コラム・インタビュー

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プロフィール

田辺誠一(たなべせいいち)

1969年東京出身。モデルとして芸能活動を開始、以後役者に転身し、同時に映画を自主制作するなどの創作活動もおこなう。テレビドラマ、映画、舞台に多数出演。

好きなアニメは
『機動戦士ガンダム』
『ルパン三世 カリオストロの城』
『銀河鉄道999』

俳優 田辺誠一

2017年2月24日

プロフィール

田辺誠一(たなべせいいち)

1969年東京出身。モデルとして芸能活動を開始、以後役者に転身し、同時に映画を自主制作するなどの創作活動もおこなう。テレビドラマ、映画、舞台に多数出演。

子どもの頃からアニメーションはご覧になっていた?
物心ついたころから見ていましたし、人並み以上に見て育ったと思います。とにかくオールジャンル好きなんです。小学1年生のときに、母に連れられて初めて見た映画が『あしたのジョー』の劇場版でしたし、藤子不二雄さんのファンタジーも『ドラえもん』『オバケのQ太郎』『ジャングル黒べえ』『パーマン』『キテレツ大百科』とあらゆるものを見ていました。あと、いしいひさいちさん原作のアニメ映画『がんばれ!! タブチくん!!』『サザエさん』のような、ほんわかしているけれどリアルな日常を描いたものも好きでした。もともとマンガを読むのも描くのも好きで、小学校高学年の頃に「自分の描いた絵が動いたらおもしろいな」と思って調べてみたら、アニメーションってパラパラ漫画なんですよね。それを知って、教科書の隅に描いてみたら「こうやって絵が動くんだ」と分かりまして、これをフィルムで撮影するとアニメーションになるという原理を知ったときには、本当に感動しました。
中でも一番お好きなのは?
僕らの世代は、なんと言っても『機動戦士ガンダム』ですね。僕が9歳のとき、アニメが大好きな年代に放送開始だったのでハマりました。安彦良和さんのキャラクターデザインに、それまでのアニメとは違った美しさがあったんです。特に人物の鼻の影の描き方は立体感があって、子ども心にリアルだと感じました。それに、まず、ロボットがカッコイイ。大河原邦男さんデザインのメカは、関節の動きがリアルですごく考えられている。だから、物語後半のニュータイプ合戦になってくると、ワクワクして「なんか自分もニュータイプなりたいな」と、そんな気持ちで惹かれていきましたね。そのリアル感は今にも通じていて、もう40年近く前の作品なのに、最近、車に乗っていて、カーナビが「1キロメートル先渋滞しています。」と言って迂回する自分に「あ、これだ、ニュータイプだ」って感じたんです。カーナビにピピッピと反応する、自分の体が難なくこういう機械を使いこなせるということも、ある種、自分の能力、ニュータイプなのかなと思ったんですよね。
物語の魅力は?
最初に9歳で見て、20歳くらいのときに見返したんです。そして、最近また見たんですよ、40代にして。そうしたら、20代では分からなかったテーマが見えてきまして。僕も20代の頃は肩に力が入っていて、イケイケで頑張っていたんですが、40代になって少し肩の力が抜けたら、完璧ではない人間に魅力を感じてしまったり、ちょっと痛みとか弱さがわかってきたりするんですね。
そうすると、登場人物が死ぬ場面が切ない。みんな、何か思いを持って死んでいくんですよ。誰かを守るため、自分以外の者のために生きて死ぬという、そのバックボーンが切なくて、人間をあんなふうに描いてくれる富野喜幸総監督のすごさだなと思いました。
例えば、ホワイトベースのことを本当に大切に思っていたマチルダさん。故障したホワイトベースを直さないといけないという使命に駆られる中で敵の襲撃に遭ってしまい、ホワイトベースを守って死んでしまうんです。さらにその後、マチルダさんの婚約者だったウッディ大尉も、ホワイトベースのさらなるピンチを命を賭けて守って、これまた死んでいく。「自分の婚約者が大切にしていたものだから自分も守る」と。また、ミハルという戦争孤児の乗組員がいて、弟たちを食べさせていくためにスパイを働くんですが、最後は自分をかばってくれたカイ・シデンという男の手助けをするためにミサイルを撃とうとして吹っ飛んで死んでしまう。その後、亡霊になったミハルがカイに言うんです。「間が悪かったんだよ」ってひと言だけ。「人はいろんなものを背負って、いろんなタイミングが重なって生きている」という重さを感じて、切なかったですね。
