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火山の"十和田"に噴火警戒レベル導入

執筆者早瀬翔(記者)
2022年04月06日 (水)

火山の"十和田"に噴火警戒レベル導入

風光明美な観光地として知られる十和田湖。
ここに活火山があることをご存じでしょうか?。
この活火山「十和田」について、火山活動に応じて住民などがとるべき行動を示す「噴火警戒レベル」が導入されました。
想定される半径3.4キロの火口の範囲には人が住んでいることから、迅速な避難行動につなげるために噴火警戒レベルは通常の5段階ではなく、原則3段階です。
この十和田の「噴火警戒レベル」について詳しく解説します。

活火山「十和田」とは?

協議会

実は十和田の火山は、いまから約1100年前の西暦915年に日本の歴史上最大の噴火をしたとされています。それ以前のたび重なる噴火によってできたくぼみ=カルデラに水がたまってできたのが十和田湖です。

63人が犠牲となり戦後最悪の火山災害となった2014年の御嶽山の噴火などを受けて、気象庁は十和田の火山の火口周辺に観測機器を整備するなどして、「常時観測火山」として、24時間体制で火山活動を監視しています。
ことし2月末に、青森県や秋田県などの関係自治体などからなる協議会が青森県庁で開かれ「十和田」に「噴火警戒レベル」が導入されることになりました。

十和田の噴火警戒レベルとは

十和田の噴火警戒レベル

噴火警戒レベルは、住民に直ちに避難を呼びかける「レベル5」から「レベル1」までの5段階で運用されるのが一般的ですが、十和田の「噴火警戒レベル」は原則として「レベル1」、「レベル4」、「レベル5」の3段階です。
“原則”というのは「レベル2」と「レベル3」は、いったん活発になった火山活動が沈静化して、レベルを引き下げる段階で発表される場合があるためです。

十和田の噴火警戒レベル

それぞれのレベルで呼びかけられる内容は▼火山活動に変化がなければ「レベル1」ですが、活動の高まりを示す「臨時の火山解説情報」が発表された場合には半径3キロ余と想定される火口の範囲で高齢者などに避難が呼びかけられます。
▽また、周辺では冬の間、雪で閉鎖される道路が複数あり避難に時間がかかるとして、冬は火口の範囲にいる全員に避難が呼びかけられます。

▼「レベル4」では▽火口の範囲にいる全員の避難と▽火口の範囲から4キロ圏内で高齢者などの避難、▽冬の間は火口の範囲から4キロ圏内にいる全員の避難が呼びかけられます。
最も高い▼「レベル5」では▽火口の範囲から4キロ圏内にいる全員の避難が呼びかけられます。

なぜ5段階でなく3段階に?

火山活動が活発になれば「噴火警戒レベル」が引き上げられて避難が呼びかけられることになりますが、「十和田」の場合、なぜ一般的な5段階ではなく3段階なのでしょうか。

なぜ5段階でなく3段階に

十和田湖にあると推定されている火口の範囲には十和田市休屋地区などが入りここには人が住んでいます。「噴火警戒レベルの2」は「火口周辺への立ち入り規制」で、「レベル3」は「入山規制」であるため、十和田の火山への対応にはそぐわないとされました。
また火口の範囲に人が住んでいて、迅速な避難行動が必要なため「レベル1」から一気に「レベル4」や「5」に引き上げて、素早い避難を呼びかけることになったのです。

冬場の避難では通行止めに注意

早瀬記者と、荒川キャスター

噴火警戒レベルの導入に合わせて、いざという時にどうやって避難するかについてもまとめられています。冬以外の時期であれば国道454号や国道102号、国道103号を通って離れた場所へ避難できます。しかし、冬の間は雪の影響で、八戸方面へ向かう国道454号など一部の道路が閉鎖されて通れなくなるため注意が必要です。

気象庁はことし3月24日からこの噴火警戒レベルの運用を始めていて、自治体なども周知を始めています。
噴火はいつ起こるか分かりません。いざという時にどう対応すればいいのかいまのうちから考えるようにしてもらいたいと思います。

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