アカイさんノート: 2013/08/23

小中学生の心をつかんで20年!
『天才てれびくん』

スタートしたばかりのころの『天才てれびくん』
9人の「てれび戦士」と「ダチョウ倶楽部」が勢揃い!(1993年8月)

『天才てれびくん』は1993(平成5)年4月、子どもが興味のあるものは“何でもあり”という、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ満載で始まった。それから20年、現在放送中の『大!天才てれびくん』まで、タイトルや放送時間の変更、さらに大幅なリニューアルと、時代に合わせた変化を遂げながら小中学生の心をつかみ続けている。番組の歩みを振り返りながら、楽しさの秘密に迫る。

“てれび戦士VSテレゾンビ”から始まった 

1993年4月に教育テレビで放送がスタートした『天才てれびくん』は、半年後には小学生の70%が見たことがある(NHK放送文化研究所調べ)という小学生の超人気番組になった。放送時間が月曜日から木曜日の午後6時台、各局のニュース番組が並ぶ時間帯でありながら、その年の10月5日には7.7%という驚異的視聴率まで記録している(「NHKウィークリーステラ」より)。

 人気の秘密は、まず設定の面白さ。21世紀、人間とリモコンの言いなりだったテレビが反乱を起こしてテレゾンビが誕生、地球人を苦しめる。そのテレゾンビを倒そうと立ち上がったのが9人の「てれび戦士」だ。「ダチョウ倶楽部」が扮するグースケ、チョッキー、パータンの「おあいこトリオ」らと力を合わせてテレゾンビと戦い、面白い番組の放送を目指すというもの。力を合わせて宿敵と戦う“戦隊もの”のようなワクワク感や、身近にいる友達のようなてれび戦士の活躍が小学生たちの心をつかんだ。

 さらに話題となったのが最新のCGと合成映像を駆使した独特の世界。人間がCGキャラクターと同じ画面でおしゃべりをしたり、走り回ったりする不思議な映像に小学生たちの目は釘付けとなった。 

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チョッキー(肥後克広)とてれび戦士たち
 

 

「恐竜惑星」から始まったバーチャル3部作!

 アニメコーナーの「恐竜惑星」(1993年度)も子どもたちを夢中にさせた。てれび戦士が恐竜世界=バーチャルワールドに行き、そこで“恐竜人類”の戦いに巻き込まれるというストーリーは冒険心や空想力を刺激するものだった。

 バーチャルワールドに行くてれび戦士は山口美沙。アニメ世界では“萌”という名前のアニメキャラに変身する。萌をナビゲートするのがバーチャルスタジオのてれび戦士だ。現実の世界のてれび戦士とアニメ世界の萌とのやりとりは、不思議なリアリティーを生み出していた。

 実写とアニメの組み合わせという技術的な演出の新しさに加えて、子ども向けとは思えない本格的なSFの世界を描いたことも『天才てれびくん』ならではの特徴だ。恐竜世界にいる“恐竜人類”とは恐竜が進化して人類になったという設定で、小型草食恐竜や小型肉食恐竜を遠い祖先に持つ恐竜人類が登場した。それらは、「もし恐竜が進化したら…」という設定のもと、専門家による考証を行ったうえで形にしていった。だからこそバーチャルワールドの説得力が増し、SFファンにも好評だった。

 この「恐竜惑星」に続いて放送した「ジーンダイバー」(1994年度)、1997年度の「救命戦士ナノセイバー」は、〈バーチャル3部作〉と呼ばれて今も語り継がれることが多い。

 

魅力的なコーナーがいっぱい!

 『天才てれびくん』にはいくつものコーナーがあり、バラエティー、アニメ、音楽、突撃リポートと、子どもが興味を持つものが勢揃い。てれび戦士たちがさまざまなことにチャレンジしていった。

 毎日日替わりのメインコーナーが「テレビパラダイス」。てれび戦士がダチョウ倶楽部とさまざまなゲームをしたり、スタジオにファッションモデルを呼んでファッションショーや歌に挑戦したことも。

「“おもしろそうだったらとにかくやっちゃえ”という何でもありの世界」とは、当時の制作スタッフ・吉國勲ディレクター(NHKウイークリーステラより)。「今の子どもが何に興味を持っているのかを知りたかったら『てれびくん』を見るのが一番です」とも語っていた。

