NHK青森放送局ブログ
ATMを使う詐欺 60代は特に注意
砂川侑花(記者)
2022年03月17日 (木)

詐欺にだまされないための対策を考える「ストップ!詐欺」。
今回のテーマは「ATMを使う詐欺 60代は特に注意」です。
なぜ、「60代」なのか。特殊詐欺の手口のなかでも、最も多い「還付金詐欺」の対策とともに説明していきます。
金融機関の取り組み
「還付金詐欺」とは、医療費や保険金が戻ってくると、うその話をしてATMに誘い出して振り込ませる手口です。
こうした詐欺を防ぐため、県内の金融機関では様々な取り組みを行っています。
青森銀行では▽ATMの振り込み限度額を200万円から100万円に引き下げ、青い森信用金庫と東奥信用金庫では、▽引き出し限度額を30万円まで引き下げました。
制限を設けることで、詐欺を防ごうという取り組みはほかにもあります。
実は、県内の金融機関では、高齢者が一定の期間ATMを使っていないと利用が制限されるという仕組みを導入しているんです。
振り込もうとしたらエラーが
こういった対策で、詐欺を未然に防いだ事例を紹介していきます。
去年(令和3年)5月、県内在住の女性に、市役所の職員を名乗る男から電話があり「保険料の還付金がある」などと持ちかけられました。
電話に出た女性は、この話を信じて、夫の名義の通帳を持って、青森銀行のATMに出向きました。
すると、ATMを操作してもエラーが出て振り込むことが出来ません。
その様子を見ていた警備員が女性に事情を聞いたところ、詐欺とわかったということでした。
青森銀行では、65歳以上の高齢者が振り込みの利用を3年以上していない場合、振り込みできなくなるように制限を設けていたんです。
女性の夫は65歳以上の年齢でこのケースにあてはまったということでした。
また、ほかの金融機関でも、70歳以上の人で一定期間、ATMの利用履歴がないと利用できなくなったり金額が制限されたりする取り組みを進めています。
これは長年、ATMを使っていない高齢者がある日、突然ATMを使うということは詐欺に巻き込まれている可能性がある、という発想から設けた制限なんです。
なぜ60代が特に、なのか
そして、ここからが本題、なぜ「60代」なのか、です。
県消費生活センターによりますと去年4月から今年の3月15日にかけてよせられた特殊詐欺の相談のうち、70代からは63件、60代からは188件と、下の世代がおよそ3倍となっています。
ここで、さきほど説明した金融機関の取り組みを思い出してください。
事例のあった青森銀行では65歳以上、ほかの金融機関では70歳以上の人にATMの利用制限をかけています。
県消費生活センターはこうした取り組みをかいくぐろうとして、制限の対象年齢以下の60代を狙った詐欺が増えているとみているんです。
被害にあわないためには?
詐欺にあわないためには、結局、基本的な対応を徹底するしかないと思います。
電話で「お金が返ってくる」と言われたりATMに行くよう指示されたり、少しでもおかしいなと感じたら家族や身近な人、警察などに相談すること。
また、金融機関側も携帯電話をかけながらATMを利用している人を見かけたら積極的に声をかけることが大事だと思います。