発掘ニュース

No.180

2018.01.26

ドラマ

40年前の少年ドラマ『蜃気楼博士』全12回発掘!

少年ドラマシリーズのファンに嬉しい“完全収集(コンプリート)”発掘です!

その番組は『蜃気楼博士』。都筑道夫さん原作の小説をドラマ化した作品で全12回。NHK名古屋放送局制作。1978年、つまりちょうど40年前の1月に放送しました。

霊媒師・峠原忠明が行う守護霊を使った殺人実験。一方、超能力などありえないと断言する奇術師、ドクター・ミラージュ『蜃気楼博士』こと久保寺俊作。さらに事件の真相に迫ろうとする週刊誌記者・昭一と中学生・次郎の草間兄弟…そして驚きの結末。

各回の20分があっという間に感じられるほどテンポ良く次から次へと不思議な出来事が描かれていきます!きっと当時の少年少女たちを釘付けにしたことでしょうね。

では登場人物を少し詳しくご紹介しましょう!

まずは『蜃気楼博士』久保寺俊作(井上昭文さん)。かつてアメリカでも有名なマジシャンとして活躍、“ドクター・ミラージュ”と呼ばれていました。心臓に持病があり、日本に帰ってからはマジックの表舞台には出ていません。超能力をことごとく否定します。

そして霊媒師・峠原忠明(剣持伴紀さん)。超能力で人を殺して見せると宣言し、テレビや新聞、週刊誌を巻き込み大実験を行います。そしてなんと本当に殺人事件が…!?

好奇心旺盛な中学生・草間次郎(田中健三さん)と、兄で週刊誌の記者・草間昭一(吉川淨さん)実は今回の発掘はお兄さん役の吉川さんがこのホームページに書き込んでくださったことからアーカイブスへの登録につながりました!本当にありがとうございます。

さて最初の“殺人実験”はこちら…

「ロープで体を縛ることは出来ても、霊魂は自由だ」という峠原。

クローゼットの中にロープで縛られた状態で閉じ込められ、足元に短刀を置きます。短刀には昭一が書き込んだ印が。

「ある人物を、この短刀を使って私の守護霊が殺す」
というのが1つ目の実験です。

そして…

都内の公園には、あの短刀が背中に突き刺さった遺体が発見されます…。殺されたのは真瀬祐之助という悪徳不動産業者。
「これまで散々悪事をはたらいてきたので、守護霊が自分の超能力を使って殺した」
という峠原。

しかしその峠原はマンションのクローゼットの中に縛られ身動きすら出来なかったはず…足元にあった短刀は殺人事件の凶器に!しかも短刀には、あの目印と峠原の指紋が。
なぜ??

さらに2回目の実験はテレビで公開され、生放送で行われることに!

峠原はスタジオに設置した物置の中に縛られた状態で閉じ込められ、心拍数などの測定器具を付けて実験が始まります。今度の実験で使われる凶器は…

なんとライフル銃。司会者が手に持って説明したり、銃弾に蜃気楼博士が印となる傷をつけたりと、なかなか現実には考えられないシーンで突っ込みどころも満載です(笑)

はたしてライフル銃を使った殺人実験の結果はいかに??
そして本当に霊魂は存在するのか?

全12回、どの話も目が離せない展開が続き、子供たちをハラハラドキドキさせたことと思います。提供してくださった吉川淨さんが当時のことを教えてくれました!

「『蜃気楼博士』では“少し2枚目をやって”と注文を受け、根が3枚目なので非常に照れくさく、又“少しオーバー目に演技して下さい”という演出にはかなり抵抗を受けたのを覚えています。」

「今では当たり前ですが、この頃から既に『自然で素のままの演技』がテレビ界では要求され始めていたからです。共演者の井上昭文さん、剣持伴紀さんも同じく“誇張したような演技”が要求され、苦戦されていた記憶が有ります。」

「当時のテレビカメラはレンズが広角・標準・望遠の3段切り替え式のものでしたから、アップの時はぎりぎりまでカメラが寄って来るので、これまた驚きとカメラを意識せざるを得ないので大変でした。」

「『蜃気楼博士』は推理ドラマだった為、恐らく制作側の意図だったと思いますが、役者達への台本配布も1話ずつで、演じている私達も誰がキーマンか分からないまま、いただいた台本の回を消化していました。原作を読めば分かった事ですが、私に限らず共演者の皆さんは敢えて読まなかったみたいです。これは打ち上げ時の後日談ですが…。

役者の立場としては敵対している共演者とは普段から会話等は避けたりして演技に信憑性を持たせようと努力するものですが、共演者は皆東京から名古屋に来ていましたので、ホテルや食事もほとんど同じ。いわば合宿生活みたいなものでしたから、共演者同士自然に打ち解けました。プロデューサーから“いやに親しみが出てるね”と、演技では出てはいけない普段の仲の良い素の部分が出て、NGがよく出ていたのを覚えています。」

「当時のビデオデッキは非常に高価で私のような駆け出しの役者にはとても手が届く品物では有りませんでした。ベータのデッキが20万円以上、住んでいた家賃の約20倍です。
でもどうしても自分の芝居を動く媒体で残しておきたくて長いローンを組み、分割で手に入れ、最初に録画したのが『蜃気楼博士』でした。でも録画を見て自己嫌悪に陥った事は数えきれませんでした(笑)」

吉川さん、現在は役者を卒業されて舞台映像やプロモーションビデオの制作などの仕事をなさっています。今回は貴重な番組を残してくださり本当にありがとうございました!

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