アーカイブスはテレビ番組の温故知新 はじめに

アーカイブス(archives)とは、英語で公文書、古文書保管所、書庫などのことを指す。私たちはかつて放送された番組をもう一度見ることで、そこから現状を分析し、将来を考える材料を得ることができる。アーカイブスは、記録の保管庫であり、人々の心の中に息づく記憶の保管庫である。

アーカイブスということばや概念が一般的になったのは、つい最近のことである。2000(平成12)年から『NHKアーカイブス』という番組が毎週放送されるようになったことが大きいのかもしれない。NHKが'07(平成19)年6月に行った調査では、NHK(総合テレビ)と民放も含んだ夜間の番組のなかで、満足している人の率が最も高い番組の第3位に『NHKアーカイブス』が入っている。団塊の世代に象徴されるように、人々は過去に放送した番組を見て時代を振り返る余裕ができたとも言えるが、過去に制作された番組が、今でも視聴者の心を動かす力を持っていることを証明するものと言えよう。

番組保存の歴史

日本でテレビが始まった1953(昭和28)年のころはすべての番組が生放送だった。その後ビデオテープが開発されたが、高価だったこともあって番組を収録したテープは、放送の後は消去されて使い回された。このため、当時の番組はほとんど残っていない。

ヨーロッパでは、「放送は文化そのもの」という理念のもとに、古くから番組の保存に熱心であった。その中でも番組保存を先行的に行っていたフランスでは、'74年に国立視聴覚研究所(INA)が設立された。その後放送番組の納品義務に関する法律が制定され、フランスのテレビ局とラジオ局は、'95年以後すべての番組をINAに納入して保管している。こうしてフランスは、世界最大規模のアーカイブスを持つようになった。

一方、NHKが組織的に番組や映像を残すことに取り組み始めたのは、'81(昭和56)年からで、テレビ放送開始からすでに30年近い年月がたっていた。そして、'03(平成15)年2月、埼玉県川口市に「NHKアーカイブス」が建設され、NHKは本格的に番組の保存と活用、さらに公開に取り組むことになった。

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