主にアナウンス室に在籍するアナウンサーが、趣味や仕事、日常の中で出会ったちょっといい話などを、思い思いに分かりやすい「ことば」でつづっていきます。


投稿者 井上二郎アナ

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枯れ木に花を咲かせましょう

投稿日:2018年08月31日 09:00

少し前の話になります。
この春までいた福岡局在局時代、放送局の廊下で落ち込んでうなだれていたら、コオロギのような虫が私の頭にジャンプして、髪の中にもぐりこんでしばらくもがいた後飛び降りて・・・・絶命・・・という出来事がありました。
あまりの切なさに涙が止まりませんでした。

それから月日は流れ、先日。自宅の周辺でジョギングをして疲れて道をだらだら歩いていると、なにやら足にもぞもぞした違和感が。えっ、まさかの熱中症か?!と思いハッと見てみると。なんとセミが木と間違えて私の足にとまっておりました。

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どうです。虫からの絶大な支持。挙句セミからの「木扱い」。いくら身体がデカいからって、あんまりだわ。学芸会で木の役でした、という笑い話は聞いたことありますが、セミに人間扱いされないというのはなかなか聞きません。この圧倒的存在感の無さはどうすればいいでしょう。

思い返せば社会人として初めて配属された沖縄局に挨拶に行ったとき、出入りの業者だと思われアナウンサーだとは認識されず、しばらくフロアの入り口で待たされました。
思い返せば2局目の神戸局、緊張して初出勤したら、関西弁のデスクに「キミ、華ないなぁ」と第一声をいただきました。それ以来、「ノーフラワー」の称号をいただいております。
あ、皆さん、これら全部実話ですからね。
わりとキャリアを積んだ今も、集まりの場で「わあ、いたんだ」「えっ、気づかなかった」等々。皆様から温かみあふれる言葉を頂戴しています。

「存在感」、つまり「華」をいかに咲かせるか。そう、振り返れば私の人生はこの問題との闘いの日々でした。
派手な服を身にまとえばいいのではないか。いや、やってみたけど大阪名物「くいだおれ太郎」みたいって言われたわ。
やや高音の声色を使えばいいのではないか。いや、やってみたけどそれでも「ごめん低すぎてちょっと聞き取れない」ってよく言われるわ。
目を二重にして鼻を高くすればいいのではないか。いや、やったほうがいいのかと一瞬思ったけどお金と勇気が無かったわ。

でも、不惑を越えた今、戸惑いまくって生きてきて、ようやくわかったんです。華にもいろいろあることに。枯れ木に花は無理やり咲かない。
日々楽しもうと生きていれば、いつか笑顔の花が咲く。
花はそれぞれ持っていて、見る人が見れば華やいで輝いてくる。オンリーワンを目指したらいい。

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あら、なんて素敵な考え方なんでしょう。
私がたどり着いたこの考え方を世に広めねば、ということで、興奮気味に妻に語ってみると。
「それ、国民誰もが知ってるあの大ヒット曲のパクリじゃない、完全に」とバッサリ。

ハナ息荒く人間のハナやかさについてハナしをしようと行ったものの、ハナから相手にされず、ハナしにならないと突きハナされたおハナしでした。

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