アカイさんノート: 2018/08/06

NHK人物録 マイコ

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(プロフィール)

1985年生まれ、東京都出身。映画『山のあなた〜徳市の恋〜』のヒロイン役で注目を集める。主な出演作品、ドラマ『新参者』、映画『カフーを待ちわびて』『山形スクリーム』『SPACE BATTLESHIP ヤマト』、舞台『ガラスの仮面』など。NHKでは、大河ドラマ『龍馬伝』、連続テレビ小説『おひさま』、福井発ドラマ『恐竜せんせい』など。ドラマ10『透明なゆりかご』では、沖縄出身の妊婦さんで、ヒロイン・アオイ(清原果耶)の良き相談相手となる町田真知子役で出演。

 

 

大河ドラマ 龍馬伝 (2010年) 岩崎喜勢役

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初めてのドラマ出演がいきなり大河ドラマだったんです。私自身はもう十分大人でしたけれど(笑)、まるでよちよち歩きの赤ちゃんが大人の世界に放り込まれたような緊張の中、必死で過ごした日々でした。

ただ、そんな緊張を少しやわらげることができたのは、私の夫となる岩崎弥太郎を香川照之さんが演じられていたことです。以前、別の作品でごあいさつをさせていただいたことがあり、初めてではないという安心感もあって現場に向かったのですが、とても歓迎してくださってそれが嬉しかったですね。

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美人で気立てのいい喜勢は弥太郎(香川照之)を運命の人と信じる

喜勢が嫁いだころの岩崎家は本当に貧しくて、セットで建てられた家がぼろぼろで驚いたことを覚えています(笑)。でも温かな愛にあふれた一家で家族のシーンはとても楽しかったです。祝言のシーンで大勢の祝い客が集まってくれたときは、なんだか私が本当に嫁いできたかのようなリアルな感覚にとらわれて幸せな気持ちになりました。香川さんのすさまじい汚しメイク、手持ちカメラの撮影、舞い散るコーンスターチなど、初めてのことも多かったので慣れるまでは驚きの連続でしたが、あの見事なまでの臨場感が自然にドラマの世界に入り込ませてくれました。

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材木の商いで金を手に入れた弥太郎は喜勢と抱き合って喜ぶ

 

主演の福山雅治さんは穏やかな方で、座長として現場にいい空気を作り出してくださっていました。また香川さん、福山さんはじめ、先輩方の役作りや役への切り替え方などを間近でみられたことも刺激的でした。プロとはこういうものなんだということを肌で感じられましたし、その感覚は今も私の中に残っています。忘れられない贅沢な現場でした。

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坂本龍馬(福山雅治)

連続テレビ小説 おひさま (2011年) 相馬真知子役

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登場人物が、みんな一生懸命でけなげで素敵ですよね。私自身の青春だった学生時代とは別に、このドラマでもう一つのキラキラした青春時代を生きたような気がします。「白紙同盟」で結ばれた陽子(井上真央)、育子(満島ひかり)、そして私の真知子。個性がばらばらなのに強い絆で結ばれていた3人でした。実際には私が少しだけ年上でしたが、キャリアに関しては2人が先輩。私は近くで2人を見てとても尊敬していましたし、頼っていました。

ohisama3s.PNG 育子(満島ひかり)・陽子(井上真央)・真知子 テストを白紙で出した3人は生涯の友となる

 

ドラマの中の真知子も同じでしたね。陽子と育子の影響で初めて親に反発したり……。トイレに閉じこもったシーンはすごく記憶に残っています。許嫁がいること、親の敷いたレールの上を歩くことなど、今の私とはまるで違う境遇の真知子の心境を理解するのはとても難しかったです。ノートに書き出して分析をしたり、いろいろな工夫をして臨みました。籠城した真知子が父親(平泉成)にトイレの扉を開けさせまいと必死になったシーン。渾身の力で押さえていたので翌日は全身が筋肉痛になっていました(笑)。

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父(平泉成)の決めた結婚に抵抗し、真知子は陽子とともにトイレに立てこもる

 

陽子のお兄さんの春樹さん(田中圭)とのかなわぬ恋もけなげでした。後半で郵便配達をしていた真知子と春樹さんが偶然出会ったシーン。ほんの一瞬だったけれど、かつて贈られたハイネの本のお礼を伝える真知子に、「捨ててください」という春樹さん。「できません。だってすごく好きなんです。ハイネ。」って。お互いの思いをその言葉にのせて別れた切ないシーンでした。

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陽子の兄・春樹(田中圭)は軍医として戦地へ赴くことに…

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春樹の戦死の知らせに涙を見せまいとする真知子

 

そういえば真知子の子供の名前は、スタッフさんから言われて私が命名したんですよ。最初に頭に浮かんだのは、お父様の剛三という名前。愛情を込めて「剛(たけし)」がいいかなって。でも最終的には、当時の名前のランキングで上位にあった「実」としました。自分の足で立っている真知子さんがつけそうな名前だなと思ったんです。

 

 

福井発ドラマ 恐竜せんせい(2013年)汐崎野子役

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初めての主演ドラマでしたが、それまでNHK作品に出演させていただいていつも現場がとても温かいことを知っていたので、プレッシャーを感じることなく参加させていただきました。

