2017年08月19日 (土)名曲探訪「LOVE修行」AKB48(研究生曲) こんなに簡単なコードで、こんな名曲が!!! メロディーの勝利!! 間奏がないぞ!!

AKB48の「LOVE修行」超名曲です。

聞くたびに何か甘酸っぱい思いがしてくるような曲です。

結論を先に書くと

AKB48グループの曲は既に1000を越える曲があると思いますが、

その中で「一番コードが簡単な曲」です(石原認定。非公式)

簡単なのに名曲。素晴らしいです。

(*コードは耳コピなので正確ではない場合もあります。ご容赦ください)

 

出てくるコードは(とりあえず7thだのメジャー7などは省略して)

「C、F、G、Em、Am」この5つで曲の90%くらいいけます。

まるで、ギターを覚えたての高校生が作ったみたいな並びです。

ギターをまったく弾いたことがない人でも、

3日ほど本気で練習すれば、

なんとなく曲の最後まで伴奏ができるようになるんじゃないか

というくらいのコードです。

(細かい部分を抜きにして、歌うだけの簡単伴奏ならば)

そのくらいシンプルなコードで構成されています。

それなのに僕らの胸を打つのは「メロディーがいいから」です。

 

その中に少々のスパイスが効かせてありますが、

本当にちょっぴりだけです。

そのスパイスの部分も含めて、コード進行を見てみましょう。

(長い説明の部分は読み飛ばしても構わないです)

 

曲の頭。エレピがぴろろーんと鳴ります。

Fです。

が、下にGが入っているような響きなので

F(G)「G分のF」

これだとFadd9thと同じ構成音ですが、

一番下でGソが鳴っているようなので分数コードで。

 

単なるFじゃないところに工夫があります。

Fだと安定したコードですが、G音が鳴ることで少し不安定になり、

「早くFに行って安定させてくれ!!解決してくれ!!」

という音的欲求を喚起します。

 

「イントロの一音」で世界中で長年に渡って論議され、

ミュージシャンから学者、一般のファンまでが様々に語ってきた曲が

ビートルズのA Hard Day's Nightイントロの「ジャーン!!」です。

最近「コンピューターの音声認識で解明!」という記事を読んだのですが、それは「Fadd9th(D)」だったかと記憶しています。

ざっくり言うと(記事の記憶だと)「ジョージの12弦ギターがFadd9th」でポールのベースがDを弾いていると。

 

話としては「LOVE修行のぴろろーんとA Hard Day's Nightのジャーンは基本的に同じコード」だったというネタを大発見!!なのです。

つまり(机上の理論としては)A Hard Day's Nightのイントロジャーンで「人を好きになるって・・・」と歌いだすことが可能(音が取れる)ということになります。

多分大丈夫。

(Macの起動音はA Hard Day's Nightのイントロに触発されて開発した・・・という都市伝説もあります。アップルだけに・・・)

 

そして、曲は「頭サビ」で始まる。

「ぴろろーん」を解決したFのコードが鳴ります。

しかも「落ちサビ」的な始まり(前回の「二人セゾン」参照)

この曲のテーマが歌われます。

 

「LOVE修行」冒頭(頭サビ)

F(G)

F△7→G→Em7→Am7

F→G→C→C7

 

曲の頭だけ少しコードがおしゃれサウンドになっているように聞こえるので、こんな↑感じかな?と耳コピしてみましたが、単純化するとこれ↓でいいと思います。

 

F→G→Em→Am

F→G→C→C(7)

 

出ました!!「王道進行」(前回参照)

この「LOVE修行」の曲の半分は

「F→G→Em→Am」で作られています。ザ・王道進行です。

 

そして2段目なんて、あろうことか「FGC」ですよ。

コードブックの1ページ目みたいなコード進行ですよ。

「スリーコード」と呼ばれる基本中の基本ですよ。

わざと難しく説明すると「サブドミナント→ドミナント→トニック」ですよ。

 

最後だけは明らかに7th(シの♭)が響いています。

7thはちょっとだけ不安定だけどとても力強いコードで、

CからC7に行くと「早くFに行ってくれー!!」という強い欲求が生まれます。

(さっきも別のところで書きましたが、ポップスだと「気持ちのいい解決」にいかに導いてゆくかも重要です。リスナーに快感を生みます)

「トニックの7thからだと、サブドミナントにとても行きたくなる」

小難しく説明するとこんなことですけど、

フォークやロックでギターを弾いていると、あまりに日常的に頻出するコードの動きです。

ということは・・・C7で終わっているので、次にはFが来るはず。

 

「LOVE修行」イントロ

F→G→Em→Am

F→G→C→C

 

サビと基本的に同じ。

イントロに入るとラッパが鳴り響き、ストリングスも投入します。

この部分の最後は7thに行っていないように聞こえます。

(つまり、この後Fには行かないよーと暗示)