 てれび戦士のクリスティ−・コーサルがCGキャラクターの「ポコ」や「れんたろう」と一緒に、キーボードやドラムなど、それまで演奏したことのない楽器に挑戦する音楽コーナー「ポコ・ア・ポコ」も人気だった。最新のヒット曲など、学校では教えてもらえないような曲で練習。洗面器を使ったドラムや卵の殻に米を入れて作るマラカスなども評判だった。

 また1995年度からは生放送コーナーもスタート。テレビを見ている子どもたちが番組に参加できるゲームコーナーが人気を集めた。1995年度から97年度まで放送した「天てれ月曜生放送」は、テレビの前の子どもたちが電話機のプッシュボタンを使って“テレファイター”(97年度は“テレファイターポポゾン”)というキャラクターを動かすゲーム。てれび戦士と一緒にゲームをする楽しさに加えて、不気味なポポゾン(タンポポのゾンビ)が上から落ちてくるケーキを食べる時の効果音「うまいうまい」が強烈な印象を残した。ほかにも1998年度から始まった「生2ゲームスタジオ」は、ハガキにキャラクターを描いて応募。採用されるとそれがゲームになり、ハガキ同志で戦えるという楽しい視聴者参加ゲームだった。

 
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CGキャラクターの「ポコ」とクリスティー・コーサルが会話をしている合成映像の収録風景。
CGキャラクターの「ポコ」の位置にいるのはスタッフ。(1993年8月)
 
 
 

鮮明な記憶とともに甦る“ミュージックてれびくん”

 1998年度に始まり、絶大な人気を集めたのが“ミュージックてれびくん(MTK)”だ。てれび戦士が歌唱するオリジナル曲やカバー曲をミュージックビデオの形で放送。子どもたちに強い印象を残したコーナーで、大人になって「あのころに聴いたあの曲が…」と話題にのぼることも多い。曲数はすでに160曲を超えている。2004年度あたりまでは洋楽のカバーも多かったため、MTKで初めて洋楽に触れたという子どもたちも多かったようだ。

 オリジナル曲も豪華な顔ぶれが担当してきた。ことに『大!天才てれびくん』では多様な音楽の良さを伝えていくことに力を入れているため、さまざまなジャンルの作家性の高いアーティストたちが曲を書き下ろしている。遊佐未森に鴨宮諒(元ピチカート・ファイヴ)、怒髪天、窪田晴男、サエキけんぞう、白井良明(ムーンライダーズ)、高浪慶太郎(元ピチカート・ファイヴ)、沖井礼二、前山田健一(ヒャダイン)、オレスカバンド、などなど。彼らに「誰がどういうテーマで歌うのか」ということを伝えて依頼するという正真正銘のオーダーメード。子どものころに聴いた音楽がいつまでも心に残ることを意識して、より素晴らしい音楽を届けようという番組制作者の心意気なのだ。

 

てれび戦士の“その後”から豪華出演者まで

 『天才てれびくん』のメイン出演者といえば、てれび戦士たち。20年間という長寿番組だけあって、放送開始当時は小学生だったてれび戦士もいまや大人。芸能界から離れた人もいれば、現在もさまざまな形で活躍している元てれび戦士たちもいる。

 10月からスタートする連続テレビ小説『ごちそうさん』で、杏が演じるヒロインの親友を演じる前田亜季は1996年度に新規加入。小学校5年生、6年生の2年間、てれび戦士をつとめた。ウエンツ瑛士がてれび戦士をつとめたのは1995年度から1999年度まで、小学校4年生から中学2年までと長期間だった。ほかにもモデルの中田あすみ(1998〜2002年度)、大沢あかね(1999年度)、タレントの飯田里穂(2002〜2005年度)、俳優の前田公輝(2003〜2005年度)、現在はモデルで活躍するダーブロウ有紗(1998〜2001年度)などがいる。そんななか、異色ともいえる活躍をしているのが三星眞奈美(1995年度)だ。現在は、スキーヤー・三星ナナミとして世界選手権などに出場、ソチオリンピックを目指している。また1996〜1997年度のてれび戦士・生田斗真は、「ヨッちゃん・斗真のギター全力投球」というコーナーを担当。ジャニーズ事務所の先輩である野村義男からギターレッスンを受けた。

