少年ドラマシリーズ『なぞの転校生』

ドラマ昭和50年代1970年代な-の


なぞの転校生の正体は・・・強いメッセージを伝えるシリーズ屈指の人気作


番組ノート

2008年8月22日(金)

東京郊外の中学校を舞台に、抜群の学力と超能力を持った転校生の少年が引き起こす事件、そして、同級生たちとの友情を描く。眉村卓の同名原作のSFサスペンスドラマ。少年ドラマシリーズの54作目として、1975(昭和50)年に全9回で放送された。

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                   転校してきた典夫                広一とみどり

  なぞの転校生の正体は・・・

 主人公は、東京郊外の団地に住む中学2年生の岩田広一。物語は広一と、隣に越してきた奇妙な少年との出会いから始まる。光線銃のようなものを持ち、首筋には星形に光るマークの少年に広一は不審なものを感じる。
 翌日、少年は広一のクラスに転校生としてやってくる。山沢典夫と名乗り、「趣味は別にありません。それから暴力は大嫌いです」と自己紹介。不気味な雰囲気をただよわせるが、成績抜群、並外れた運動神経でたちまちクラスの人気者になっていく。広一のガールフレンド・香川みどりも次第に心を惹かれていく。
 次々と引き起こされる事件、深まる謎・・・
 やがて、典夫の家を訪ねた広一は、典夫の父や同じ星形のマークをつけた仲間たちと対面。そこで、真実が告げられる。彼らは、別の次元の宇宙から来た人々であること。そして、彼らの母星である"D3世界"は、核戦争で滅亡、次元を越えて"D6"という別の世界に脱出したものの、そこでも核戦争で典夫の母や兄妹をはじめ多くの仲間を亡くし、放浪の末に"D15世界"=この地球に流れ着いたことを。

核の問題を真っ正面から描く

 『なぞの転校生』の原作が発表された1960年代は、米ソ冷戦で核実験が繰り返されていた時代だった。さらに、番組が放送された1975年は、東京で光化学スモッグ注意報が年間41回と多発、有吉佐和子の「複合汚染」がベストセラーになるなど、環境汚染に対する人々の関心が高まっていた。
 そんな社会状況を象徴するシーンが物語の中盤、典夫の正体が明らかになる直前に繰り広げられる。

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                  核への恐怖を訴える典夫                           典夫と広一

 ある日の教室。雨が降って家に帰れないという典夫は、不審がる広一たちに訴える。
 「雨の中には水爆実験による放射能が含まれている。僕はそれが怖いんだ。致命的なんだよ」
 さらに別の日には、核兵器に対する恐怖を訴える。
 「原子爆弾、水爆、ニュートロン爆弾、ミサイル。そいつらがいつ爆発するかわからないこの地球にいて、君たちはよく平気でいられるものだよ。この"D15世界"じゃ科学は確かに少し遅れている。でも、30年前に広島と長崎で、君たちはあの恐ろしい放射能を浴びたはずじゃないか!」

 『なぞの転校生』は、少年向けSFドラマのスタイルながら、核の問題を真っ正面から描いた作品だった。

  物語のクライマックスは・・・

 漂着した地球でも核兵器が大量に蓄えられ、核戦争の恐れがあると知った典夫たちは、次の世界へ去っていく。
そして、1か月後。広一たちはケガをして倒れている典夫を教室で発見する。典夫たちは、たどりついた次の"D26世界"で迫害にあい、地球に逃げてきたのだ。典夫たちは地球に永住することを決心するものの、広一たちの前から去り、大阪へ転校していく。
ラストシーン。みどりは広一に「少し大人になった気がする。きっとあれが私の初恋だったのよ」と話す。そして、広一はモノローグで「日本のどこかで、あいつやあいつの仲間たちにあったら、僕たちがよろしくと言っていたと伝えてくれ」と語る。


 少年ドラマシリーズ中でも、特に人気の高かった『なぞの転校生』。オープニングは、フルート、ハープが奏でる不気味なテーマ音楽がバックに流れ、石油コンビナートなどが並ぶ港湾から海へとゆっくり空撮が移動して行く、シュールなタイトルバックだった。
 当時、野外でのテレビ撮影は技術的にも大がかりで時間がかかったため、すべてNHKのスタジオ内で行われた。通学路の林で不良が典夫に絡むシーンも、運動会で典夫が疾走するシーンも、すべて狭いスタジオで撮影。アップやスローモーションを駆使して、そんな不自由さを感じさせない演出だった。
 もう一つ、こぼれ話を・・・。主役の広一役で当時の女の子たちの人気を集めた高野浩幸さん。彼は、子役時代に特撮ドラマ「超人バロム1」の主役を務め、少年ドラマシリーズ『赤い月』などにも出演したが、実は当初、高野さんが典夫役を、典夫役の星野利晴さんが広一役をやる予定だった。しかし直前に、演出のディレクターが星野さんに「お前、高野より背が高いし、変な顔をしているから、お前が宇宙人をやれ」と言って、入れ替わったという。



