドナイト」とか、ジョンコルトレーンの「ジャイアントステップス」などのよく知られた名盤も曲数を減らしたEPシングル盤で保存されていたり、5代目古今亭志ん生の「ラブレター」という今では聞かれない演目や、CD化された盤には収録されなかった曲がある!などの悲鳴にも似た喜びの声を上げ続ける3時間。
このレコードアーカイブを使って番組を作って欲しい、と熱いメッセージをいただきました。

そして「ラジオデー」

それから4か月。5月6日にはNHKのラジオで復活を果たした「オールナイトニッポンの亀ちゃん」こと亀淵昭信さんの「亀淵昭信のいくつになってもロケンロールSP in浜松」が、浜松支局から生中継されることとなったのです。
10数年ぶり支局からの生放送は地元ニュースで取り上げられた程の「大事件」。前日の5日にスタッフ、出演者亀淵さんが浜松入りし、レコード保管庫の紹介収録、仮設スタジオの設営、生放送使用のレコードの検索、取り出し、選曲を行いました。

放送当日の6日、亀淵さんの軽快トークはのりにのり、リスナーのリクエストに応えながら浜松アーカイブスで最古の音源とされる1912年録音のアヴェ・マリアや、亀淵氏歌唱・水虫の歌、J.F.ケネディーの肉声が入った「星影のビギン」というレコード等8曲を紹介。「楽しいよぉ、もう本当に3日も4日もいたいくらいですね。レコード探してね。それぐらい楽しめました。」という亀淵さん。ラジオ生放送でありながらニュースのTVカメラが入る賑やかな放送風景となりました。

支局のロビーにつくられた仮設スタジオからの生中継

放送のなかでは、浜松支局のSPコンサート活動、SP盤のデジタル化について紹介しましたが、放送後、亀淵さんは「これだけアナログレコードを保管しているのはアメリカやイギリスにも例がない、特に日本の音楽に関して多方面に保管しているのはここだけだ。」と元ニッポン放送社長としての世界の放送事情に通じた方ならではの力強い言葉をいただきました。
濡れそぼつ夕暮れに、かび臭く古びた印象の保管庫に私がやってきてから1年、東京スカパラダイスオーケストラのおふたりが雑誌の取材で訪れ、今回ラジオの生放送でDJの重鎮、亀淵さんが来られと、浜松支局が活気を取り戻し保管庫のレコードたちも輝きを増し息吹を感じます。

【の】

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