新八犬伝(2)舞台裏編

アニメ/特撮昭和40年代昭和50年代1970年代さ-そ


人気を支えた九ちゃんの名調子と
人形師・ジュサブローの技


番組ノート

2008年8月8日(金)

 1973(昭和48)年から2年間放送された連続人形劇『新八犬伝』は、語り・坂本九による七五調の名調子と、人形師・辻村ジュサブローによる文楽風の精巧な人形と道具立ても評判を呼んだ。今回は、番組の人気を支えた仕事師たちの舞台裏をご紹介する。

shinhakkenden2-1.jpg shinhakkenden2-2.jpg
黒子姿で登場した坂本九

  坂本九の名調子

 『新八犬伝』の魅力の一つは、当時芸能界デビューから15年、歌手として、俳優として乗りに乗っている"九ちゃん"こと坂本九の語りだった。収録のラジオスタジオに入ると、靴も靴下も脱ぎ、裸足になってマイクの前で熱演。さらに、ナレーションだけでなく、頭巾に九と書かれた黒子姿で画面上に登場し、物語や、次々と登場する八犬士たちなど登場人物、物語の舞台や歴史背景について、故事や格言をふんだんに使った講談調で解説した。

 

 さらに、九ちゃんが歌う番組のテーマ曲「夕やけの空」も人気だった。

shinhakkenden2-3.jpg shinhakkenden2-4.jpg
人形操作(リハーサル)     人形劇の収録スタジオ

  辻村ジュサブローの世界

 『新八犬伝』のおどろおどろしい世界を見事に描き出した人形師・辻村ジュサブロー(現:辻村寿三郎)。当時40歳の新進人形作家は、この作品で一躍、注目を集めた。

 ジュサブローが手掛ける人形の顔は、和紙を張り合わせた上にちりめんを張って作られた。髪は染めた綿糸で作られ、それを髪飾りでまとめられた。人形の重さは、着せる衣装によって多少違うが、1キロから重たいものだと3キロもあった。黒子をまとった人形操作の担当者にとって、汗だくになりながらの重労働だったという。

 当時、ジュサブローは、「グラフNHK」の対談で「小さいころから原作の『里見八犬伝』を無我夢中で読んでいたことが下地になっている」「台本を読みながら、人形のイメージが出来てっちゃう」と語っている。生み出した人形は2年間で400体にのぼった。

 さらに、陰の主役ともいわれる怨霊の玉梓(たまずさ)だけはジュサブロー自らが操り、そのおどろおどろしい動きは天下一品だった。


 番組が始まる前年、1972(昭和47)年夏、作家の石山透は、「南総里見八犬伝」を基に人形劇の脚本を依頼されたものの、途方に暮れていた。2か月かかって、岩波文庫全10巻を取り寄せて読んでみたが、現代のテレビでこの作品を放送する意義さえ見出せなかったという。

 

 しかし、光明は、「南総里見八犬伝はすぐれた読本である」という解説と出会ったことだった。読本とは読んで聞かせるもの。そこで石山は原作を声に出して読んだところ、それまで全く気が付かなかった新しい世界がどんどん広がった。石山は、すぐに脚本を書き出す。

 そんな体験が、坂本九という魅力的な語り手を得て、世代、性別を問わず、多くのファンに響く現代の読本となったのである。
 いまも、九ちゃんの七五調の語りが耳に残っている方も多いのでは。



◇放送期間:1973(昭和48)年4月2日~1975(昭和50)年3月28日
        全464話
◇放送時間:総合テレビ 月曜~金曜 18:30~18:45
◇脚   本:石山透
◇音   楽:藤井凡大
◇人   形:辻村ジュサブロー
◇語   り:坂本九
◇声の出演:近石真介(犬塚信乃、犬田小文吾、里見義実ほか)
        木下秀雄(犬川額蔵、犬村角太郎ほか)
        斎藤隆(犬飼現八、扇谷定正ほか)
        川久保潔(犬山道節、ゝ大法師ほか)
        花形恵子(犬坂毛野、栞ほか)
        関根信明(犬江親兵衛)
        阿部寿美子(玉梓)
        鈴木弘子(伏姫、浜路ほか)
        穂積隆信(役の行者、技平ほか)

番組公開ライブラリーで観られるのじゃ!

shinhakkenden2-2.jpg

『新八犬伝』の第1回と最終回(第464回)を、お近くのNHKの番組公開ライブラリーでご覧いただくことができる。

もう一度、あの奇想天外、摩訶不思議な物語を楽しんでほしい。


お近くの番組公開ライブラリーはこちら


みなさんからの投稿

九ちゃんが「夜のヒットスタジオ」で「夕やけの空」を歌われたことを懐かしく思い出しました。
九ちゃん、確か昭和46年を最後に「紅白」に出なくなっちゃったと思うんですけど、今だったら、話題性とかでゼッタイ出てますよね。「玉梓が怨霊」とか「八犬士」、それに「さもしい浪人、網干左母二郎」に囲まれて紅白で歌う九ちゃんを妄想してしまう(笑)。
そうだ、もうすぐまた「日航機墜落事故」の日が巡ってくるんですね・・。
生きてらしたら、もしかしたら、リメイク版も作られてかもしれないなぁ~、って、また妄想してしまいました・・・。

(更紗)

投稿日2008年08月09日 17:43


懐かしいです。高校生のときに毎日欠かさず見ていました。試験期間も徹夜のために昼寝をするのですが、この番組だけは逃さず目覚ましを6時半にセットして見ていたのを思い出します。DVDかVIDEOを購入できるといいのですが。

(とまと)

投稿日2008年08月10日 01:18


>とまとさん
『新八犬伝』は、「NHK人形劇クロニクルシリーズ『新八犬伝』辻村ジュサブローの世界」というタイトルでDVD化され、第1回、20回、464回(最終回)が収録されています。
NHKの番組関連グッズを扱う「NHKeカタログ」のページ(http://www.nhk-ecatalog.com/)で検索してみてください。

(アカイさん)

投稿日2008年08月11日 11:43


稀代の人形師辻ジュサブローの人形劇を、たぶんそれより価値の低いものに録画してしまうのは、NHK最大の失策です。制作側に手抜きなしの熱意があったが、管理側に「所詮お子様番組」の気持ちがあったのでは?ちゃんと見ていたのかが、きになるところ。しかし、「ひょっこりひょうたん島」が生き残って、それよりも数段芸術性の高い「八犬伝」がほぼ全滅では・・NHKのすることはよくわからん。

(tennsai)

投稿日2011年02月12日 23:43


コメントを投稿する

ページの一番上へ▲

アカイさん

アカイさんのひと言

現在放送中の「梅ちゃん先生」は東京が舞台。
昭和36年からの歴史をたどり「東京」を主な舞台にした“朝ドラ”を振り返ってみよう

アカイさんって誰?
とじる

アカイさんとは?

一見さえないけれど、実はNHKのアーカイブス番組のことなら何でも知っている謎のおじさん。

アカイさんが書きつけてきた、番組資料の膨大な数のノート『アカイさんノート』には、みんなが知っている有名な番組から思い出すのに苦労するような番組まで、メモや写真で事細かに記録してあります。

読めば読むほど、番組の様子やその当時のことが思い起こせる『アカイさんノート』。
さあ、みなさんもアカイさんと一緒に、NHKアーカイブスの奥深~い世界をのぞいてみましょう!

愛犬ブースとともにみなさんからの投稿を待っています。


最近のコメント


ノート内検索


最近のノート


アカイさんからのお知らせ


 

RSS