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節目の年の重厚編成
2005(平成17)年は「被爆・戦後60年」「放送80周年」という大きな節目を迎えた。「被爆・戦後60年」関連では、原爆の悲惨さと平和の尊さを後世に伝えていくため、『沖縄よみがえる戦場』『靖国神社』など14本ものNHKスペシャルを集中編成し、さらに、衛星放送でも討論番組やドキュメンタリー番組を並べるなど重厚な編成が図られた。また、大型ドラマ『ハルとナツ』は家族4代にわたる壮大な物語で多くの感動を呼んだ。「放送80周年」関連では、ハイビジョン記録事業として「世界遺産」関連番組を制作したほか、かつての人気番組『シルクロード』を25年ぶりに再訪しその変化を取材した『新シルクロード』が放送された。
日本の課題を徹底討論
国際社会の大きな変革のなかで、日本は複雑かつ多岐な課題を多く抱え込むようになった。単純には分析しきれない深刻な課題を掘り下げるためにこの年スタートしたのが『日本の、これから』だった。この番組は、少子高齢化、教育、食料、環境、医療など日本社会が直面する深刻な課題を取り上げ、ドキュメンタリーやドラマを織り交ぜながら長時間にわたって徹底討論するもので、予定調和なしの激論は、それまでのNHKの番組イメージを一新するものだった。
デジタルで番組が変わる
インターネットの普及、デジタル技術の進歩によって、番組の演出も変化した。総合テレビの『つながるテレビ@ヒューマン』('06年)はインターネットを使った視聴者との双方向性にこだわった情報番組であった。教育テレビは、デジタル放送でマルチ編成による多チャンネル化や、デジタル教材の充実などを行った。デジタルハイビジョン放送の『生物彗星WoO』('06年)はNHKのハイビジョンCGによる合成技術と円谷プロの特撮技術が合体したSFドラマでハイビジョン映像の新たな可能性を追究するものであった。
テレビも携帯の時代へ
テレビは一人1台の時代になったが、さらにテレビは持ち歩くものへと変化させたのが、2006年4月1日に始まった新サービス「ワンセグ」である。携帯電話や携帯端末で、いつでもどこでも地上デジタル放送の視聴が可能となり、緊急災害時などでの活用にも期待されている。
2007年3月時点で、地上デジタル放送の受信可能世帯は全世帯の85%、約4000万世帯に達した。2007年8月末で、地上デジタル放送受信機の普及は約2400万台、衛星デジタル放送受信機の普及が約2700万台となり、2011年の完全デジタル化に向けて普及は急速に広がっている。
ワンセグ 地上デジタル放送の電波の一部を利用し、携帯電話や携帯端末で地上デジタル放送を見ることができる「ワンセグ」。2006年末時点ですべての都道府県で受信できるようなった。
歴史的音盤のデジタルアーカイブ構想
2007(平成19)年4月に「歴史的音盤アーカイブ推進協議会」が発足した。これは、歴史的価値の高いSPレコードをデジタル化して保存しようとNHKや日本レコード協会などが設立したものである。
20世紀初頭に普及した初期の円盤式レコードであるSP盤は、音楽だけでなく、さまざまな講演や声明を記録するメディアとして利用されてきた。しかし、長時間収録が可能なLPレコードの普及が進んだ1960(昭和35)年頃から次第に使われなくなった。現在では、初期のSP盤は年月の経過によって劣化したり、保管場所が不明になったりしている。
こうしたSP盤の散逸を防ごうと「歴史的音盤アーカイブ推進協議会」では、20世紀前半に国内で製造されたSP盤や金属原盤から収録した音源をサーバーに保存し、一般の人達が試聴できるシステムの構築を目指している。
NHKは、静岡県の浜松支局におよそ16000枚のSP盤を保管している。
1941(昭和16)年11月、当時唯一の放送事業者であったNHKは、東条英機首相の施政方針演説を国会の議場で収録し、午後7時のニュースで放送した。国会の録音放送が初めて実現した瞬間であった。これ以降、NHKは戦時色が強まる中、大臣の国会演説や戦況報告をSP盤に記録し、録音放送を行っていく。そのため、これらの歴史的演説がSP盤という形で残っているのである。NHKは、日本の近現代史の証言といえる貴重な音源の保存と公開にも努めている。
浜松支局に保管されているSP盤