 各コーナーの出演者もバラエティーに富んだ豪華な顔ぶれが揃っていた。「FAX習字大賞」(1998〜1999年度)のみうらじゅん、初期の音楽コーナー「ポコ・ア・ポコ」にはタケカワユキヒデ、伊集院光が出演。「なりきりシンガーズ」(1999〜2000年度、2003年度)に清水ミチコ。「ヒットをねらえ」(2000年度)に広瀬香美。お笑いの間寛平、タレントの南明菜、杉浦太陽らがいた。ユニークなところでは、2010年度の「給食には出ない秘密レシピ」コーナーに三國清三シェフなども興味深かった。

 

子どもが好きな“冒険、チャレンジ”を届け続けて

 1993年に放送を開始した『天才てれびくん』は、1999年2月に放送1000回を迎えた。その年の4月から番組タイトルを『天才てれびくんワイド』に変更するとともに、放送時間もそれまでの25分から45分に拡大。2003年4月から2011年4月は『天才てれびくんMAX』と、少しずつリニューアルを重ねていった。

 てれび戦士とテレゾンビの戦いから始まり宇宙に飛び出した『天才てれびくん』だが、『天才てれびくんワイド』で地球に到着し、テレゾンビに乗っ取られていたメディアステーションを奪還。『天才てれびくんMAX』では異世界やテレビの中にある世界にワープしたり、再び宇宙に新天地を求めたりと冒険を続けた。やがて秘密基地に落ち着き、面白い番組作りを目標とするようになる。

 そして放送開始19年目を迎えた2011年度。いっそうのパワーアップを目指してリニューアルした『大!天才てれびくん』(http://www.nhk.or.jp/tvkun/)がスタートした。

 「大天才テレビジョン」という架空のテレビ局で面白い番組作りを目指すてれび戦士たち。会長の斎藤洋介、編成局長の我修院達也、特命プロデューサー・出川哲朗、放送技術研究所主任・ふかわりょうなど、個性豊かな出演者が登場。また20年の歴史を生かして、エグゼクティブ・プロデューサーに上島竜平、報道部長・ウド鈴木と、過去にレギュラーをつとめたゆかりの人々も出演している。「本格的なバラエティー・情報発信・視聴者参加」を3本柱に、子どもから大人まで、また初めて見る人でも楽しめるような番組づくりを進めている。

 なかでも視聴者参加は、常に時代の新しい技術を取り入れながら取り組んできた。視聴者参加の最新の形として現在はデータ放送のコンテンツを次々に開発。テレビのリモコンを操作してさまざまなゲームに参加できるようになった。視聴者とてれび戦士がチームを組んで戦う人気の「激闘カテゴリング」。ドラマと間違い探しを組み合わせた「ドラまちがいd」など、データ放送を利用した楽しい企画が満載だ。

 
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子ども向け教育バラエティーとして始まった『天才てれびくん』。放送開始と同時に子どもたちの心をつかんでしまったのは「真面目でためになる」というのではなく、とにかく彼らの好奇心や興味を刺激してくれる内容だったからだろう。当時、ダチョウ倶楽部のメンバーも「NHKでこんなことやっていいの?」と思ったネタも次々に登場したそうだ。「だけどスタッフも若くてみんな一生懸命だからね」と話している。そんな熱意と冒険心に満ちた番組作りの姿勢が子どもたちの圧倒的支持を集めたのだろう。

『天才てれびくん』歴代司会者

1993年度〜95年度
 ダチョウ倶楽部
1996年度〜97年度
 キャイ〜ン
1998年度〜2000年度
 山崎邦正、リサ・ステッグマイヤー
2001年度
 角田信朗、山川恵里佳
2002年度
 極楽とんぼ
2003年度〜2006年度
 TIM
 *2006年度(木曜日) 井上マー、山口美沙
2007年度〜2008年度
 月〜水 安田大サーカス
 木曜日  ハリセンボン;近藤春菜、箕輪はるか
2009年度
 月〜水 照英、西山茉希、にしおかすみこ
 木曜日  ハリセンボン;近藤春菜、箕輪はるか
2010年度
 月〜水 ガレッジセール
 木曜日 長友光弘、木下優樹菜
2011年度〜
 出川哲朗 鈴木あきえ

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みなさんからの投稿

  • Let's天才てれびくん大好きです

    あけのん|投稿日2015年07月14日 00:55