もうひとつ印象に残っているのが、地球での任務を終えたホワイトベースが南米から旅立つシーン。そのとき、横をフラミンゴの群れが飛んでいくんです。たくさんの人の死を乗り越えて旅立つ、正にそのときに、ブライトさんが「手の空いている者は左舷を見ろ、フラミンゴの群れだ」と言って、隊員と「録画しておきます」「よし、許可するぞ」という会話を交わすんです。なんか、「戦争の中でのひととき」のすごい表現だなと思いました。
そのほかに印象深い作品は?
『ルパン三世 カリオストロの城』は衝撃的でした。冒頭からのカーチェイス、車が崖を登ったり降りたりするというアニメーションならではの、車が本当に生きているような表現や、屋根の上でバーっと走ったり、紐を引っ掛けて登ったり滑ったりと、本当にハラハラドキドキしっぱなしの映画ですよね。ルパンがまたカッコよくて、銭形と協力せざるを得ない場面で、「じゃあ、ここは一時休戦だ」「これが終わったら、お前のことまた捕まえてやるぜ」というようなやりとりを地下室でするところなんか、ちょっとたまらなかったですね。銭形には銭形の正義感があり、ルパンは怪盗ではあるけれど、ルパンの正義感というものがありますしね。あと「カリオストロ公国」の描写もロマンチックで惹かれました。街並みや水道橋、宮崎駿さんの描く独特の機械や飛行機が、すごく体温があって魅力的で「外国にこんな国本当にあるのかな、行ってみたいな」と憧れました。
『銀河鉄道999』もお好きだそうですね
好きでしたね。テレビシリーズと劇場版、両方リアルタイムで見ました。『宇宙戦艦ヤマト』『キャプテンハーロック』『クイーン・エメラルダス』『銀河鉄道999』と続く、松本零士さんの描く世界観にワクワクしましたね。だって汽車が宇宙を走っているなんて考えもしないですし、すごくロマンチックじゃないですか。それと、小学生の頃に見たときは、メーテルの不思議な美しさや色気にちょっとドキドキしていたんですけど、大人になって見ると、メーテルの抱えている影の部分も見えてきて、ちょっと違って見えました。例えば、氷の下に機械人間になった人たちの、元の生身の体を凍らせている場所があるんですが、そこに、メーテルの生身の体もあるんですよ。それ自体は、作品では描かれていなくて、ちょっと意地悪ですけど「生身だった頃はそれほど美しくなかったのかな」とか、「もし、そうだったら鉄郎というか、僕たちはどう思うんだろう?」とか気になるんです。そうすると、「人間って何だろうな」と考えてしまうんですよね。
俳優や監督としてアニメーションに影響を受けた?
アニメーションの世界は、実写ではなかなか表せない世界観もあるので、それを純粋に楽しんでいましたが、それぞれの作品には、きちんとテーマがあり、伝えたい思いがあるんですよね。そういったところは、俳優として、作り手として、すごく影響を受けていると思います。また、エンターテインメント性やドラマ性は、アニメーションと実写のジャンルを問わず、みんなが楽しめるものを作るんだ、ということについても、多くを学んだ気がします。そういう意味では、『AKIRA』は時代の扉が開いた気がしました。世界、海外に出て行った。僕が最初に見たのはフランスでの大ヒットだったんですけど、ジャパニメーションとして、みんなが楽しめるコンテンツとして、世界への扉を開けた作品だと思いました。僕は、日本のアニメの拠点とも言える、東京都杉並区の出身なんで、日本人としても本当に嬉しいですよね。
そんな田辺さんにとってアニメーションとは?
特別なものではなく、普通のもの。実写とアニメの分け隔てもない。釣りやキャンプ、映画やドラマ、遊園地といった自分の楽しめるもののひとつとして存在している、しかも、とても夢があり、ものすごい秘めた可能性を感じるものですね、アニメーションは。
  • アニメワールド
  • 龍の歯医者 BSプレミアム 2017年2月放送
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