アカイさんノート: 2017/05/29

NHK人物録 ムロツヨシ

murosanima.PNG

(プロフィール)

1976年生まれ。神奈川県出身。主な出演作に、ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、『重版出来!』『スーパーサラリーマン左江内氏』、映画『ヒメアノ〜ル』『疾風ロンド』など。2017年7月には映画『銀塊』公開。舞台『muro式』では出演・構成・演出を手がける。NHKでは『真夜中のパン屋さん』、連続テレビ小説『ごちそうさん』、『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』、大河ドラマ『平清盛』などに出演。2017年、大河ドラマ『おんな城主 直虎』に瀬戸方久役で出演。

 

 

2012年 大河ドラマ 平清盛(平忠度役)

D0009120091_00000_S_001.jpg

archives_comment_button01.gif

 大河ドラマ初出演ということで、すごく緊張したことを覚えています。忠度は清盛の六男で、ずらりと居並ぶ兄弟に初対面のあいさつをするというシーンが最初でした。ところが、リハーサルの第一声「忠度(ただのり)でございます」というセリフを、「ただよしでございます」と言ってしまったんです。みんながいっせいに笑ったことを覚えていますが、逆にそこで緊張がほぐれてよかったです(笑)。落ち着いてみんなの顔をよく見たら、忠度が一番年下なのに実際に演じている役者さんは全員僕より年下。それが面白かったですね。その後、踊ったり歌ったりするシーンもあり、それはものすごく練習しました。

iwaiodori.jpg

清盛の宴席で祝い踊りを披露する

koronda.PNG

    これまで喜劇で実在の有名人の役を演じたことはありましたが、大河ドラマで歴史上の人物を演じるのは初めてのことなので、いろいろ調べてみたら明石にお墓があることがわかったんです。民家と民家の間にぽつんという感じで置かれたお墓でした。でもそうやってお墓参りが出来たことも良かったですね。

 清盛役の松山ケンイチさんは背中から殿の大きさを感じさせてくれるような存在でした。現場での行動も殿そのもの。また僕が参加したころから清盛は病気になっていくのですが、それに合わせてやせていく姿にも役者として大きな刺激を受けました。改めて大河ドラマの看板を背負うことのすごさを知った気がします。

kiyomorianiue.PNG

平清盛(松山ケンイチ)

mutyaburi.PNGwakamodekiru.PNG

 

2013年 土曜ドラマ 実験刑事トトリ2(和久井高志役)

D0009120092_00000_S_001.jpg

archives_comment_button01.gif

 小学生のころ、三上博史さんが出演されたトレンディドラマはほとんど見ていました。その三上さんが目の前でお芝居をされている、しかも刑事と犯人として対峙するということが嬉しくて、ちょっとしびれましたね。都鳥(ととり)刑事が推理を重ね、僕の演じた和久井のトリックを解いていく。そこでどんどん僕が動揺していくというシーンは、本当にやりがいがありました。

 空き時間にもいろいろとお話をさせていただいたのですが、ある時、「最近、決断力がないんですよ」と言ったら、三上さんは「それはすごくいいことだよ。プライベートな部分での決断力が弱まっているのは、仕事が忙しく充実しているからで、必要な力は全部仕事の方に使っているんだから」と。三上さんがそう言うんだから「いいんだ」と思ったことをよく覚えています(笑)。

totorikeiji.PNG

刑事・都鳥(三上博史)の推理が犯人を追い詰める

douyou.PNG

 もう一つ、嬉しかったのが西田征史さんの脚本だったこと。11 年前に僕がやった舞台『泥棒役者』の脚本、演出が西田さんだったんです。お互いにまだ仕事もそれほど多くはなかった時代で、もっとしっかりプロとして認められるように頑張って、いつかまた違った形で一緒に仕事をしましょうと話していました。それがこのドラマで実現したんです。「良かったです」「こちらこそ楽しい脚本でした」と連絡を取り合えたこともあって、思い入れのある作品です。その後、西田さんは『とと姉ちゃん』の脚本を手がけられ、僕もまた大河ドラマに出演が決まるなど、お互いにしっかりとそれぞれの仕事をやり続けてこられたことを改めて実感しています。

genbakensyou.PNG

 

 

2013年 連続テレビ小説 ごちそうさん(竹元勇三役)

 D0009120093_00000_S_001.jpg

archives_comment_button01.gif

 『ごちそうさん』には途中から参加したのですが、最初にプロデューサーさんや演出陣のみなさんから「NHKとか朝ドラという枠を外して、好きなようにやってください」と言っていただいたんです。そこで僕も竹元という人物をどう表現するのか、いろいろなアイデアを持って稽古場に行ったことを覚えています。びっくりしたのは “大声を出す”というのが採用されてしまったこと(笑)。悠太郎(東出昌大)を怒るというところから始まったのですが、そこからずっと怒っている人になり、大声を出し続けなければいけなくなりました(笑)。本当にのどを酷使する役でしたね。

kyoujyuraiten.jpg

開明軒の入口の階段でケガをし、激怒する竹元

 竹元には独特の美意識があって、その理想をひたすら追求している人物でした。あの時代、理想を追い求めるだけの生き方というのは、なかなか理解されにくかったはずで、それを頑固に貫き通す勇気がカッコいいなと思いました。悠太郎たちに対しても、ただ怒っているだけでなく愛もあるのですが、その表現方法がみんなと違うだけなんです。他人には理解されにくいけれど彼なりの愛情表現も魅力的だと感じていました。