◇放送期間:1975(昭和50)年11月17日~12月3日
      全9話
◇放送時間:総合テレビ 月曜~水曜 18:05~18:30

◇原  作:眉村 卓
◇脚  本:山根 優一郎
◇音  楽:池辺 晋一郎
◇制  作:萩原 具佳
◇演  出:吉田 治夫/黛 叶

◇主な出演者
 岩田広一:高野 浩幸
 山沢典夫:星野 利晴
 香川みどり:伊豆田 依子(現・杉田 依子)
 大谷先生:岡田 可愛
 広一の父:前田 昌明
 広一の母:高田 敏江

番組公開ライブラリーで観られるのじゃ!

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 少年ドラマシリーズの多くの作品は、惜しくもVTRが現存しないが、『なぞの転校生』は視聴者の方が全9話を録画していたおかげで、すべて番組公開ライブラリーで観ることができる。また、広一役の高野浩幸さんがスタジオゲスト出演した『NHKアーカイブス・なぞの転校生総集編』も公開中だ。ぜひ、当時の子どもたちが見逃すまいと帰宅を急いだという伝説の作品を観てほしい。


視聴できる番組の検索・お近くの番組公開ライブラリーはこちら


みなさんからの投稿

劇中にも使われるテーマ曲がとても印象的で、池辺晋一郎さんの名前を知りました。未来少年コナンや、御宿かわせみなどどれも素敵な曲でした。

(satoshi)

投稿日2008年09月23日 11:35


アカイさんノートを最近知りました。
「なぞの転校生」放送当時は小学生で、SF学園ものであまり意味もわからなかったのに、高野さん、星野さんたちが好きで、夢中で観ていました。
NHKのアーカイブスで放送された時、懐かしさと同時に、改めてドラマの中に強いメッセージがこめられていたことを知ることができて、本当にいい作品だったのだと、再認識できました。

それ以来、どんどん少年ドラマシリーズへの興味が深まって
今では、出演者の応援サイトを作ったり、少年ドラマファンの集いを開くほどになってしまいました。
来月も都内で開催するので、アカイさんにもぜひ遊びに来てほしいです。

今放送中の「七瀬ふたたび」のリメイクもとても嬉しかったし、毎週楽しみに観ています。
アカイさん、これからも放送当時の子供だった私にはぼんやりしかわからなかった、少年ドラマシリーズの素晴らしさを、ぜひ解説して下さい。期待してます。

(みんみん)

投稿日2008年10月26日 18:51


なぞの転校生は小学生だった私に甘い中学生活を描かせてくれました。あのテーマ音楽がいつもぐるぐると頭の中に流れていました。私はピアノを習っていたのでクラスでも少し一目おかれる存在だったことで転校生と重ね合わせていたのかもしれません。今は医師として勤務していますが、今でも典夫少年が外来にやってくるのではないかなどと想像してしまいます。ビデオをアマゾンで購入して時々みている根っからのファンです。

(gon)

投稿日2008年12月30日 22:21


伊豆田依子(現 杉田依子)さんが大好きでした。今でもあの頃をよく覚えていますよ。今でも好きです。名古屋のナカより。

(ナカ)

投稿日2009年01月31日 19:03


「なぞの転校生」、中学校の時リアルタイムで見ていました。確か夕方からの放送で、タイトルバックがとても印象に残っています。
山沢典夫役・星野利晴さんのちょっと不思議な雰囲気が、いかにも、という感じでした。再放送を希望します。

(おろしがね)

投稿日2009年02月12日 22:26


何年か前アーカイブスで再放送されたとき、転校生の山沢の父親の仲間たちのなかに、見覚えのある顔が。キャストのテロップには名前に ××(譲治?、譲二?)あり、かつて日本テレビの「おはようこどもショー」で体操のお兄さんとしてだった(昭和44年前後)ジョージ(譲治、譲二)兄さんだったと懐かしく思いました。
苗字を失念してしまいました。わかる方、教えてください。いろいろ検索かけましたがわかりませんでした。

(どーも)

投稿日2009年03月19日 21:26


永井譲滋さん?

