2017年08月14日 (月)名曲探訪「二人セゾン」欅坂46

夏休み編成で番組が2週間休止なので、

その間はエッセイのようなものを書きます。

コード進行について書いたら、面白いと言ってくれる人もいたので、

今回はコード進行から見た楽曲について。

(僕は音楽の学校に行ったとかではなく、普通に高校まで音楽の授業を受けただけで(好きな科目でしたが)自分のバンドでベースを弾いているだけの男なので、間違っている部分もあるかもしれませんが、ご容赦のほどをお願いします。しかも長文。マニア向け)

 

さて、

最近素晴らしいと感心したのが「二人セゾン」

簡単そうに見えて随所に心憎い仕掛けがある曲です。

メロディーがいいのは言うまでもないです。

コード進行を見てみましょう。

 

「二人セゾン」のキーはA♭なのですが、これだとフラット祭りになるので半音下げて、一番分かりやすいキー(トニック)Gで表記します。

(もしギターで弾くなら1カポでお願いします)

冒頭は「頭サビ」別名「0サビ」で始まります。

 

「二人セゾン」サビ前半

C→D→Bm→Em

 

なーんだ、普通の「王道進行」じゃんと思うでしょう。

そう、もう使い尽くされた感のある別名「王道進行」です。

J-POPで、曲の中にこの進行が使ってあるのは幾万とあるやつです。

48や46でもおなじみの進行。

例えば「君はメロディー」のサビ、「LOVE修行」のサビ、「Maxとき」のBメロ、「12月のカンガルー」のAメロにも登場します。山ほどあります。

コード進行界で言えば「塩サバ定食」的な定番から始まります。

 

この進行の場合、2番目のコードに移行した時にベースは Cのままという別名「ペダルポイント」を使う確率は65%くらい。自分の経験ですが。

そのままコードに合わせてルートを弾いた方がいけてる場合もあります。曲中で使い分ける事もあります。ペダルばかりで弾くとちょっとクドイので、ここぞというところでで投入します。

 

「二人セゾン」サビ後半

Am7/Bm7→C→D・・・

 

頭サビの曲なので、この後にイントロが始まります。

 

「二人セゾン」イントロ(同じく「王道進行」

C→D(C)→Bm→Em

 

「二人セゾン」は、他の欅坂の楽曲とはちょっと違って聞こえるというか、AKBファンなどにも一番聞きやすい曲だと思います。

その理由もはっきりしています。

 

リズムは原則「4つ打ち」ですが、EDM系の多い欅坂にしてはおとなしいリズム体です。逆に低音部をもうちょっと強めに行ってもいいんじゃないかと思うくらいです。意図的に甘めのアレンジにしているのでしょう。ストリングスも全体に鳴り過ぎくらい鳴ってます。

 

さて、Aメロ。

出た!「カノン進行」

そうです、J-POPコード進行界の王者の中の王者「カノン進行」です。

おそらく近年のJ-POPの曲の半分近くには、この進行かバリエーションが含まれているのではないでしょうか。

まさにコード進行界の「焼肉定食」

 

本来の「カノン構造」の意味は、確か「同じメロディーが繰り返される」という手法のことだと習ったんですが(「静かな湖畔」とかの輪唱的なもの)

有名な「パッヘルベルのカノン」に用いられたコード進行が、あまりに素晴らしかったのか、その後繰り返し作曲に使われるようになり。

特に日本人には好まれるので(パッヘルベルはいつの間にかなくなって)

「カノン進行」と呼ばれるようになりました。

わざとそのまま使ったのが山下達郎さんの「クリスマスイブ」ですね。

 

「二人セゾン」Aメロ前半

G→D(F#)→Em→Bm7(D)→C→Bm7→Am7/D

 

耳コピですが、そんなに間違ってはないと思います。

この「カノン進行」を素直にコード通り弾いていたのは70年代フォークくらいまでで、現代ポップスでは(コードネームというより)「ベースの下降ライン」として捉えるのが正解だと思います。(僕はそう思っています)

 

