主にアナウンス室に在籍するアナウンサーが、趣味や仕事、日常の中で出会ったちょっといい話などを、思い思いに分かりやすい「ことば」でつづっていきます。


投稿者 芳川 隆一アナ

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長崎で感じた"世界のいま"

2018年09月28日 15:00

毎週日曜日の夕方6時5分から放送している「これでわかった!世界のいま」を担当している芳川隆一です。毎回、いろいろな模型や仕掛けを使って、世界情勢を何とかわかりやすく伝えようと奮闘していますが、それと同じぐらい思い入れがあるのが、番組後半にお送りしているVTRリポート。私も、"世界のいま"にまつわる色々なテーマで取材しています。

今月(9月)、国連が毎年9月21日に定めている「国際平和デー」についてお伝えしました。国連機関やNGOが中心となって、世界各地の紛争地域の当事者に働きかけて、せめてこの日、1日だけは戦闘を止めて、住民のための人道支援を行おうという日です。「国際平和デー」を提唱したのはイギリス人のジェレミー・ギリーさん(49)。先日、初めて来日されたということで、話を伺いました。

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軍人だったギリーさんの祖父は第2次世界大戦中、日本軍の捕虜となり、日本国内の捕虜収容所に送られました。戦後、イギリスに復員するための船に乗った場所は長崎。原爆によって焼け野原となっていました。幼いころに祖父の体験を聞いていたギリーさんは、祖父が見た原爆の惨劇を繰り返してはいけないと心に誓い、「国際平和デー」を提唱したそうです。世界を動かす日をつくったきっかけは、長崎にあったんですね。インタビューの後、自分の活動の原点を見つめようと訪れた長崎にも、同行させてもらいました。

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長崎市の爆心地公園で、ギリーさんと、「国際平和デー」を日本で広める活動をしている団体の共同代表の方との1枚です。私たちの後ろに立つ石碑の上空およそ500メートルで原爆がさく裂し、町は焼け野原となりました。この写真を撮った後、祖父が見たであろう光景に思いをはせるように、この場に佇んでいたギリーさんの姿が印象的でした。 長崎での取材は先月(8月)にも。去年、核兵器禁止条約の国連での採択に貢献したとしてノーベル平和賞を受賞したICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンという国際NGOが、平和賞のメダルと賞状を長崎と広島の原爆資料館に展示しました。核兵器禁止条約の採択には、日本の被爆者が国際会議の場で体験を語ったことが大きく貢献したとして、その「お礼と報告」の意味もあったんです。

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(写真は広島の原爆資料館での展示より)

私は長崎の原爆資料館で、展示初日の場面に立ち会い、メダルを「核廃絶への希望」だと歓迎する被爆者の女性にもお会いしました。展示は期間限定でしたが、核廃絶を願う多くの被爆者に勇気を与えたようでした。

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このように、偶然ではありますが、先月、今月と続けて取材で長崎を訪れています。
「国際平和デー」もICANのノーベル平和賞も、原爆の惨禍を決して繰り返してはいけないと願う人たちの思いが、世界を動かしているんだと強く感じます。
これからも、核廃絶や平和をめぐる世界の"いま"の動きをお伝えしていきたいと思っています。