関西トライアル研究審査結果 第1期分結果第2期分結果第3期分結果
NHKアーカイブスの学術利用に向けたトライアル研究の関西トライアル分の審査に対し、実行委員会での審査の結果、
以下の5件を決定しました。
研 究 課 題 研究者氏名 所     属
テレビドキュメンタリーにおけるアイヌ表象と
他者性の問題にかかわる考察
〜戦後60年間の軌跡と変容〜
崔銀姫
 佛教大学社会学部現代社会学科 准教授
<研究概要>
1950年代から現代に至るまで放送されたテレビドキュメンタリーにおけるアイヌ表象の分析を通して、戦後約60年間の日本社会(北海道)における「他者性」の歴史的な変容を明らかにしたい。アイヌと和人との認識的距離において結果的に大きな転換をもたらした政治的な出来事から考えると、戦後のテレビ(和人)によってイメージされたアイヌの表象は概ね4つのプロセスに分けられる。I.「観光とアイヌ」:1959年『日本の素顔』から1960年代まで、Ⅱ.「文化運動とアイヌ」:1960年代から1970年代激しくなったアイヌ文化振興 運動、Ⅲ.「人権とアイヌ」:1980年代以降1990年代の国際人権規約と先住民族の問題、IV.「若者とアイヌ」:現代のアイヌ若者と表象、といった分類である。アーカイブを参照しつつ各々の時代のアイヌ表象と日本社会の様相について具体的な検討を試みたい。
研 究 課 題 研究者氏名 所     属
ニュース番組における言語変化に関する研究
轟里香
 北陸大学教育能力開発センター 准教授
<研究概要>
本研究は、ニュース番組で用いられる言語の変化を精緻に明らかにし、その過程で生じる方法論上の問題点を考察することを目的とする。近年、日本においてニュース番組で使われる言語には従来見られなかったような現象が顕著になっている。これには、例えば動詞的概念が省略されるといった、日本語の本質的な特徴とされてきた点に関わるような現象も含まれている。このような現象は、ニュース番組が娯楽的に脚色されるという傾向と関連したものとして捉えることができる。ニュース番組は一般に信頼できる情報源とみなされており、言語的にも社会に大きな影響を及ぼす可能性があるが、このような研究は非常に少ない状況にある。本研究では、NHKの過去のニュース番組のデータの分析を通して、現在見られている現象がいつどのように始まり拡大していったのかを実証的に明らかにする。同時に、言語研究にとってNHKアーカイブスが持つ大きな意義を示す。
研 究 課 題 研究者氏名 所     属
「テレビ的知」の変容の社会学的考察
〜クイズ番組における正解と不正解を事例に
.山崎晶
 四国学院大学総合教育研究センター 准教授
<研究概要>
司会者の問いかけに対して解答するクイズ番組は、視聴者を自然と番組に参加させる「民主的な」娯楽番組として、テレビ放送開始時から1つのジャンルを形成していた。本研究は、クイズ番組における問い方と答え方のスタイル、および誤答の推移の考察を通して、高度情報化社会における大衆的な「知」のありようを検討する。教育目的の番組ではなく、娯楽番組から「テレビ的教養」へとアプローチを試みるのは、視聴者はあらゆる番組から「知」を獲得していると考えるからである。したがって、テレビ視聴の一般化は、日本社会の「一億総白痴化」ならぬ、「一億総博知化(佐藤:2008)」をもたらしたともいえる。番組が提示する問いと答えの様式を検討することは、これまで正面から語られることが少なかったテレビの啓蒙的側面を明るみに出すことにつながるだろう。また本研究によって得られた知見から、メディアの個人化が進行するなかでの、大衆メディアとしてのテレビの歩むべき道の提示につなげていきたい。
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研 究 課 題 研究者氏名 所     属
映像メディアにみる「沖縄」をめぐる経済言説
—戦後日本社会における他者表象に関する一考察—
上原健太郎
 大阪市立大学大学院文学研究科
<研究概要>
本研究の目的は、「沖縄」の経済に関する言説が、戦後の公共放送の中でどのように表象されたのかを検証することにある。「沖縄」を言説=イメージとして認織する試みがなされたのはここ最近であり(多田,20O8;長谷川2006)、さらなる研究の蓄積が期待されている。「沖縄」の経済に関する言説は、「本土」社会のそれとは「異なる」ことを前提に、学術領域のみならず、メディアや日常生活の中にもさまざまなかたちをとって存在している。高い失業率、基地経済、全国最下位の平均賃金、企業規模の零細性などはその典型だが、それらを言説として包括的に捉える論考はこれまでない。加えて、近代日本社会における内なる他者としての「沖縄人」の存在を踏まえれば(冨山,2006)、経済領域における言説内部にも他者としての「沖縄」が存在している可能性がある。その実相を明らかにすることは、経済を言説として読み説くだけでなく、戦後日本の他者表象をめぐる議論を補完する意味でも重要である。
研 究 課 題 研究者氏名 所     属
お笑い番組にみる人々の興味を惹き付ける
インタラクション・デザイン
田村篤史
 関西大学大学院 総合情報学研究科
<研究概要>
テクノロジーの進歩に伴ってメディアやインフラは様々な変化を遂げている。しかし、それ自体は人間の根源的な欲求や憧憬を劇的に変えてしまうものではなく、その原点はあくまで人間の感覚や本能に根ざしている。本研究では「笑う」というベーシックな行為を主たるテーマとした映像コンテンツの中に、インタラクションデザインのヒントを見いだそうとするものである。映像分析の手法を用いて、人間が本能的に「面白い」と感じ、「没頭、感動、快感」などの興味を引きつけられるインタラクションの在り方を抽出し、その法則性や共通性について、ヒューマンコンピュータインタラクション分野で培われてきている認知心理学的方法などを援用しつつ考察する。そして、「気持ちいい」や「面白い」といった感覚の基準は個々人によって差異があるが、多くの人々が支持するコンテンツに共通する笑いの特徴に関する知見を用いて、インタラクション・デザイン分野に応用できる知識へとモデル化する。
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