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百聞は一見にしかず
4つの目で、科学って面白い!
『四つの目』とは
『四つの目』は、1966(昭和41)年から6年間、夕方6時台に放送された青少年向け科学番組である。この番組の特徴は、肉眼では捉えられない驚異の世界をさまざまな「特殊な撮影装置」を駆使して映像化したことにある。
タイトルにもなった「四つの目」とは、 ①「肉眼」に加え、②「時間の目」(微速度撮影によるコマ落としや、高速度撮影によるスローモーション)、 ③「拡大の目」(顕微鏡による撮影)、④「透視の目」(レントゲン撮影)という、当時の最先端の撮影技術を駆使した「目」のこと。この四つの「目」で様々な事柄を見てみよう、というのが番組の狙いだった。
スタジオには、「肉眼」「時間の目」「拡大の目」「透視の目」の 4つのテレビモニターが配置され、これに映し出される映像と、毎回、スタジオに招いた小学生たちとのやりとりや、「チビくん」と「デカくん」のコント、クイズなどで構成し、様々な生きものや身のまわりの不思議をわかりやすく見せた。
スタッフの合い言葉は“本邦初演”
スタッフは“本邦初演”を合い言葉に、日本で初めて撮影されるものを狙った。花がぱっと開く瞬間、芽の出る瞬間、運動選手の筋肉の動きなど、「四つの目」を駆使して誰も見たことのない映像を撮ろうと粘り強い取材を進めていった。
そんな本邦初演の映像は大きなインパクトを与え、放送後、各方面からの問い合わせが相次いだ。当時の「グラフNHK」には、話題になった撮影内容とエピソードが載っている。撮影の苦労と反響がうかがえる。
●カニのプランクトン(幼生)が脱皮してカニになる過程
弱くて死にやすいカニのプランクトンの撮影を敢行。いくつもの変化を続けながら、最後に脱皮して、カニになる過程を見事にとらえた。このプランクトンの映像は、学会でも貴重なものとして評判となった。
●カエルがハエを食べる舌の動き
放送に出たのはわずか2、3秒だったが、撮影は1週間。カメラは、カエルと向き合い続けた。
●ひげそりがどのようにひげを剃っていくか
このときは、高速度撮影で紹介した。早速、広告会社からは、「今までどうしても撮れなかったのですが、フィルムを貸してください」という問い合わせがあり、また、「学習用に」と理容師の団体からも問い合わせがあるなど、大きな反響があった。
●‘67年、人気の剛速球投手・金田正一投手(当時・巨人)の投球モーションを高速度撮影。
投球フォームの撮影など日本ではほとんどなく、金田投手から「参考にしたいのでぜひフィルムをいただきたい」と申し出があった。
『四つの目』を支えた“特撮スタジオ”
1968年8月1日、NHK放送センターに新設された「特殊撮影スタジオ」が、本格的な活動を始めた。設備の点で、当時、世界でも類を見ないといわれた最新鋭のスタジオだった。ここに『四つの目』を支えた「ハイカム」と呼ばれるスローモ―ション撮影用の最新機材が設置された。
「ハイカム」は1秒間に1万コマまで撮影できる高速度カメラで、これで撮影したフィルムを、 1秒間に24コマの映写速度で再生するとスローモーションの映像ができる仕組みだった。
今では当たり前のように思える「スローモ―ション撮影」だが、野球のボールが当たる瞬間など、人間の目でははっきりとわからない瞬間をはっきりとらえ、人々を驚かせた。
ポピュラーサイエンス(生活科学)番組の先駆け
NHKの科学番組には4本の柱がある。 ①社会的視点から科学や技術の問題をリポートする「科学ドキュメンタリー番組」、 ②動植物の生態を記録する「自然番組」、 ③医学・先端科学を解説する「スタジオ番組」、そして、 ④科学を分かりやすくショーアップして伝える「ポピュラーサイエンス(生活科学)番組」。『四つの目』は、このポピュラーサイエンス番組の先駆けである。
「子どもたちが楽しみながら、科学的教養を豊かにすること」を目的にスタートした『四つの目』。「トンボはどう羽を動かして飛ぶのか?」「犬は水を飲むとき、ベロをどう動かしているのか?」といった子どもたちの疑問に映像が答えてくれた。さらに、スタジオに集まった小学生が質問をしたり、「チビくん」と「デカくん」が疑問をめぐって論争したり、草下英明さんの解説があったりと、番組は楽しいスタジオショーとして展開。子どもたちに「科学って面白い!」ことを伝えた。
番組のコンセプトは、『レンズはさぐる』('72~'78年)に受け継がれ、さらに『ウルトラアイ』('78~'86年)でゴールデンタイム(夜7時30分)に進出。家族そろって楽しめる「生活科学番組」のジャンルを確立し、その後、『トライ&トライ』('86~'91年)、『くらべてみれば』('91~'94年)、『なせばなるほど』('94~'95年)、そして、『ためしてガッテン』('95年~現在)と、いまに続いている。
この番組の放送当初、「アイデアはいいがとても続けられないだろう」と危ぶむ声があったと聞く。しかし、制作者たちは「日本初の映像を撮るのだ!」というチャレンジ精神で次々に“本邦初演”の映像を繰り出し、あっという間に人気番組となった。当時のディレクター、カメラマンたちの悪戦苦闘ぶりと熱い思いは、NHKアーカイブスのホームページで公開している月刊通信「アーカイブス・カフェ」に詳しい。当時のスタッフが語る、とっておきの制作秘話をぜひ、ご覧いただきたい。
◇放送期間 1966(昭和41)年3月23日~1972(昭和47)年3月30日
◇放送時間
総合テレビ 木曜 18:00~18:25(1966年度~)
総合テレビ 木曜 18:20~18:45(1969年度~)
◇司会 鈴木泰雄アナウンサー
◇解説 草下英明(科学解説者)
◇レギュラー出演 大宮悌二(デカくん)、小宮山清(チビくん)
1967年3月30日放送の「ウグイス」の回(白黒放送)が全国のNHKにある「番組公開ライブラリー」でご覧いただける。
“本邦初演”を合い言葉に頑張った当時のスタッフの熱意を感じてほしい。















この番組で、「肉眼」と「透視」という言葉を知ったような気がするなぁ~。
生活の中で、“とうし”とか“にくがん”って言葉使わへんでしょ(笑)。
(更紗)
投稿日2008年03月08日 12:53