(更紗)

投稿日2009年03月20日 09:54


>どーもさん
お尋ねの俳優さんは、更紗さんご指摘のとおり、永井譲滋さんのようですね。『なぞの転校生』オープニングの出演者名に「なぞの人々」という役名で表記があります。
ただし、『おはようこどもショー』の体操のおにいさんだった、ということはNHKの資料では確認できませんでした。

(アカイさん)

投稿日2009年03月23日 19:58


更紗さん、アカイさんありがとうございます。

(どーも)

投稿日2009年03月23日 20:41


少年ドラマシリーズ大好きでした!
小学生の時でしたが夕ご飯を食べながら夢中で見ていました。当時はビデオを持っていませんでしたので、テレビから音だけをカセットに録音していました。
VTRがほとんど残っていないなんて、なんてもったいないんでしょう。
「なぞの転校生」を見て眉村卓さんの本をたくさん読みました~。少年ドラマシリーズの「赤い月」の不気味というか、おも~い感じの雰囲気も大好きでした!!

(junjun)

投稿日2009年09月02日 13:56


小学生の記憶って残ってるもんですね。みなさんのコメント読みながら共感!私も憧れをもって夢中で見ていた女の子でした。
主題歌が忘れられず、でも番組名が思い出せず、今日オンデマンド龍馬伝からアーカイブスに飛んで長年の“もう一度知りたい”が叶いました。
さっそくNHK局に行って視聴しようと思います。
ああ、幸せ!映像を保存提供してくださった方に感謝です!!

(春夏秋冬)

投稿日2010年05月04日 00:07


高野浩幸さんの大フアンでいつも見てました
今はどうされているのでしょうかだれか分かりますか

(みるきーうえい)

投稿日2010年08月07日 20:34


>みるきーうえいさん、
高野浩幸さんは、去年11月5日放送の「探偵Xからの挑戦状!」に出演されるなどテレビだけでなく、映画や舞台でも
活躍されてます。

(アカイさん)

投稿日2010年08月09日 10:58


はじめまして。
私は「なぞの転校生」は見ておりませんが、
最近、この番組のテーマ曲に、第3回東京音楽祭世界大会で
グランプリとフランク・シナトラ賞を受賞した
カナダの歌手ルネ・シマールが歌った「ミドリ色の屋根」が
使われていたという記事を書かれた方がいらっしゃって、
真実を知りたくて投稿させていただきました。
実は私は、ルネ・シマールのファン・ブログを管理しています。
1975年当時にはファン・クラブに入会しておりました。
しかし、NHKの少年ドラマシリーズに使われることになったら、
会報等で記事にならないはずはありません。
1974年にTVフランス語講座の今月のシャンソンで流れたことは
ありましたけど、ルネ・ファンの友人に聞いてもわかりません。
アカイさんはご存じでしらっしゃいますか?
少なくともアカイさんの記事で、オープニング曲でないことは
わかりました。もしご存じでしたら教えたください。
よろしくお願いいたします。

(shimazaki rune)

投稿日2010年09月06日 22:11


>shimazaki runeさんへ
「なぞの転校生」1~2回と8~9回を見る限り
「ミドリ色の屋根」は使われていませんでした。
でも面白いので、もう一度じっくり見てみます。

あとご存知かも知れませんが「少年ドラマシリーズ
なぞの転校生」は全国のNHK(横浜局を除く)にある
「番組公開ライブラリー」にて無料でご覧になれます。
最寄り局に問い合わせの上、よろしかったらお出かけ
ください。(休館日にご注意を)

(アカイさん)

投稿日2010年09月09日 18:36


早速お返事ありがとうございました。
私が読んだ記事ではエンディングテーマだったらしい
内容だったのですが、こちらは全く的外れということですね。
すっきりしました。
主演の高野浩幸さんは、別のドラマで見て
ちょっと注目していた子役俳優さんだったので
「なぞの転校生」を見てみたいと思います。

(shimazaki rune)

投稿日2010年09月09日 20:13


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アカイさん

アカイさんのひと言

現在放送中の「梅ちゃん先生」は東京が舞台。
昭和36年からの歴史をたどり「東京」を主な舞台にした“朝ドラ”を振り返ってみよう

アカイさんって誰?
とじる

アカイさんとは?

一見さえないけれど、実はNHKのアーカイブス番組のことなら何でも知っている謎のおじさん。

アカイさんが書きつけてきた、番組資料の膨大な数のノート『アカイさんノート』には、みんなが知っている有名な番組から思い出すのに苦労するような番組まで、メモや写真で事細かに記録してあります。

読めば読むほど、番組の様子やその当時のことが思い起こせる『アカイさんノート』。
さあ、みなさんもアカイさんと一緒に、NHKアーカイブスの奥深~い世界をのぞいてみましょう!

愛犬ブースとともにみなさんからの投稿を待っています。


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