発掘ニュース

No.239

2019.07.19

情報番組

テレビ天気予報の歴史を発掘!南さんが解説

1960年代や70年代のNHKに保存が無い様々な映像を探し出す「番組発掘プロジェクト」
関係者や、視聴者の皆さんから提供されたお宝映像には、番組の終わりなどにニュースや天気予報が録画されているケースがあります。

今回のテーマは、偶然録画されたおかげで残された古い天気予報!
お宝映像から「テレビ天気予報の歴史」を、『ひるまえほっと』(関東甲信越の放送)「発掘!お宝番組」で、気象予報士の“あの方”に解説してもらいました!

「おはよう日本」などでお馴染み、南 利幸さんです!南さんご自身は1990年頃から、まずはラジオのお天気キャスターを始めたそうです。それ以前の学生時代も…
「177のお天気ダイヤルってありますね。あの吹き込みのアルバイトをやってたんです。ピンポンパンポン♪広島地方気象台、午後6時発表の…という感じで。その頃から合わせると30数年お天気に関わっています。」

◆58年前!発掘された中で最古の天気予報映像

最初にご覧いただいた天気予報は、演出家の和田勉さんが作ったドラマ『わが町の歌』(1961年放送)の直前に30秒だけ入っていたもので、ご家族から提供いただきました。

「長野県は北のち南の風、晴れのち曇りでしょう。山梨県は南西の風、晴れのち、うす曇の天気でしょう。…天気予報でした。」

58年前の関東甲信越の天気予報。新潟、長野、山梨のみ音声が収録されていました。
南さんの解説は…

「私が生まれる前の映像です。マークが分からないですね。晴れは分かります、長野は晴れのち曇りと言っていましたので、このマークは『晴れのち曇り』。今とは全くマークの形が違いますね。」

「それと南関東!何のマークかさっぱり分かりません…。ハンバーガーみたいですが(笑)たぶん晴れ一時曇りとかそんな感じなんでしょうね。気象は気象でも稀に少ない“希少”な映像です。」

◆40年前(1979年)の天気予報、南さんの大先輩が解説!

「こんばんは、いよいよ寒くなってきました。今日は九州から北陸にかけては冷たい雨、北日本ではすっかり雪になっておりまして、旭川では本格的に雪が積もり始めています」

「雪の降る目安というマイナス30℃の線、これがこういう風に下がってきたのですね。こんな訳で今日は北日本方面を中心にすっかり雪になったわけです。」
生放送でチョークを使って寒気のラインを書いています!

「この写真を見ますと、こういうところはこういう風。それからここでは、こういう風。同じ季節風と言っても、場所によってずいぶん風向きが違うことが分かります」
解説が細かくて詳しい!

「そして明日の朝の最低気温の予想なのですが、東京は7℃、これは大体平年並みくらい。新潟は3℃とこれはかなりの冷え込みです。福岡は5℃、これもかなり冷え込みそうです」。
最低気温の予想も手書き!!

この映像は、人形劇「プリンプリン物語」で人形の操演を担当した伊東万里子さんからご提供いただきました。

「タイトルには気象衛星ひまわり!この前の年くらいから出始めたので天気予報の“売り”だったんですね。これがメイン!ひまわりの画像、今はオンラインでNHKに届いてきますが、当時は気象庁からバイクで運んできていたんです。」
当時の天気予報の“売り”だっただけに、映像から読み取れる雲の様子や風の向きなどをかなり細かく解説していました。

「画面は4枚。『午後3時の天気図』『ひまわりの画像』『あすの予想天気図』『あすの天気』。4分間で4枚、1枚の画面で1分間くらいしゃべっていることになります。現在の気象情報は4分あると画面20枚くらい。昔の気象キャスターは少ない情報の中で、いかに解説するか、そこに力を入れていたんです。」

◆天気予報の“転機”ともいえる『あの日』の発掘映像!

この日(1995年5月18日)を境に天気予報が大きく変わりました!

畠山アナ「気象情報は気象庁とは別に、民間でも独自の予報が出来るようになりました。近畿地方でも毎朝この時間に独自のデータを使って今日の天気を詳しくお伝えします。今日から登場します、気象協会の南さんです!」

南さん「おはようございます。こんな風に青空が広がるのは、なんと8日ぶりなんです。」

という、テレビ初登場の若々しい(!?)南さん!この映像は、南さんが大切に保管していたビデオからの発掘です!そして、この日から天気予報の画面に仲間入りしてきたのがこちら、『メッシュ予報』です。

畠山アナ「この画面は今日から登場しますので、ちょっと説明させてもらいますと、橙色が晴れ、それからグレーが曇り、そして水色が雨ということになるのですが、これ全域で晴れ、ということですか」
南さん「そうですね、今日はほとんど、このオレンジ色で変わりません。明日、明後日と見ていただければそのうち曇りとか雨が見えると思います。」

1995年に気象情報が自由化されて気象予報士の資格が登場。気象予報士の資格を持っていれば独自の予報を伝えることが出来るようになりました。気象情報でよく目にする『ピンポイント予報』も、この日から様々な地点の予報が登場するようになりました。

さらに最近は『GPV(Grid Point Value, 格子点値)』と呼ばれる、一定の距離で格子状に区切った地点の予測を画像にしたものが登場(下の2枚)。雨と風の予想を合成した画像や暖湿気流の流れ込みを表した画面など、予想の画面が充実しています。

南さん「昔の天気予報は、画面がこれしかない!という状況で“どう語るか?”に力を入れていましたが、今はどの画面を選んで“どのように見せるか?”です。『語る』から『見せる』に変わってきていると感じます。」

◆これからの季節気になる台風情報、37年前の映像発掘!

1990年代の前半までは、気象庁からNHKの記者が中継で台風情報を伝えていました。今はオンラインで瞬時に放送局に届く台風データですが、それ以前は気象庁から伝えるのが一番早く、NHKだけでなく民放各社も気象庁から中継をしていました。

解説も気象庁の予報官。この立平良三予報官はのちに気象庁長官もつとめた方です!そしてお隣は富士山レーダー、ご存知の通り今は運用を終えています。伊勢湾台風のような被害を出さないようにと作られた気象レーダーで、この放送ではレーダーの画像を手書きでトレースして地図の上に載せています。

そして気圧の単位を表す“ミリバール”!懐かしいですね。1992年にヘクトパスカルに変更されました。この映像はテニスプレーヤー・坂井利郎さんから提供いただいた全米オープンテニスの中継番組と一緒に録画されていました。

こうした台風をはじめ命に危険をもたらすこともある気象災害。最近では、いざというときに、どのようにして住民の皆さんに『避難』の情報を伝えるかが課題になっています。
そのための新しい情報を最後に南さんに解説してもらいました。

『土砂災害の危険度』をあらわしている地図です。(この地図はサンプルです)
色が付いているところは土砂災害の危険度が高くなっているところ。黄色と危険度が高くなっています。

また右の画像は河川の『洪水危険度』をあらわした地図です。
南さん「川を見に行くのではなく、こういう情報を参考にして、もし危険な状態になっていることが分かったら早めの避難を心がけていただきたいと思います。」

いかがでしたか?発掘番組と一緒に偶然、録画されていた天気予報は、気象情報の歴史を知る大切な資料でもありました。現在にもつながる南さんの解説、ありがとうございました!

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