スポーツ100万倍

スポーツバラエティ平成1ケタ代1990年代さ-そN-Z


本音トークで選手の素顔に迫る
スポーツバラエティ番組の草分け


番組ノート

2009年3月13日(金)

 『スポーツ100万倍』は、1994(平成6)年4月から1年間放送されたスポーツバラエティ番組の草分け。
 毎回、様々な分野のスポーツ選手をスタジオに招き、トークで選手の本音に肉薄。さらに、運動生理学の専門家による独自の分析によって、選手の持つ運動能力のすごさをお茶の間にわかりやすく届けるという形式だった。また、漫画家やくみつるが番組中に完成させるゲストの似顔絵も人気だった。




スポーツ100万倍      スポーツ100万倍

"天才と伝説"をテーマに

 放送が始まった1994年はJリーグブームやリレハンメル冬季五輪の日本選手団活躍などスポーツ人気が上昇中。だが、当時は、選手を知る機会はスポーツ競技の中継やニュース番組での特集コーナー程度で、その人の素顔や内面を伝える番組はほとんどなかった。
 そこで、『スポーツ100万倍』は、毎回一人の選手にスポットをあてて、名勝負、名場面のエピソードを披露してもらい、その選手の素顔に迫ることを狙いとした。

 第1回の放送では、サッカーの元日本代表で、メキシコ五輪銅メダルの立役者、釜本邦茂が登場。さらに、競馬ジョッキーの武豊やフィギュアスケートの伊藤みどり、プロ野球の落合博満(現:中日ドラゴンズ監督)など毎回多彩なゲストを迎え、番組のテーマである"天才と伝説"をひもといていった。

選手本人が明かす"今だから話せる話"

 司会は、タレントの中山秀征、斎藤英津子とスポーツライターの小林信也というトリオ。
 中山は、衛星第2『もっと過激にパラダイス』(1993年度)の司会を経て、NHK総合テレビの初レギュラー。斎藤は、NHK『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』のキャスター経験を買われての抜擢だった。

 番組のウリは、選手が語る"今だから話せる話"。かつてのあの名勝負、名場面の裏に「こんな意外な人間ドラマがあったのか!」を発見する番組だ。
 スタジオトークの面白さを生かすため、台本には細かいセリフがない。ほとんどがフリートークでアドリブがどんどん飛び出す。そのために、スタッフは貴重な映像やライバルの証言、当時の記録などの隠し球をいくつも用意。その隠し球をきっかけに楽しい話を引き出した。

 ゲストの強さの秘密を分析する「スポーツサイエンスコーナー」では、中京大学教授・湯浅景元によって、科学的な視点からアスリートのすごさを実証。面白くてタメになるドキュメント+バラエティがこの番組のコンセプトだった。


千代の富士 連勝ストップの舞台裏を語る

 1994(平成6)年5月3日放送の「今語る千代の富士53連勝のドラマ」は、九重親方(横綱・千代の富士)が登場。歴代2位となる53連勝達成と、連勝を止められた大一番の舞台裏を明かし、話題となった。

 番組では最初に、千代の富士の先祖が江戸末期から明治にかけて活躍した津軽藩の力士「嶽の浦」で、あまりの強さに妬みを買って毒殺された、というエピソードを、彼の写真とともに紹介。さらに、九重親方も見たことがなかった「入門前14歳の時の貴重な8ミリ映像」がテレビで初公開された。

 番組のハイライトは、53連勝の翌日に迎えた横綱・大乃国(現在、"スイーツ親方"としても活躍の芝田山親方)との大一番の舞台裏。
 大乃国は、前日に師匠の放駒親方から「どうせ勝てないのだから、相手をヒヤッとさせるくらいは頑張れ」とハッパをかけられ、いつもより2時間早く起床して、練習を重ねていた。一方、前日に幕内優勝を決めていた千代の富士は「祝賀ムードに浸り、夜遅くまで飲食店を2~3軒はしごして、心に隙が出来ていたようだ。1~2度の仕切りで相手が何を考え、どんな作戦で来るのか判っていた連勝中とはうって変わって、最後の仕切りまで相手が何を考えているのかつかめず、不安を抱えたままで勝負に挑んだ」と、スタジオで当時の胸の内を初めて明かした。

目隠しで動く的に当てる神業

スポーツ100万倍      スポーツ100万倍
目隠しで動く的にズバリ!             番組の最後はゲストの似顔絵

 1994(平成6)年11月18日放送の「ラスト90秒・逆転のシナリオ 天才QB東海辰弥の決断」では、アメフトの人気クォーターバック・東海辰弥(アサヒビール シルバースター)が登場。
 印象に残るのは、スポーツサイエンスコーナーでのシーンだ。目隠しして動く的に野球のボールを当てるという難題に挑戦。的を乗せた台車は、スタジオ内に用意された斜面を向かって右から左に滑り降りる。司会の中山秀征は、目隠しなしで挑戦したが当てられない。しかし、東海は3回目の挑戦で見事に当ててしまったのだ。
 運動の記憶をパターン化して脳に蓄積させることでなし得る神業。「2年連続日本一になった京都大学時代の練習は、まさに脳への蓄積のために繰り返し続けていたのか」と本人も納得していた。


  『スポーツ100万倍』は、漫画家やくみつるさんがゲストの似顔絵を番組中に描きあげて、エンディングで紹介する企画も名物だった。ただ、やくさんは、当時すでに相当の売れっ子で、数多くの仕事を抱えながらの出演だったため、スタジオ入りが本番開始ギリギリということもあったという。出演者の中で、最も忙しい人だったかもしれない。
 また、司会陣の一人、スポーツライターの小林信也さんは現在、NHKラジオ第1の『ラジオビタミン』にて月に1度(金曜日・午前8:35~ 4月からは月曜日)「親子deスポーツ」というコーナーに出演している。スポーツへの情熱、含蓄ある名調子は今でも健在だ。