 

「LOVE修行」Aメロ

C→Em→Am→Am

F→Fm→G→G7

 

1段目「えっ!?こんなに簡単なの?」

こんなに簡単なんです。

ここのポイントは、歌い出しのAメロの頭なのに

「2拍目裏から歌い出す」というところでしょう。

頭が(ボーカルは)休符になってます。

なんてクールな出だしでしょう!!かっこいいです。

「*・くものうえ」

 

リズムは4つ打ちで縦を取っています。BPMは135。

「マーチテンポ」と言われる行進曲が116とか120(国によって違う)ので、行進曲よりちょっと早いテンポ。(中学校ではブラバン少年)

最近よく言われる「疾走感のある」アイドルソングは

BPM160くらいなので、それよりややおっとりしたテンポですが、

バッキングのチャカポコなカッティングギターが効いてますねー。

ギターで16ビートのファンク感も加わるという超お洒落アレンジ。

 

そして2段目。キモの一つが登場します。

F(ふわふわと)からFm(歩いてる)へ。

魅惑のサブドミナントマイナー。

「Ⅳ→Ⅳm」というポップスの調味料の一つです。

 

そもそもコードは「3音以上で構成された和音」のことで、

2音はコードではありません。

(2音で構成されている「パワーコード」は本当はコードではないが、例外的にコードと名付けられている)

 

Fはファ・ラ・ド

Fmはファ・ラ♭(ソ♯)・ド

 

メジャーコードとマイナーコードの違いは、

両端の音(ファとド)は同じで、

真ん中(3度)がラ(完全3度)かラ♭(短3度)という、

わずか半音違うだけのことです。

(弾きながら説明すると早いのですが、文章だとこうなってしまってすいません。結局「簡単ギターコード入門」みたいになってしまった・・・)

 

超ざっくり説明

「メジャーかマイナーは、音の一つが半音違うだけ」

 

「なぜ人はメジャーコードを明るく感じて、

マイナーコードに哀愁を感じるのか?」

3度が半音違うだけで、なぜ我々はそう感じるのか?

これは音楽の最大の疑問の一つで、まだ解明されてません。

そう感じる、そう聞こえるということが確認されている・・・

いわば「公理」的なものでしょうか。

 

話を「LOVE修行」に戻します。

F(ふわふわと)からFm(歩いてる)への部分です。

ラがラの♭に下がることで、メロディーの後ろで鳴っているコード感が

変化して、気持ち良さを醸し出しているのを感じてもらえるでしょうか。

 

「LOVE修行」Aメロ後半

C→E→Am→Am

F→G→C→C7

 

このパートを聞いた時に、あまりのかっこよさに痺れました。

ボーカルがなんと「2.5拍休符」して、3拍目裏から歌い出すという

超絶クールな技です。個人的には、この曲で一番好きな部分です。

「**・ふわふわと」しびれますねー。

 

一段目は前半と一ヶ所だけコードが違っています。

Cの後が、前半ではEmに、後半ではEになってます。

さっきと逆の構造の話です。マイナーコードがメジャーコードに。

 

Emはミ・ソ・シ

Eはミ・ソ♯・シ

 

真ん中の3度が半音上がります。「世の中の」の「か~の」のところ。

ここはメロディーもソ♯になっているのでバッチリとブルージーな

感覚が味わえますね。

 

Aメロの最後がC7ということは、

「この後はF(サブドミナント)に行けよー!行ってくれー!!」

という気分がコードの中に充満します。

 

「LOVE修行」Bメロ

F→Em→Am→C

F→Em→Am→C

F→Em→Am→C

F→E→Asus4→A

 

はい、正解。BメロはFから始まります。

コードだけ見たら「本当にこれでいいの?」と思いますね。

なんと、F→Em→Am→Cが3回繰り返されます。

 

「他に何か小技やってんじゃないのー?」と思ったんですが、

どストレートに直球をズバズバ投げ込んでいました。

ただし、Bメロ1回目と2回目はバックトラックがグルーブをかましてきます。

(わりとグイグイいってますねー)

3回目からリズムが4つ打ちに復帰。

 

4行目の最後にスパイスが振りかけられています。

Asus4→A「さあ~」の部分です。

 

「sus4(サスフォー)」正確には「suspended4th」

「サスペンド(吊るされた)4度」和音。

ロックやポップスではよく使われるコードの一つです。

ちょっと不安定な響きがするので、緊張感のあるゾクゾクした音です。

 

AKB48における「2大sus4イントロ曲」は!?

