発掘ニュース

No.196

2018.06.01

アニメ/人形劇

昭和41年人形劇『長くつ下のピッピ』を発掘!

今回の発掘は、50年以上前に放送した人形劇『長くつ下のピッピ』です!

ツインテールにそばかす顔、タイトルにもなっている長い靴下。ピッピは常識をひっくり返すような行動派の9歳の女の子!アストリッド・リンドグレーンの原作は1945年に出版されて以来、世界中の子供たち、そして大人の読者もひきつけてきました。

発掘された番組は1966(昭和41)年のお正月、1月1日から3日まで3回連続で放送。
当時、人形を操演した人形劇団「クラルテ」からフィルムで提供いただきました!

デジタル化してみると、ご覧の通り!半世紀以上前とは思えない鮮やかな映像!
…ではあるのですが、問題は音声でした。

フィルム自体には音声が記録されておらず、こちらの“シネテープ”に音声が!
しかし中を見てみると…

缶の中には音声が記録されたテープが2ロール入っていましたが、ひとつはボロボロで持ち上げるだけで崩れてしまいそう…。結局、再生できたのは1本分、それが第2話の音声だったのです!

ということで、1966年1月2日放送分の第2話の内容を少しご紹介しましょう!

可愛らしいタイトルバック。おそらくここに「長くつ下のピッピ」というタイトルや、その日のサブタイトルなどがテロップで表示されたのでしょうね。

第2話の始まりは、町の婦人会のおばさまたちの会話から。ピッピが火事の現場から小さな男の子を助けたこと(第1話のストーリー)は素晴らしいが、9歳の女の子が一人きりで暮しているのはいかがなものか?大人がいるところに引っ越して学校にも通わせるべきだと話しています…。

ピッピが住んでいるのは『ごたごた荘』。お母さんが無く、お父さんは船長ですが行方不明。別荘であるこの『ごたごた荘』でチンパンジーと馬と一緒に暮しています。

婦人会のおばさまたちの依頼を受けてやってきたのがお巡りさんの2人組。大人がいる家に連れて行くと説得しますが、そんなことには全く耳を貸さないピッピ。

それどころか…

“おにごっこ”と称して、ピッピを捕まえようとするお巡りさんから逃げ回ります。
そして2人を屋根の上に置き去りに…!

ようやく降りてきたお巡りさんが再びピッピを連れて行こうとすると、力ずくで門の外に放り出してしまいます。とにかく強い!!(それが良いことかどうかは別として…笑)

後半はピッピの家に忍び込んできた泥棒が相手。泥棒二人も力でねじ伏せ、なんと一緒にポルカを踊らせてしまいます(一人はハーモニカで無理やり伴奏をさせて…)。

2時間たっぷり踊らされた泥棒たちは「もう勘弁!」とばかり帰ろうとすると、ピッピから一緒に遊んでくれたお駄賃として金貨を1枚ずつプレゼントされます。生まれて初めて盗まずに働いて(?)お金をもらったことに喜ぶ泥棒たち!ピッピが泥棒たちを改心させたことは町中に知れ渡ります。

…といった具合に、強い女の子・ピッピが常識はずれに大活躍する人形劇です!

この「長くつ下のピッピ」のフィルムを提供してくれた人形劇団「クラルテ」を、番組発掘プロジェクトのスタッフが大阪に訪ねました!

さて、当時「長くつ下のピッピ」に関わった方はいるのでしょうか?!

左から
西村 和子さん:俳優/演出 78才 ピッピの当時には人形操演
松本 則子さん:演出/劇作/脚本 74才 ピッピの当時には人形操演
東口 次登さん:劇作/演出 60才 以前は人形操演も

お話を聞いた3人のうち、松本さんと西村さんは、記憶は定かではないがピッピの制作や操演を手伝ったとのことです!以下は、皆さんから聞いたお話です。

「長くつ下のピッピ」は当時、劇団の公演では行っておらず、NHKでの放送のためだけに作られました。最初は、劇団の公演用の人形劇案を募集したところ、今ではベテラン幹部となってる女性がピッピを提案しましたが却下。その後、NHKの年始番組のテーマ募集で再びピッピの案が提出されて通り、制作が実現することになりました。ピッピは敗者復活の“リベンジ企画”でした。

★ 一番の苦労は“放送”と“舞台”の違い

クラルテは、一年を通じて舞台での人形劇公演がメインでしたので、『放送用』の人形操演とは操作方法などが違うことが多く怒られることもありました。

一番違ったのは、お客さんの目線の高さ。舞台ではお客さんがやや低い位置から人形劇を見上げるような形で観劇。でもテレビスタジオではカメラの位置は高く、舞台を上から見下ろす感じに。このため人形操演者はかなり低く構えないと姿が見えてしまうので大変でした。人形を操る棒を通常より長くして対応していました。

また舞台だとそれなりの広い操演スペースがありますが、テレビはセットも小さく、アングルがタイトだったりするので、舞台と同じように大きく人形を動かすと、フレームの外に出ていってしまいます。このため、操演者はかなり動きが制限された記憶があります。かといって、あまり人形を動かさないと逆に怒られました。

加えて、カット割によっては、手のアップ、足のアップなどがあり。人形を別に追加制作して、そのアップに対応するのも舞台とは全く違って大変でした。

★ 人形の担当は決まっていなかった?!

特に誰がどの人形をやらなければいけないということは無く、当日スタジオに行ってからその日集まった操演スタッフの顔ぶれを見て、担当する人形を決めていました。あとで映像を見ると、操演者の個性が人形の動きに出るので、誰が操演しているか大体想像がつきます。 実際今回のピッピの映像を見ましたが、50年前の操演であっても誰が動かしているか大体わかりますね。

★ 残りの2話も復元したい!!

第2話に音がついていたが、あの音が復元できるとは思っていなかったので感激しました。ピッピの台本が無いかどうか倉庫を探し、さらに当時のものを保管している人に聞いてみましたが見つかりませんでした。でも、もしできるならば、第1話と第3話も、人形の口の動きを見ていれば大体のせりふが分かるので、台本を書き起こして再現できればすばらしいなと思いました。たとえばその復元プロセスなどドキュメンタリーなどの番組を作ってもらえないかと思っています!

復元ですか!イイかもしれませんね。人形の口の動きで大体のセリフが分かるなんてスゴイ!劇団クラルテのみなさん、フィルムを残してくださったこと、そして当時の貴重な思い出ありがとうございました!

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