コードだけ見ると、よくある進行でなんてことはないですね。

この定番「カノン進行」の曲はどこにでもあります。

「言い訳May be」「GIVE ME FIVE!」「ごめんね、Summer」「青春のラップタイム」「桜、みんなで食べた」「大人列車」「MaXとき315号」「制服の羽根」

「47の素敵な街へ」・・・・ほら、みんなの好きな曲オンパレード。

よくファンが、どの曲が好きかみたいな議論してますが、コード進行で見る限り「どれも一緒」ということになります。

そこにメロディーと歌詞、アレンジなどが加わり、それぞれの個性を持つ楽曲へと進化してゆくわけです。

 

この「(パッフェルベルの)カノン進行」

既に300年以上に渡る歴史を持っているので、今更パクリだとかオマージュだとがではなく、一つの定番進行として定着しているものです。

本屋で「すぐ分かる簡単コード理論」みたいな本を買って、ページを開くと。

「カノン進行」の項目にで「ⅠⅤ Ⅵm Ⅲm Ⅳ Ⅰ Ⅳ Ⅴ」とか書いてあって、「ちっとも分かりやすくないじゃん!!」とそっ閉じになるやつです。

 

亀田誠治さんは「純情コード進行」と呼び、近田春夫さんは「胸キュンコード進行」と呼び、数字だと「15634125」とも言われるこの進行。

(数字は音を表しており、キーがCの場合、1がC、5がGということです)

 

僕の言う「ベースの下降ライン」と言うのは、最早コードネームではなくベースが「ドシラソファミレソ」と弾く進行と言う意味です。

(極端に言えば上物のコードはずっとCでも成立する進行)

実際の作曲やアレンジで、色々な技やスパイスを効かせているので、細かい違いはありますが「あえて弾けばドシラソファミレソ」で成立する楽曲群。

最近の洋楽ではあまり使われないコード進行ですが、J-POPでは一番多い進行です。どうも、この「鳴き」の感じが僕らのメンタリティーに合致しているらしいです。

 

(踏み絵クエスチョン!!)

48ファンの皆さんに質問(正直に)

「HKTの曲であなたが好きな曲は?」

 

「桜、みんなで食べた」と「大人列車」と答える人は

「カノン好き」ということです(認定)

日本のアイドルファンの一番の好物、それが「カノン進行」

異国よりもたらされたものが、日本で独自進化して国民的になったもの

「カレー、ラーメン、トンカツ、そしてカノン進行

 

(例えば、この「二人セゾン」のAメロ(前半)と「Maxとき315号」のAメロ(前半)は、伴奏そのままで歌えると思います。コード進行はほぼ同じかと。キーは違いますよ)

 

「カノン進行」曲で変わり種というか、これもそうか曲は・・・

「恋するフォーチュンクッキー」と「何度目の青空」でしょう。

実は「恋チュン」のサビはカノン進行のバリエーションです。

リズムの感じでカノン臭があまりしませんが。

 

そして、48や46の楽曲で最も「もろカノン」なのが「何度目の青空か」のサビです。

これはパッフェルベルそのまんまとも言える流れです。

パッフェルベルのカノンで「何度目の青空か」が歌えるんじゃないかな。

 

頑張れば、ここに記した曲の大半は入れ替えても歌えると思います。譜割りやBPMがちょっと合わないのもあると思いますが。一番使いやすいバックトラックは「大人列車」の1番Aメロのカラオケか、「何度目の青空」のサビのカラオケ。ちなみに恋チュンと何度目の青空は同時に歌えそうな気がしますね。

 

話を戻すと「二人セゾン」のAメロの前半は、よくあるカノン進行

後半も一見(一聴)同じ動きをしているようなのだが・・・

あれれ?ちょっと違うぞ。

「おー、これはかっこいいぞ」

 

「二人セゾン」Aメロ(後半)

G→D(F#)→F→E7→Am7→Bm7→C→D→B7

 

こう来たか、ですね。カノン進行をなぞっているように見せて、3番目のコードがF、その次がEということは・・・

(かっこ)内はベース音の指定ですが、ベースだけを見ると。

G、F#、F、Eと要するに「半音ずつ下がる」という進行になっています。

(何気なく聞くと前半部分を繰り返しているようで。違う進行をしているという小粋な技と美しいメロディーです。順次進行と呼ばれるやつです)