タイトルが『恐竜せんせい』なので、まず恐竜図鑑を買うところからスタートしました。私にとって恐竜は近い存在ではなかったので名前を覚えるところから(笑)。でも、この作品を通して勉強になりました。また、1か月近く福井に滞在しての撮影でしたが、地元の方たちがすごく盛り上げてくださり一緒に作りあげてくださったんです。地元のお祭りや民家のシーンは、やはり現地でなくては感じられない空気があり、それにはとても助けられました。

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舞台となった福井県勝山市は“フクイサウルス”などの化石発掘で知られる恐竜のまち

 

私が演じた野子は、小学生時代に新種の恐竜の化石を発見したという嘘に負い目を感じ、仕事をやめてもう一度人生をやり直そうと地元に戻ってきた人物です。お芝居の中で、「化石を見つけたんじゃない」と子供たちに告白するシーンがあったのですが、彼らがまっすぐな濁りのない目で私を見つめていて……。そんな純真無垢な子どもたちに嘘をついたというのが苦しくて、演じていても辛かったです。また子供たちに慕われる役だったのに、あまり子供に慣れていなかったので、最初のうちはどう接したら良いのかわかりませんでした。でも、徐々に距離が近づき子役の子たちに仲良くしてもらえたので(笑)、いい時間を過ごすことができました。

結局、化石は見つけられないけれど、もっと大切なものを見つけることができたという温かくて素朴で愛らしいドラマでした。

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祭りの日も河原で恐竜の化石を探す子どもたちに野子は真実を打ち明ける

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BS時代劇 妻は、くノ一(2014年)静湖役

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静湖姫は、松浦静山(田中泯)の娘で三十路(みそじ)を過ぎて独身という、この当時としては大変な女性の役でした(笑)。七度の縁談に失敗しているうえ、男まさりで思ったことは何でも口に出してしまう。裏表のない気持ちのよいキャラクターでした。でも、実は演じている時はそれほど客観的には見られなかったんですよ。今、改めて見直してみて、こんなに世間知らずな姫様に映っているとは思いませんでした(笑)。どこかギャグ的も部分もあり憎めないキャラクターに仕上げていただいて嬉しかったですね。

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着物の所作もそうですし、言葉も難しかったので余裕がなく、現場でずっと気が張っていました。そんな中でも、田中泯さんや彦馬役の市川染五郎さん(当時/現:十代目松本幸四郎)がいろいろなお話をしてくださり、緊張をほぐしてくださったんです。先輩方のお心遣いがすごく嬉しくて、私も将来そんなふうに振る舞えたらなと思ったことを覚えています。

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寺子屋で教える彦馬(現:十代目松本幸四郎)は大の星好き

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彦馬の素朴な人柄にひかれてゆく静湖だが…

 

そういえば、衣装合わせの時に静湖姫の気持ちの流れを着物で表現しましょうということになり、最初は濃いブルー、恋に落ちたあとはピンク色の着物になりました。後半はまたブルーに戻っていたり。ピンク色の華やかな着物にかわいい乙女心が表れていたと思います。その後、八度目の縁談がうまくいっていればいいんですけどね(笑)。でも、きっと静湖姫はめげないでしょうね。

 

 

 

ドラマ10 透明なゆりかご(2018年)町田真知子役

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最初に原作を読ませていただいたのですが、知らなかったことばかりでショックを受けました。でも知ることができて良かったし、情報として知っておくべきことだとも思いました。この作品に携われることができて良かったと思っています。

出産にまつわるデリケートな内容ですし、エピソードとしても重たい話が続きます。辛い描写もあります。でも、だからこそ産婦人科の先生や看護師さん、そして家族の支えや愛が心にしみる作品だと思いました。

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看護助手として働くアオイ(清原果耶)

 

私が演じるのは、おだやかで明るく幸せな妊婦さんを象徴するような女性です。最後は悲しい結末が待っているのですが、それだけにそれまでは元気で幸せのピークにある夫婦を演じています。真知子の年下のだんなさんを演じているのは葉山奨之さん。私たち実年齢で10歳違うんですよ(笑)。頼りないようでいてそうではない陽介くんを好演されていて、なぜ真知子が好きになって結婚したのかわかります。ちょっとおバカなことを言っても愛おしくて、いいカップルですね。

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身重の真知子を心配する優しい夫・陽介(葉山奨之)

 

分娩台に上がるのは初めてでしたが、産声を聞いた時はなんて尊い瞬間だろうと感極まる貴重な経験をさせていただきました。それに、産婦人科チームのみなさんが、役としても私個人に対しても本当に気遣ってくださって、その温かさにも感動しました。婦長さん役の原田美枝子さんはずっと手を握ってくださったり、足をさすってくださったり。由比先生役の瀬戸康史さんも本当の妊婦のように扱ってくださったし、看護師役の水川あさみさんのてきぱきとした明るさに元気をいただけました。みなさんの優しさが嬉しかったです。主演の清原果耶さんはまだ16歳なのに、こんなにしっかりした16歳がいるんだとびっくりしました。落ち着いていて素晴らしい方で、ご一緒できて幸せでした。

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由比院長(瀬戸康史)と看護師の紗也子(水川あさみ)