kyoujyuraiten.jpg

開明軒の入口の階段でケガをし、激怒する竹元

  竹元には独特の美意識があって、その理想をひたすら追求している人物でした。あの時代、理想を追い求めるだけの生き方というのは、なかなか理解されにくかったはずで、それを頑固に貫き通す勇気がカッコいいなと思いました。悠太郎たちに対しても、ただ怒っているだけでなく愛もあるのですが、その表現方法がみんなと違うだけなんです。他人には理解されにくいけれど彼なりの愛情表現も魅力的だと感じていました。

ougiko.jpg

悠太郎(東出昌大)も怒鳴られてばかり…

    最初に「やり過ぎたら言ってくださいね」とお願いしておいたのですが、一度もストップがかからず、最後まで暴走し続けて(笑)、本当に楽しかったです。それまで出演する機会の多かった深夜ドラマならではの演技を、朝ドラでやらせていただくことが出来たことも嬉しかったですね。おかげで深夜ドラマを見ないような世代の方たちにも、僕のことを知っていただくとてもいい機会になりました。そういう意味でも、プロデューサーをはじめスタッフのみなさんにとても感謝しています。

gurume.jpgkareenokami.PNG

味にうるさい竹元だが、め以子(杏)の作るカレーは絶賛

 

 

2013年~ LIFE!〜人生に捧げるコント〜

D0009120094_00000_S_001.jpg

archives_comment_button01.gif

 僕が小学校高学年から中学生のころ夢中になったバラエティー番組が、ダウンタウンさんやウッチャンナンチャンが出ていた『夢で逢えたら』や、ナインティナインさんの『とぶくすり』といったスタジオコントでした。こんなことをやってみたいとずっと思って見ていたので、『LIFE!』に呼んでいただいた時は嬉しかったですね。ところがいざ参加して痛感したのがスタジオコントの難しさでした。これまで役者としてコメディードラマに出演してきましたが、喜劇を演じることとスタジオコントは少しだけれど明らかに何かが違う。それをその場に立って初めて思い知らされたんです。3年間、『LIFE!』に参加させていただいて、いまだにその違いがわからなくてもがいているのですが、でも、わからなくていいのかも知れません。内村光良さんや田中直樹(ココリコ)さん、塚地武雅さんといったお笑いの先輩方と、喜劇役者としての僕、表現の仕方に違いはあるかもしれないけれど、視聴者のみなさんを笑わせたい、笑ってほしいという思いは変わらない。それなら、あがきながらやってもいいのかなと。

susyasyoutouti.PNG

『プラス車掌』田中直樹(左)と内村光良

youkaisyutugen.PNG

『妖怪どうしたろうかしゃん』

kowagaranai.PNG

人の怖がらせ方がわからない妖怪を演じる

 ただ近くには俳優の世界の人間である星野源くんがいて、二人でやるコントも多かったので、それはよかったなと思っています。彼はけっこう加速力があって、「止まれ!」って言っても聞こえないみたい(笑)。僕が後ろにいるつもりはないんだけど、ちょっと先に行かれそうになったり。でも、そうするとしっかり自分のことを考える時間もできて、いい戦友という感じですね。今は、お笑いの先輩方に無理に合わせるのではなく、自分でジャッジして決断したやり方を勇気を持ってやってみよう。そんなふうに思っています。失敗したらまたすぐに、みんなに好かれる八方美人、十六方美人、三十二方美人に戻ろうかと思っていますが(笑)。いろいろ試して失敗がないと成長しない人間なので。

omoemon.PNG

ムロツヨシ演じる“さとし君”が大好きな“オモえもん”(星野源)

 

 

2017年 大河ドラマ おんな城主 直虎(瀬戸方久役)

D0009120095_00000_S_001.jpg

archives_comment_button01.gif

    方久が最初に登場したのは、おとわがあばら屋で出会ったひげもじゃの男。それが、直虎が城主になったときには金ぴかの衣装でお目通りするという成金感満載の人物となっていました。ひと目でお金持ちとわかるだけでなく、銭の匂いに鼻がきく“銭の犬”という設定です。そこで、「うーカン!カンカンカン」と犬のように吠えたりしましたが、あれ、僕が自発的にやったというより演出なんです。そこまでやる必要があるのかなと思いましたけど、「もっと犬になってくれ」って(笑)。でも、おかげでキャラクターがついて、貫(かん)という銭の犬の印象を強調するシーンになったと思います。

hatutoujyou.PNG

幼いおとわが出会った無一文の流れ者の男

sinderera.PNG

 井伊家の財政を動かすほどの豪商に

  この役について岡本プロデューサーからオファーをいただいたときは「ムロさんにぴったりの役があります」とのことでした。詳しくうかがったら、どんどんのし上がっていく役だということでしたので、演じるうえで“野心”を一番大事にしています。ある程度のし上がったからといって、そこで満足するのではなく次を追い求める姿勢というのを大事にしたいですね。ぴったりの役と言っていただいたとおり、僕自身もこの世界でのし上がってやろうと思いながら生きてきて、ようやく仕事でご飯が食べられるようになり、逆に野心を持ち続けることの難しさも実感しているところです。そんなところを方久から学べればいいなとも思っています。

 井伊家と方久の関係はつかず離れずですが、直虎には人として魅かれている部分もあります。ただ距離を詰めすぎるとお金儲けができなくなってしまう。そこは損得勘定の働く男なので、そのあたりの方久の動向も注目していただければと思います。

anotokino.PNG

直虎(柴崎コウ)も方久の変貌ぶりに驚く

houkyuuyoko.PNG