 

これも現代ポップスのキモの一つで

「ベースが半音進行すると気持ちいい」

(大体においてm7-5とかdimとかaugなどのコードがある部分では、こういう進行が隠れていることが多いですね)

このパートでは、3つ目のFがゾクゾクします。

 

そして最後に(やや強引に)B7をズバッと放り込んで(英語の歌詞の部分)曲の様相をきっぱり変えます。

こういう7thは力強い。

このAメロ後半からBメロまではリズムがちょっと8ビートっぽいです。

 

さてさて、Bメロが始まります。

「太陽が戻ってくる前に・・・」の部分です。

ここのコード進行は?

 

「二人セゾン」Bメロ前半

Em→C→D→G/D(F#)

 

おやおや、これは!!

コード進行界の「肉野菜炒め定食」とも言える、

あの「小室進行」ではないですか。

小室哲哉さんが大好きな進行だと言われて、

J-POPではそう呼ばれているコード進行です。

 

つまり、この「二人セゾン」は、J-POPの三大コード進行パターンを躊躇なく使っているという、ど直球の曲だということになります。

「王道進行」「カノン進行」「小室進行」この三大進行は、音楽系専門学校の授業の初日に習うような、いわばありふれた進行です。

その分「みんな大好き」な進行だけど、使うのをちょっとためらったりすることもあります。そこを容赦なく投げ込んでいます。

 

「二人セゾン」Bメロ後半

Em→C→D→B7

 

ここは「小室進行」をなぞりながら、最後はやはりB7に持っていってます。

この曲ではB7(原キーではC7)がスパイスですねー。

(これは「セカンダリードミナント」というやつなのか?ここは自信なし)

そして、サビが登場。冒頭と同じ。

 

「二人セゾン」サビ

C→D(C)→Bm→Em  C→D(C)→Bm→Em

Am7/Bm7→ C→D

 

曲の頭では、トニックが分からない状況で聞き始めますが。トニックのGが提示されてからだと、サビはサブドミナントのCから始まる一番気持ちがいいパターンだと認識されます。

「サブドミナントは気持ちいい」

 

ここまででも名曲なのに、

更にこの先に驚愕の展開が!!!

 

曲を最初に聞く時は、歌詞カードや文字情報は見ないで、MVなどでも映像は見ないで、できるだけ素直に曲だけを一度聞くようにしています。

その曲の雰囲気と全体像を把握しようと。

まあ、なんとなくのコード進行(特にベースライン)と曲の構造は追ってしまうんですけど。なるべく予断を持たない気持ちで聞くことに。

 

で「二人セゾン」も最初そうやって聞いていて・・・

「0サビ始まりか・・・あー、王道進行ね。Aメロはカノン系だな・・・」

「いいメロディーが続くなー・・・」などと聞いて

「2番が終わると・・・おっ、大サビ登場!」

 

この曲には「大サビ(Dメロ)」があります。

「花のない桜を見上げて・・・」の部分です。

2番終わりに(間奏には行かず)被さるようにボーカルが入ってくるかっこいいやつです。「おお、大サビで展開しているぞ。いや?展開してるのか?」

 

この大サビのコードをなんとなく追って見て、あれれ?

これに気がついた時、イヤホンをつけたまま思わず立ち上がりました。

 

「二人セゾン」大サビ前半

C→ C→D(C)→D(C)→Bm→Bm→Em→Em

 

これは面白い。展開しているように見せて(メロディーは展開している)

コード進行はサビと同じ「王道進行」のまま。

ただし小説数が全部倍になっているんだ!!

なんてクールなコード進行なんでしょ。

この部分は明らかにベースがペダルポイントを使っており、

4小節に渡ってずっとCで引っ張ってます。

 

「二人セゾン」大サビ後半

Am/Bm→ C→Am/Bm→ C→B7

 

ほら来た!ここもフレーズの最後のコードはB7。

「で、次はサビのリフレインになるのかな・・・」

 

ここでまたもや驚愕の展開が!!