◇放送期間:1994(平成6)年4月5日~1995(平成7)年3月17日
◇放送時間:総合テレビ 火曜 22:00~22:39 (4~9月)
                     23:15~23:54 (10~3月)

◇司会:中山秀征、斎藤英津子、小林信也(スポーツライター)
◇レギュラー出演 湯浅景元(中京大学教授・現中京大学体育学部長)
            やくみつる(漫画家)

◇放送記録・ゲスト一覧

 「メキシコ五輪・日本サッカー奇跡の銅メダル」  釜本邦茂
 「大地勝った!金メダル55秒のドラマ」   鈴木大地
 「武豊が語るオグリキャップ感動のラストラン」  武豊
 「今語る千代の富士53連勝のドラマ」  九重親方(元横綱 千代の富士)
 「一本足打法は一夜漬けだった?王貞治が語る伝説の真相」  王貞治
 「まさかのKO勝ち 具志堅用高が語る恐怖のグスマン戦」  具志堅用高
 「死闘!山下泰裕VS斉藤仁」~中山秀征、山下に一本勝ち  山下泰裕
 「星野一義~激突事故から復活した日本一速い男」  星野一義
 「世界中が待っていた 伊藤みどり感動のトリプルアクセル」  伊藤みどり
 「村田兆治 涙の復活ドラマ」  村田兆治
 「中野浩一 傷だらけの勝利 世界選手権V10の死闘」  中野浩一
 「加藤久のW杯ここが見どころ」  加藤久
 「橋本聖子~限りなき五輪への挑戦」  橋本聖子
 「稲尾VS長嶋・奇跡の逆転劇」  稲尾和久
 「サッカーW杯 アジア躍進の秘密」  セルジオ越後、松永成立
 「夏はやっぱり甲子園」  香川伸行、坂本佳一
 「炎のリターンマッチ 輪島功一VS柳済斗」  輪島功一
 「森末慎二の金メダル秘話」  森末慎二
 「大関朝潮・綱取り失敗談」  若松親方(元大関 朝潮)
 「2人のエースアタッカー」  大古誠司、横田忠義
 「山本美憂・アマレス女王の全魅力」  山本美憂
 「田村亮子 ただ今50連勝中」  田村亮子
 「'89巨人・奇跡の逆転日本一」~藤田元司・日本シリーズを語る  藤田元司
 「ゴルフの女王チャコ 全米制覇秘話」~樋口久子・メジャータイトルへの道  樋口久子
 「柴田政人 ターフにこだましたマサトコール~ダービーへの夢路」  柴田政人
 「泣いた・そして笑ったリレハンメル」~原田雅彦・金メダルへのジャンプ  原田雅彦
 「ラスト90秒・逆転のシナリオ」~天才QB東海辰弥の決断  東海辰弥
 「中田久美 夢を追った天才少女」~名セッター 中田久美の12年  中田久美
 「サハラ砂漠時速200キロの死角」篠塚建次郎パリ・ダカールへの挑戦  篠塚健次郎
 「さらば人魚姫よ」~シンクロ女王・小谷実可子のラストステージ  小谷実可子
 「勝利へのインサイドワーク」~森祇晶の野球人生   森祇晶
 「踊る喜びをもう一度」 ~新体操の女王 川本ゆかり・最後の挑戦  川本ゆかり
 「執念の一打、ペナントを呼ぶ 落合博満・天才打者の真実」  落合博満
 「勝利をもぎとった左ジャブ」~薬師寺保栄、辰吉戦を語る  薬師寺保栄
 「オレの土俵は終わらない 小錦八十吉・不滅の闘志」  小錦
 「コンマ1ミリの戦い ライフル射撃・源洋子の挑戦」  源洋子
 「達成 単独無寄港世界一周」~白石鉱次郎・177日の航跡  白石鉱次郎
 「大空に舞い、雪原を駆ける」~ノルディック複合の帝王・荻原健司  萩原健司
 「フルスイングのかなたに 鉄人衣笠の限りなき挑戦」  衣笠祥雄

みなさんからの投稿

「スポーツ100万倍」
大好きな番組で、おそらくすべて見たと思います。
実は、その主題歌とエンディングテーマの両方を知りたいです。たしか女性ヴォーカル曲で、主題歌かエンディングか忘れましたが、
“今、這い上がれ、立ち上がれ、運を掴め”とか、そんな歌詞だったと思います。
今、聴いてみたいです。

(mistivas)

投稿日2010年09月20日 00:03


>mistivasさんへ
「~必ず手に入れる栄光の未来~」ですね。
貴島サリオさんのCATCHING MY DREAMSという曲です。
CDも市販されていて、まだ手に入れられるようですよ。

(アカイさん)

投稿日2010年09月24日 11:47


アカイ様
ありがとうございます。
こんなに早くご回答いただけるとは…感激です。

『CATCHING MY DREAMS』は、おそらくオープニングテーマだと思いますが、エンディングテーマも貴島サリオさんでしょうか?タイトルを知りたいです。しつこくてスミマセン…

(mistivas)

投稿日2010年09月27日 17:57


>mistivasさんへ
確認してきました。オープニングもエンディングも同じ曲です。
オープニングは曲の出だしを、エンディングはサビの部分を中心に使っております。

(アカイさん)

投稿日2010年09月29日 14:39


アカイ様
ありがとうございました。
これからも頑張ってください!
応援しています。

(mistivas)

投稿日2010年10月02日 14:40


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読めば読むほど、番組の様子やその当時のことが思い起こせる『アカイさんノート』。
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