アカイさんノート: 2018/09/12

NHK人物録 内山理名

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1981年生まれ。神奈川県出身。1998年に女優デビュー後、ドラマ『大奥~華の乱~』や『嫌われ松子の一生』『生徒諸君!』、映画『卒業』や『遠くの空』などで主演を務め、多くの作品で活躍。2006年にはエランドール賞新人賞受賞。NHKでの初出演は1999年の連続テレビ小説『すずらん』。2003年の大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で注目を集め、2017年『マチ工場のオンナ』でNHK初主演となった。『雲霧仁左衛門』シリーズでは主人公・雲霧仁左衛門を慕う、七化けのお千代を演じている。

大河ドラマ 武蔵 MUSASHI(2003)朱実役

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本作が初めての大河ドラマ出演でした。私は武蔵(市川新之助/現・市川海老蔵)にずっと恋していたものの、堤真一さん演じる又八と結ばれる朱実という役でした。

それまで時代劇の経験は少しあったのですが、本格的に一年間時代劇に取り組むことが初めてだったので、大河ドラマ初出演ということよりも、時代劇への準備が大変だったことを覚えています。NHKはもともとリハーサルがしっかりあるのですが、このときはそのリハーサルの前に個人的なリハーサルも設けていただきました。時代劇ならではの所作や言葉遣いも勉強しましたね。でも、朱実は姫のような高い身分の女性ではなかったので、当時の女性らしく自然に着物で立ち振る舞いができるよう学ばせていただいたんです。

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戦乱の世を朱実は母のお甲(かたせ梨乃)としたたかに生きる

 

朱実が最初に登場したシーンは、頭をちょんまげのように結っていて、男か女かわからない感じだったので、おもしろかったですね。といっても当時、わたしはまだ21歳だったので、朱実がそこから遊女になり、母になり、大変な人生を歩む変化を楽しむ余裕はありませんでした。一番覚えていることは、今までに見たことがないような時代劇のセットのなかで、朱実のふん装のままずっと一日中いると、不思議な感覚になっていったことです。“昔の人はこうだったのかな、もしかしたら明日、死ぬかもしれないんだな”と、どんどん自分のなかに現代劇ではありえない感覚が生まれてきたので、その感情を追うことに必死でした。

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朱実は武蔵(市川新之助/現・市川海老蔵)に思いをよせるが…

 

とにかくまわりはすごい役者さんばかり。ただ、又八さん役の堤さんとは『武蔵 MUSASHI』の前に3作品ほど続けて共演していたので、現場では一番身近で一番お話できる方でした。すばらしい役者さんが入れ代わり立ち替わり現場に入られるなか、私にとって堤さんは頼りになるお兄さんという感じでした。

matahatibs.PNGakemiuwamedukai.PNG朱実は赤ん坊とともに又八(堤真一)の帰りを待つ

母恋ひの記(2008)右近役

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 『母恋ひの記』は舞台が平安時代なので、所作がそれまでに経験した時代劇とは全然違ったんです。十二単(じゅうにひとえ)のような、何枚も重なったお着物なので、歩くときは着物の中を蹴って歩くんですよ。平安のお着物って見た目は一番きれいに見えるんですけど、着物の中は男みたいなんです(笑)。この動画のシーンも、蹴らないと歩けないので、前を向いて真剣な顔でいるものの、バサバサ蹴りながら演じていました。

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右近は少将・藤原滋幹(劇団ひとり)の正妻だが…

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滋幹は7歳のときに別れた美しい母(黒木瞳)を忘れられない

 

私は幼いころに母と引き離され、母に会いたいと願う藤原滋幹(劇団ひとり)の妻・右近という役でした。作品を読ませていただいたときに、雅な世界観の中で、女のやきもちをすべて出すような、今までにない役柄だと思い、NHKでこんなドラマをやるんだなと驚いた記憶があります。こういうドロドロしたものが美しく仕上がっていくことがとても印象深くて、すごく好きな作品になりました。

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母の衣装を着た右近に滋幹(劇団ひとり)は激怒する

 

実はこの作品の演出は、私が初めてNHKで出演させていただいた『連続テレビ小説 すずらん』の黛りんたろうさんでした。『母恋ひの記』の撮影後に、黛さんからとても長いお手紙をいただき、「これからも応援しています」と書かれていたんです。デビューして間もないころにご一緒し、10年ぶりくらいにお仕事させていただいた黛さんにそんな内容のお手紙をいただいたことがすごくうれしかったですね。

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古代史ドラマスペシャル 大仏開眼(2010)吉備由利役

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吉岡秀隆さん演じる遣唐使・吉備真備(きびのまきび)の妹・由利という役でした。シーン数はそんなに多くはなかったのですが、ナレーションも担当させていただいたので印象深い作品ですね。実は私、ナレーションがすごく好きなんです。責任は重いのですが、ことばでしか語ることができない作品の世界観を背負わせていただくことができるので、とてもやりがいがあると思っています。

makibi1s.PNG遣唐使として唐に渡り、学才を認められて帰国した吉備真備(吉岡秀隆)

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故郷の妹・由利と17年ぶりの再会を果たす

 

同じシーンは少ないけれど、吉岡さんとはたくさんお話しましたね。とてもナチュラルな方だったので兄妹という役にも自然と溶け込めました。

本作のような奈良時代が舞台の作品はなかなか演じることはないので、ふん装もすごく楽しかったですね。所作も『武蔵 MUSASHI』や『母恋ひの記』とは全然違うので、また一から学ばせていただきました。NHKで時代劇に出演するときには必ず所作のお時間を取らせていただくので、今はそれが身になっていて、とてもありがたいと思っています。