 

皆さんは「落ちサビ」という言葉を知っていますか。

知っている人も知らない人もいると思いますが、何のことか説明されると分かると思います。ポップスの常道のテクのひとつです。

 

これが使われるのは大体の場合、2番後の長い感想の後、サビの繰り返しに戻る部分です。サビをリフレインするんですが「落ちサビ」と言うからには、何かが「落ちている」わけです。

落ちるのは「バックトラックの楽器の何か」です。

 

よくやるのが

(1) ドラム、ベースなど抜いて、ちょっと歪んだギターのカッティングだけ

(2) ドラム、パーカッションなどリズム系だけ残して、他の楽器抜き

(3) ベースだけ残す

(4) ピアノなどが小説の頭だけ白玉(全音符)弾く

(5) 楽器全部抜いて、歌だけにする・・・

こんなところでしょうか。

 

みんな大好き「君のことが好きだから」で説明すると、

2番の後、ギターソロの間奏(16小節(3連ミックス分)+2小節)あって、

その後のサビに戻ったところが「落ちサビ」です。

(1)と(2)を合わせたような落ちサビです。

で、仁藤の顔アップあたりからベースが入ってきて、次のサビ頭から全部の楽器が鳴る。そうすることによって疾走感とかワクワク感が増してくると言うものです。J-POPでは普通の手法となったのが「落ちサビ」なのですが・・・

 

話を「二人セゾン」に戻します。

「大サビ」の後、間奏にも行かず、落ちサビにも行かず、行くのは?

なんと!!

「落ちBメロ」

 

これまた、かっこいい展開ですね。「春夏秋冬」のところ。

エレピ残しです。

ポップスで、最後のリフレインがBメロ→サビと行くのは、まあよくある展開ではあるんですが。

ここで「落ちBメロ」が登場するのは意表を突かれました。

 

「二人セゾン」落ちBメロ

Em→C→D→G→B7

 

おっと、ここもまたおなじみの終止形。

Bメロを半分にして、その最後は(ちょっと強引に)お得意のB7に。

つまりこの曲はAメロもBメロも大サビも落ちBメロも小説の最後は B7。

サビ以外は全部B7で(解決しないで)繋いでいるのか。

 

このパート、普通に「Bメロ」に戻ってから「落ちサビ」に行ってもいい部分ですし、そういうアレンジの曲もあると思います。なのに「落ちBメロ」

やられたー!!って感じ。

 

そして曲は終盤に突入。

振り付けやフォーメーションについては別途の気持ちなんですが・・・

最後のサビに入る前に全員が一度後ろに下がって、全員が前進してくる部分はいいですね。撮っている時にゾクっとしました。

踊らないで行進するのが「前に進むぞ!」という決意にも感じられて。

 

サビのリフレインで曲が終了です。濃密な4分48秒でした。

 

この素晴らしい曲を作ってくれた方は・・・クレジットを見ると。

(作曲)SoichiroK NozomuS

(編曲)Soulife

調べて見ると・・・ SoichiroさんNozomuさんは2人ユニットで、そのユニット名がSoulife

ということは作曲・編曲ともこのお二方で担当したということなのでしょう。

おぉ、2人とも岡山出身。同郷じゃないですか。岡山スゲー。

乃木坂46の「あらかじめ語られるロマンス」も作っているんだ。

また、素晴らしい曲を期待しています。

 

こんなことを考えながらいつも曲を聞いているんですが、あくまでコード進行や曲の構造だけでこのくらいの要素になります。

(コード進行だけで飯三杯食えます)

加えて、バックトラックの演奏があり、歌詞があり、歌声が入り、衣装、振り付け、MV、ライブパフォーマンスなどの要素も加わるので、一曲を把握するのも大変です。趣味ですけど。

 

(まとめ)「二人セゾン」コード進行

○ この曲は「王道進行」「カノン進行」「小室進行」のJ-POP三大進行を取り入れた曲である。

○ なので、日本人には受け入れられやすい構造や旋律を持っている。

○ 大サビ以降の展開が素晴らしい。

投稿者:いしぴぃ | 投稿時間:11時30分