アカイさんノート: 2013/05/31

国内外の名画がずらり!『衛星映画劇場』(前編)

『衛星映画劇場』三代目支配人の渡辺俊雄さん

衛星放送開始当時、最も反響があったのはスペシャル(Special)、スポーツ(Sports)、音楽(Sound)、映画(Screen)の4つの「S」。なかでも映画はBSの旗艦ソフトとして毎日のように放送。1989(平成元)年には『衛星映画劇場』がスタートし、その流れは現在放送中のプレミアムシネマに繋がっている。BSはどんな風に映画を放送してきたのか? アカイさんが『衛星映画劇場』の三代目支配人を務めた渡辺俊雄さんを訪ね、その歴史をうかがった。

Q.衛星映画劇場が始まったのはいつですか?

 かつては総合や教育で月に数回映画を放送していましたが、ほかの番組を放送する都合上、多くの作品をご紹介することができずにいました。そんななか、1987(昭和62)年にBS1が24時間放送を開始。『衛星スペシャル』という枠のなかで「アジア映画秀作選」、「衛星名画劇場・洋画特選シリーズ」などと銘打ち、週単位で映画を放送するようになったのです。その後、1989(平成元)年10月1日、衛星映画劇場が正式にスタート。この日を機に“映画は衛星放送”、“毎晩10時からは映画”というスタイルが定着していきました。

 

Q.スタート時はどんな放送スタイルだったのですか?

 衛星で映画をたくさん見ていただこうと、WOWOWと共同で“衛星映画マラソン365”を企画。NHKでは衛星映画劇場で「映画連続100本放送」を開始しました。スタートの特集は「わが青春の一本〜銀幕の忘れ得ぬ美女たち〜」。1957年製作の南北戦争を背景にしたラブ・ロマンス『愛情の花咲く樹』が最初の作品でした。また、“衛星映画マラソン365”ではイベントも開催。さらに1年にわたって人々の映画に対する思いを調査した「100万人の映画ファン投票」を行い、わが青春の1本、わが心のスターを募りました。ファン投票の結果は下記の通りです。その後の映画編成において貴重な資料となっています。

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「100万人の映画ファン投票」で外国映画部門1位となった『ローマの休日』。
主演は外国人スター部門1位のオードリー・ヘプバーン

 

Q.魅力的な大型特集が記憶に残っているのですが…。

 週ごとにさまざまなテーマを設けて映画を放送してきたなかで、最初の大きな特集となったのは、やはり「100万人のファン投票」でしょう。その後1992(平成4)年7月2日には放送1000回を記念してアニバーサリー番組も企画。『大学映研対抗「われこそ映画通日本一」決定クイズ大会』などを放送しました。
また1993(平成5)年2月から翌年の7月まで1年以上の歳月をかけて「巨匠・黒澤明が選ぶ世界の名画100本」を特集しています。私が衛星映画劇場の三代目支配人になったのはその5年後でした。就任早々黒澤監督が亡くなられて、訃報を聞いた直後、必死で3時間の追悼番組を制作したことを思い出します。翌年9月には黒澤監督の一周忌にあわせて特集を組みました。

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日本映画界を代表する巨匠・黒澤明監督 

 

1998(平成10)年に放送した『007』シリーズの一挙放送なども好評でしたが、次の大きな特集といえばやはり2003(平成15)年10月からスタートした「小津安二郎全作品放送」。小津監督は生涯で54本の作品を撮りましたが、そのうちの17本は戦争などで失われていたため、現存する37本を一挙に放送しました。小津さんは1903(明治36)年12月12日に生まれ、1963(昭和38)年12月12日、還暦を迎えた日に亡くなられたのですが、2003年が生誕100年、没後40年にあたっていたため、命日をはさむ形で様々な特集を展開しました。その後は黒澤監督の没後10年、『男はつらいよ』全シリーズ、山田洋次監督が選んだ日本の名作100本などを放送。そのお話は次週引き続いてご紹介します。 

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『東京物語』などで世界的に評価の高い小津安二郎監督 

毎日のように魅力的な映画を放送してきた『衛星映画劇場』。そのラインナップは渡辺さんをはじめとする歴代の支配人(現在は4代目支配人)がセレクトしてきました。誰もが認める人気作から、隠れた名作、話題作まで多岐にわたる編成で映画の世界へ誘ってくれた『衛星映画劇場』。その作品選びや『衛星映画劇場』の役割について、来週も渡辺さんのお話を掲載します!

『衛星映画劇場』
放送期間:1989(平成元)年10月1日〜2011(平成23)年3月31日

「100万人の映画ファン投票」(1989〜1990実施)
わが青春の1本・ベストテン
日本映画
① 七人の侍(1954)
② となりのトトロ(1988)
③ 二十四の瞳(1954)
④ 君の名は(1953)
⑤ 青い山脈(1949)
⑥ 幸福の黄色いハンカチ(1977)
⑦ 伊豆の踊り子(1933)
⑧ 嵐を呼ぶ男(1957)
⑨ キューポラのある街(1962)
⑩ 砂の器(1974)

外国映画
① ローマの休日(1953)
② 風と共に去りぬ(1939)
③ トップガン(1986)
④ 愛と青春の旅立ち(1982)
⑤ バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985)
⑥ サウンド・オブ・ミュージック(1965)
⑦ エデンの東(1955)
⑧ 卒業(1967)
⑨ ベン・ハー(1959)
⑩ ウエスト・サイド物語(1961)

わが心のスター・ベストテン
日本
① 石原裕次郎
② 吉永小百合
③ 高倉健
④ 松田優作
⑤ 三船敏郎
⑥ 原節子
⑦ 加山雄三
⑧ 美空ひばり
⑨ 山口百恵
⑩ 薬師丸ひろ子

外国
① オードリー・ヘプバーン
② トム・クルーズ
③ ヴィヴィアン・リー
④ ジェームス・ディーン
⑤ スティーヴ・マックィーン
⑥ イングリッド・バーグマン
⑦ マイケル・J・フォックス
⑧ アラン・ドロン
⑨ ダスティン・ホフマン
⑩ シルベスター・スタローン

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みなさんからの投稿

  • あれ?「生きる」入ってなかったんだぁ~。「笠智衆」も「森雅之」も「高峰秀子」も入ってないのか、そっかそっか、ファン投票だからか。
    この企画で覚えてるのは、解説かなんかで、おすぎさんが出てらして、山川さんと対談形式だったのかな、とにかく初めてNHKでおすぎさんを見たことに感動しました!(笑)
    あと、どこだったか、青森?で公開だったと思うんだけど、「青い山脈」の今井監督と杉葉子さん、池部さんもいらしたかな、当時のエピソードとか話してらっしゃった。
    杉さんはアメリカからだったんですよね。

    更紗|投稿日2013年05月31日 18:06