個人的に京都に行くと、奈良まで足を延ばして東大寺に行くことがあったので、東大寺の大仏さまができるまでのお話というのはすごく興味がありました。私は見ることができなかったのですが、撮影では大きな大仏の頭が再現して作られていたんです。でも、船や海などはすべてCG。東大寺で大仏をお披露目する際に集まった大勢の人たちもみんなCGだったので、私もそこに東大寺があるのだと想像して演じたことを覚えています。

makibito.PNGdaibutuls.jpg聖武天皇の大仏造立に真備は反対するが…

マチ工場のオンナ(2017)有元光役

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女社長であり、妻であり、主婦であり、子どももいる光という役でした。原作者の諏訪貴子さんが実際に体験した出来事を描いていくので、大切に演じようと思っていましたが、諏訪さんにお会いしたときに、「自由にやってね」と言っていただいたので、私も気負うことなく、楽しんで演じることができました。諏訪さんはすごく明るい方なんですよ。

一番悩んだことは、光をどう演じようかということ。社長になった光が社員をリストラしなくてはいけなかったり、資金がなくなってしまい、銀行にお金を借りにいかないといけなかったり、大変なことがいろいろあるなか、どういう人物だったら皆さんに共感してもらえるのかなと悩みました。見てくださる方は女性の方が多いだろうし、主婦の方に、「こんな主婦いない」と思われたくなかったんです。女性としての悩み、主婦の悩み、母親の悩みを表現したいと思い、人物像を細かく考えて撮影に臨みました。

charinko2s.jpg専業主婦の光が父の町工場を守るために奮闘!

koubayokogao.jpg共演者はみんなすごく仲良かったですね。社員を演じてくださった方々のおかげで私が自由にできたのだと思います。柳沢慎吾さんや竹中直人さんなど、大先輩ばかりだったので、すごく心強く、私はその場にいるだけでよかった。皆さんの芝居を受けて、泣くシーンでは本当に自然と泣けてきました。

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会社を存続させるためリストラを断行した光に職人の勝俣(竹中直人)や純三(柳沢慎吾)は猛反発

 

父親役の館ひろしさんはダンディーで、恰好よくて、こんなお父さんいないと思うくらいすてきな方でした。もちろん撮影に入ると頑固な父親になるんですけどね(笑)。光は自分がお父さんに突き放されるのは、自分が男の子じゃないからだと思っていたので、光とお父さんの間には距離があったんです。その距離感というものがこのドラマを作り上げていたと思うので、普段の舘さんが本当のお父さんみたいではなかったことが、その距離感を絶妙に生んでよかったんだと思います。ただ、光のお父さんも舘さんも、遠くから私を見てくださっているところは共通していました。

taizou1s.PNGhikaru1s.PNG父・泰造(舘ひろし)は光を工場の跡取りとして厳しく育てるが、光はその思いに応えず…

byoshotaizou.PNG突然倒れた泰造は余命数日のがんだった

syokunintowarai.PNG光は会社倒産の危機を乗り越えられるのか?

雲霧仁左衛門シリーズ(2013~)七化けのお千代役

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毎回、『雲霧仁左衛門』の撮影で京都の松竹撮影所に行くときは緊張します。京都のスタッフは時代劇のプロフェッショナルの方ばかりですし、芝居をものすごく見てくださっているので、皆さんと一体になって作品を作り上げていくことを感じながら演じています。そういう緊張感をいただける現場は少ないので、とてもありがたいことです。

私が演じる七化けのお千代は、いろいろな人物に化けるので、ある意味、女優のようです。私もこの仕事をしていて、まさか役のなかでこれだけ違う人物にいくつもなりきるとは思いませんでした(笑)。しかも時代劇ならではの化け方なので、現代劇ではできないような、本当に男性に見えるような男装をすることもありましたね。お千代として化けるシーンは毎回楽しみです。

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お千代は公家から商家の妻、女中まで何にでも化け、盗賊の引き込みを働く

 

盗賊一味のお頭・仁左衛門(中井貴一)は、まさに理想のリーダー。彼がいるからこそ、お千代は安心して働けるのだと思います。そんな2人の関係が私は大好きです。ミスを犯さず、隙がないように見えるお千代も、唯一ミスを犯してしまうのが仁左衛門への恋心が出てしまうとき。そこが女性らしくてかわいらしいなといつも思っています。「シリーズ4」の最後の方では、お頭とお千代、お互いの思いが表に出るようなシーンがあります。お千代の根底にある秘めた思い。そこがこのシリーズのなかでも見どころのひとつですね。

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孤児だったお千代は仁左衛門(中井貴一)に拾われ、雲霧一党に加わる

 

お千代はこれまでのシリーズで殴られたり、縛られたり、拷問にあったりしていますが、まったく苦ではなく、けっこう楽しんで演じています(笑)。私はもともとアクションや殺陣もやりたいタイプ。でも、女性で殺陣を入れていただける時代劇はあまりないんですよね。その点、お千代はいろいろと動かせていただけるので、殺陣師の方に「アクションや殺陣、やりますので言ってください」とお話していたんです。そうしたら、屋根の上から飛び降りるというシーンが本当に出てきて(笑)。お千代はやるときはやる女性なので、私としても、「拷問シーンやアクション、むしろやります!」という感じです(笑)。

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