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ウミネコはなぜ蕪島に?

執筆者長谷川薫(記者)
2022年09月13日 (火)

ウミネコはなぜ蕪島に?

みなさんはこちらの鳥をご存じでしょうか?

ウミネコ

カモメ科の海鳥、「ウミネコ」です。

「ミャー」。特徴は、その独特の鳴き声。

猫の鳴き声のようにも聞こえることが、名前の由来にもなっています。

ウミネコ

蕪島と言えばウミネコ!

ウミネコは、2月ごろになると、県内のある場所に集結します。

蕪島

八戸市の「蕪島」です。

子育てするウミネコ

蕪島で産卵や子育てを行ったウミネコは、8月までには巣立ったひなたちと別の場所に飛び立っていきます。

一面のウミネコ

その数なんと3万5000羽。

一面はウミネコで覆い尽くされ、商売繁盛などの御利益があるとされる「蕪嶋神社」とともに、多くの観光客を引きつけています。

なぜ蕪島だけウミネコが多い?

今回はそんなウミネコについて、滋賀県の「(ニックネーム)なかさん」からご質問を寄せて頂きました。

「八戸の蕪島に行ったとき、ウミネコの多さにびっくりしました。どうして蕪島だけウミネコが多いのですか?」。

なぜ蕪島だけウミネコが多い?

蕪島は全国有数の繁殖地

国内の主な繁殖地を調べてみると、北海道から九州まで10か所以上で確認されています。
ほとんどの繁殖地は、人を寄せ付けない断崖絶壁や離島にあります。
一方、蕪島も全国有数の繁殖地として、国の天然記念物にも指定されていますが、間近で繁殖の様子をみることができます。

国内のウミネコの繁殖地

いったいなぜ、多くのウミネコが蕪島に集まるのか。
答えてくれたのは、地元のウミネコ研究者・成田章さんです。

成田章さん

幼いころから蕪島に来ていたという成田さんの研究歴はなんと30年。
これまでに論文や書籍を約10本執筆するなど、研究の第一人者としても知られます。

理由① エサ

まず、1つめのキーワードは〝エサ〟です。
水産業で栄えてきた八戸市。

親潮と黒潮

蕪島がある八戸市の沖合は、親潮と黒潮が混じり合う潮目にあたり、魚が豊富な場所として知られています。
ウミネコがエサとするイワシも多く漁獲されることから、ウミネコが群れてくるというのです。

理由② 天敵

そして、2つ目のキーワードは〝天敵〟です。
実は、蕪島はウミネコが天敵に狙われにくい環境だったというのです。

蕪島

蕪島の施設で紹介されている、100年以上前に撮影された蕪島の写真に、その理由が見いだせます。
蕪島の四方を囲っているのは〝海〟で、かつての蕪島は陸続きではなかったのです。
太平洋戦争末期の約80年前に、旧海軍が軍事拠点として周辺を埋め立てるまで、蕪島は、ウミネコを襲う天敵が陸上から入り込めない環境だったのです。

ウミネコ研究者・成田章さん
「蕪島は、近海にえさが豊富にある一方で、ひなと親鳥を狙う天敵の動物たちが侵入できず、繁殖に適した場所だったのではないか」。

陸続きとなり、天敵被害が増加

蕪島は陸続きになったことで、私たち人間が、ウミネコの繁殖の様子を間近で観察できるようになったわけですが、ウミネコに近づけるようになったのは天敵も同じです。

ウミネコ被害報告数(4月~6月)

その被害は毎年報告されています。
こちらは過去5年、4月から6月の間に蕪島で見つかったウミネコの死骸の数です。

目視で確認できただけですが、天敵の動物に襲われるなどして死ぬケースも多くなっています。

天敵・キツネ

蕪島でことし撮影された写真には、天敵・キツネの姿やその足跡も捉えられていました。このほか、ネコやタヌキなどの天敵が、日常的に確認されているということです。天敵による被害が続くと、ウミネコは蕪島を避けてしまうのではないか・・・?。

天売島

実際に、そうしたケースも報告されています。
ウミネコが多く集まる北海道の天売島では、野良猫の数が増えてウミネコの被害が相次ぎその数が激減してしまったのです。
成田さんに聞いてみると、ウミネコは習性が強い鳥なので、すぐに蕪島に来なくなることは考えにくいものの、将来的に対策をしていく必要性も指摘していました。

ウミネコ研究者・成田章さん
「親鳥が減ってきているということもあるので、ウミネコの数が減ってくる可能性もある。対策をとらずにそのままにしていくと、ウミネコが被害を受けて繁殖にダメージを与えてくることも考えられる。繁殖地を囲うフェンスの隙間を埋めたり、高さを変えるなどの対策もあると思う」。

蕪島とウミネコの未来考える

長谷川薫記者
「蕪島が国の天然記念物に指定されてことしでちょうど100年の節目になりました。八戸市はこの機会に、蕪島の繁殖地を保存する対策の検討に乗り出し、ウミネコが毎年訪れることができる環境を維持していこうとしています。これからもウミネコと共存していくために、まずは私たちひとりひとりが、ウミネコを取り巻く環境や歴史などに関心を持つことができればいいのではないかと思います」。

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