アカイさんノート: 2008/05/30

夢であいましょう(2)

永六輔と中島弘子

 「♪夢を見ましょう~ 夢を見ましょう~」と、思わず口ずさんでしまうテーマ曲から始まった音楽バラエティー『夢であいましょう』。

 1961(昭和36)年から5年間放送された番組からは、構成を手がけた永六輔と音楽担当の中村八大の「六・八コンビ」の手により、多くのヒット曲が生まれた。

 今回は、そんなヒット曲の数々と、人気を支えた番組スタッフたちのこだわりについて、話をしよう。

 

番組から生まれたヒット曲の数々

 番組のコーナー「今月の歌」では、永六輔作詞・中村八大作曲の「六・八コンビ」の手により、毎月、オリジナルソングを送り出したが、ここから数々のヒット曲が生まれた。

「上を向いて歩こう」(歌:坂本九)、「こんにちは赤ちゃん」(梓みちよ)、「遠くへ行きたい」(ジェリー藤尾)、「帰ろかな」(北島三郎)など、世代を超えて今も愛されている歌も多い。

 

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 黒柳徹子と中村八大
 

 特に、1961(昭和36)年10月に坂本九が歌った「上を向いて歩こう」は、アメリカで「スキヤキ」という曲名で大ヒット。63年5月に日本語の曲として唯一、アメリカのビルボードチャートで3週連続1位に輝いた。さらに、レコード販売100万枚を突破し、全米レコード協会から日本人初のゴールデンディスクを贈呈された。イギリス、フランス、ドイツ、北欧諸国などでも発売され、今も世界中で親しまれている歌だ。

 また、1963(昭和38)年7月に梓みちよが歌った「こんにちは赤ちゃん」は、若いお母さん層を中心に支持を集め、この年のレコード大賞を受賞した。

 

ディレクターと若きスタッフたちのこだわり

 『夢であいましょう』を企画し演出したのは、後に『ステージ101』の生みの親となるディレクターの末盛憲彦だった。"目で楽しめる音楽"を表現することをめざした彼は、それまで担当していた昼の時間帯の『午後のおしゃべり』(1959~61年)に磨きをかけて、夜に『夢であいましょう』を生み出した。前の番組に引き続き、まだ20代だった永六輔を構成、中村八大を音楽に起用したのも末盛である。

 そのこだわりは、オープニングから現れる。毎回違うオープニングのタイトル画は、当時、繊維問屋の宣伝課長だった吉村祥が描いたもの。小粋な演出で評判となった。

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吉村祥
 

 番組では毎回、4~5曲の歌が歌われたが、曲に合わせてセットを変えた。その上、演出の末盛と美術担当は、ただ曲に合わせてセットを変えるだけではなく、「番組の起承転結に合わせて音楽とセットが展開することがショーの基本である」と考え、徹夜で議論を行ない、セット美術のプランを作った。生放送のため、いかに滑らかにセットチェンジするか苦心した。いま見ると、司会の中島弘子が登場する場面に、セットを移動させる音が入っており、当時のスタッフの苦労がしのばれる。

 

日本を代表するバラエティーとして海外でも放送

 1963(昭和38)年2月には、バラエティー分野で初めての「ラジオ・テレビ記者会賞」を受賞した『夢であいましょう』。1964年度、番組は40分に拡大され、30分時代のスピーディーな軽快さから、ダイナミックでじっくり見せるスタイルに変わり、明確なテーマを設定した特集主義になっていった。「映画音楽特集」(1964年5月16日)、「アラン・ドロン特集」(64年6月13日)、エノケンによる「浅草オペラ特集」(65年1月19日)など、好評を博した特集だった。

 また、日本を代表するバラエティーとして、ノルウェー、スウェーデン、デンマークの北欧でも放送された。

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 当時のスウェーデンの新聞

 スタッフたちが目指したのは、アメリカの人気番組『ペリー・コモショー」や『エド・サリバン・ショー』だったというが、彼らがまいた日本版の音楽バラエティーの種は、大きく花開き、今も脈々と続いている。

 歌謡曲だけでなく、流行の洋楽を英語で歌った『夢であいましょう』は、文字通り"夢"の世界にいざなってくれた。まさに、東京オリンピック前後の高度成長の時代、"昭和の青春"のエネルギーを感じさせる代表的な番組だろう。

◇放送期間 1961(昭和36)年4月8日~1966(昭和41)年4月2日
 
◇放送時間 1961年度 総合テレビ 土曜 22::00-22:30
        1962年度 総合テレビ 土曜 22:15-22:45
        1963年度 総合テレビ 土曜 22:00-22:30
        1964年度 総合テレビ 土曜 22:10-22:50
        1965年度 総合テレビ 土曜 22:10-22:40

◇司会者  初代  中島弘子(61~64年度)
        2代目 黒柳徹子(65年度)

◇出演   渥美清、黒柳徹子、坂本九、田辺靖雄、坂本スミ子、
        ジェリー藤尾、九重佑三子、ジャニーズ、E・H・エリック、
        岡田真澄、ミスター珍、三木のり平、谷幹一ほか


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みなさんからの投稿

  • 実家には「こんにちは赤ちゃん」のレコードがあります。ベビーベッドに向かって梓みちよが歌っている(?)姿のジャケットです。B面は「いつもの小道で」だったかな?どちらもよくかけて聞いていました。

    omame|投稿日2008年06月02日 06:32

  • 顔も名前も放送された日も定かじゃないんですけど、「こんにちは赤ちゃん」がヒットしたあと、外国でこの歌をカバーしてる歌手の女の子が番組に登場したんです。
    歌い出しがどうしても、♪こん、にっちわぁ~、ラッカちゃん!って聴こえて、ワタシだけかなぁ~と、思いつつ、「夢であいましょう」→「こんにちは赤ちゃん」っていうと、この「こんにちは~、ラッカちゃん!」がオチで出てきちゃうンですよねぇ~(笑)
    今、ちょっとググったら、この歌をカバーしてるのが「ノエリーン・パットレイ」って人なんですけど、顔とか全然覚えてないのでこの人かどうかもわかりません。

    更紗|投稿日2008年05月30日 20:58