ひとつは「言い訳May be」

イントロの最初の音が「Dsus4」です。

ジャカジャーン!!と響き渡ります。

もう一曲は「君のことが好きだから」この最初の音が「A7sus4」

音が左右にパンしながらギターのsus4が朗々と鳴り響きます。

この音が「sus4」の音です。力強い音です。

 

Amはラ・ド・ミ

Aはラ・ド♯・ミ(真ん中が半音上がって)

Asus4はラ・レ・ミ(更に真ん中が半音上がって)

半音違うだけでコード(和音)は違った表情を見せてくれます。

 

「LOVE修行」のBメロのラスト「さーあー」のところは

Asus4→Aの大解決をして、音楽的快感を得ることができます。

半音下がる解決というのは、いわゆる「アーメン終わり」というものです。

賛美歌で最後に「アーメン」と歌う部分は半音下がって安定させるもので

「sus4からメジャーコード」あるいは「サブドミナントからトニック」

要するに「4度→3度」の解決です。

 

とにかく

「半音下がってコードが安定すると気持ちいい!!」

 

「LOVE修行」サビ(冒頭と同じ)

F→G→Em→Am

F→G→C→C7

 

F→G→Em→Am

F→G→C→C

 

サビは冒頭のサビ頭と同じコード進行が繰り返されます。

この曲はどこにも「間奏がない!!」んです。

曲が始まったらずっと歌が続きます。

これも「LOVE修行」の特徴のひとつでしょう。

 

1番終わるとそのまま2番に入り、

コード進行としては丸ごと同じことが繰り返されます。

そして(間奏のないまま)大サビに突入です。

 

「LOVE修行」大サビ

F→G→Em→Am(4回繰り返し)

 

大サビです。

おー、こう来たか!

メロディーは展開しているのに、コード進行はサビとまったく同じ。

あろうことか「F→G→Em→Am」のおなじみのパターンを

4回繰り返すという大技。

王道進行を王道で突き進んでゆきます。

 

この曲は、女の子の淡い恋心を歌っているのですが、

この大サビは、誰にとっても応援ソングになるような歌詞になっており、

つい口ずさんでしまいます。

「どんなに悲しいことがあったって・・・」からの大サビになると

私の友人・青木宏行氏(56)は必ず泣けるそうです。

 

そして、ここでも間奏のないまま「落ちサビ」に入ります。

この曲間奏を入れようと思えば入れられるのに、

イントロ・アウトロ以外にはどこにもインスト部分がないというのは、

かなり意図的なものだと思います。

(「間奏が全くない曲」を今は他に思いつかないですね・・・今後の研究に)

そんなに早くないテンポなのに疾走感を感じる理由に間奏がないことが関係しているのかも・・・

 

「落ちサビ」もまたサビと同じコード進行。

なんとシンプルなコードで作られているのだろうと改めて驚きます。

 

そしてアウトロもまたまた、同じコード進行のまま。

本当に「この歌の半分は王道進行(FGEmAm)でできている」です。

清々しい気持ちになる名曲です。

 

「LOVE修行」は2013年5月リリースの「さよならクロール」の

カップリング曲で、その当時のAKB48研究生19人で歌われています。

12期ひらるんぽんと呼ばれた平田、佐々木、大森の3人、

13期、14期の15人、当時研究生だった峯岸みなみ。

(12期の3人はすぐに昇格して、残る16人で「峯岸チーム4」を結成)

なので、この曲は(峯岸チーム4の曲ではなく)「研究生曲」です。

 

研究生曲には、アイドルファンの琴線に触れる曲が多いです。

例えばAKB研究生曲の「大人への道」

(メンバーは「LOVE修行」峯岸みなみ→サイード横田絵玲奈)

SKE研究生曲では(5期生曲)「目が痛いくらい晴れた空」

NMB研究生曲では「想像の詩人」「太陽が坂道を昇る頃」

など名曲多数です。

ある種「ネオテニー文化」と呼ばれる日本カルチャーに

ぴったりと合うのが研究生曲なのでしょう。

 

その中でも「LOVE修行」は、NGT研究生公演でも人気曲となり

「あおきー公演」にも入り、小嶋陽菜は卒業公演の中でこの曲を

「大好きな曲」と語り、シングルメドレーの中に入れたほどです。

 

作曲したのは石井亮輔さん。

今年大きな病気をされましたが、

手術が無事成功し仕事に復帰されています。

このことはAKB48SHOWで紹介し「LOVE修行」もアンコールで放送しました。

次の名曲を期待しています。

 

振付では「忍者ポーズ」や「忍者走り」が有名ですが、

個人的にはサビの最後ちょい前のところ、

右足のつま先「とんとんとん」がツボです。

 

「LOVE修行」まとめ

○AKB48楽曲の中で一番コード進行がシンプルな名曲

○「C、F、G、Em、Am」が弾ければ大丈夫

○間奏がなく、ずっと歌う進行

○「結局はメロディー」ということを教えてくれる曲

投稿者:いしぴぃ | 投稿時間:10時17分